機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
不敵! 殺駆三兄弟の絆(42 殺駆三兄弟)
闇将軍が放つ冷気で凍てつく戦場の片隅。そこだけは、異様な「熱気」と「怒声」に包まれていた。
「ええい、何をモタモタしておるか! 弾薬を運べと言っただろうが!」
長男・古殺駆(コザク)の怒鳴り声が響く。彼は右目に眼帯、背中に巨大な陣旗を背負った、殺駆一族の誇り高き長兄である。
「兄者、そう言われてもよぉ、この大筒が重くて動けねえんだよぉ!」
次男・今殺駆(コンザク)が、自分の体格よりも大きな大筒を抱えて泣き言を漏らす。彼は三兄弟一の力持ちだが、少々気が優しいのが玉にキズだ。
「もう、二人とも喧嘩してる場合じゃないよ! ほら、頑駄無軍団の連中がこっちを見てるじゃないか!」
三男・新殺駆(シンザク)が、二本の肩パットを揺らしながら周囲を警戒する。彼は三兄弟の中で最も現代的で、スピードを重視するキレ者であった。
そこへ、頑駄無軍団の足軽たちが突撃してくる。
「闇軍団の幹部、殺駆三兄弟だな! 覚悟しろ!」
「フン、抜かせ! 雑魚共に舐められては、殺駆の名が廃るわ! お前たち、やるぞ!」
古殺駆の号令と共に、三兄弟が動く。
まずは次男・今殺駆。
「どけどけぇ! 俺のパワーに勝てる奴はいねえぞ!」
彼は大筒を棍棒のように振り回し、迫り来る足軽たちをごっそりとなぎ倒す。その怪力は本物だ。
続いて三男・新殺駆。
「兄貴、フォローは任せてよ!」
彼は二挺の種子島を抜き放ち、今殺駆の死角から迫る敵を正確に射抜いていく。さらに、その身軽さを活かして敵陣を撹乱した。
そしてトドメは、長男・古殺駆。
「殺駆一族に伝わる、真の連携を見せてやる! 控えおろう!」
古殺駆は背中の陣旗を突き立て、二人の弟を背後に従えて構えた。
「殺駆流・三位一体の陣!」
怒武(ドム)たちの三位一体が「破壊」なら、彼らのそれは「根性」だ。
今殺駆が投げ飛ばした敵を、新殺駆が空中で撃ち、最後に古殺駆が愛刀『古斬丸(こざんまる)』で一刀両断にする。
バラバラなようでいて、その実、一滴の無駄もない流れるような……いや、勢い任せの連携であった。
「どうだ! これが我ら三兄弟の力よ! わっはっは!」
高笑いする古殺駆。だが、背後から将頑駄無の「虎」が咆哮を上げると、三兄弟は一斉に飛び上がった。
「ひ、ひえぇぇ! 親父殿が出てきやがった! 逃げるが勝ちだ!」
「兄者ぁ、待ってくれよぉ!」
「ボク、もう足がクタクタだよ~!」
さっきまでの威勢はどこへやら、三人はお互いの背中を押し合い、転がるようにして撤退していく。
しかし、その去り際、古殺駆はチラリと闇将軍の方を振り返った。
(……待っていてくだされ、殺駆頭様。我ら三兄弟、必ずや貴方様をあの忌々しい闇の鎧から解き放ってみせますぞ)
おどけた態度の裏に隠した、主君への忠義と、家族への想い。
天宮の動乱の中で、彼らもまた、彼らなりの「正義」を抱えて泥臭く戦い続けているのだ。
「おーい、二人とも! 晩飯は猪の丸焼きにするぞ!」
「やったあ、兄者!」「ボク、たくさん食べるよ!」
夕日に消えていく三つの影。
彼らがいれば、この厳しい戦乱の世も、少しだけ賑やかで温かいものに思えるのだった。