機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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蒼風の継承者、疾風の如く(50 武者風雷主)

 武者七人衆と闇皇帝の死闘から数年。

 かつての戦乱が伝説として語り継がれ、天宮(アメノミヤ)の国にようやく穏やかな陽光が戻ったかに見えた。だが、その平和の裏側では、さらなる巨大な悪――「新生闇軍団」の胎動が始まっていた。

 

 北の果て、一年中鋭い暴風が吹き荒れ、巨岩が鳴動する険しき「風鳴りの谷」。その断崖絶壁で、一人の若き武者が限界を超えた修行に明け暮れていた。

 

「……遅い! 風を斬るのではない、風そのものになるのだ! 雑念を捨て、大気の一部となれ!」

 

 鋭い一喝が谷に響く。声の主は、かつての七人衆の一人、疾風の仁宇(ニウ)。

 伝説の英雄である彼の視線の先では、白い鎧に蒼い装飾を纏った若者が、重力を嘲笑うかのような跳躍を繰り返していた。

 

 武者風雷主(プラス)。

 

 かつて幼い頃に仁宇に命を救われ、その圧倒的な速さと高潔な志に憧れて弟子入りした、若き天才である。

 

「はぁ……はぁ……。仁宇師匠、まだ……まだ行けます! 俺の翼は、こんなところで止まっちゃいない!」

 

 風雷主が叫び、再び崖を蹴り上げたその時であった。

 谷の入り口から、陽光を遮るほどに不気味な黒煙が立ち昇った。それは、新たに天宮を狙う「新生闇軍団」の斥候部隊。彼らは、古の伝説に語られる「光の玉」がこの地に再臨したことを察知し、次世代の希望を根絶やしにせんと動き出したのだ。

 

「フン、隠居の仁宇と、その出来損ないの弟子か。ここでまとめて冥府の土産にしてくれるわ!」

 

 闇軍団の武者たちが邪悪な笑みを浮かべ、一斉に抜刀して風雷主を取り囲む。その数は数十。包囲網は完璧に見えた。

 

「……師匠、ここは俺に任せてください。修行の成果、そして俺を選んだこの『輝き』の力……見せてやります!」

 

 風雷主が力強く一歩を踏み出す。その瞬間、彼の胸元で一つの宝玉が、これまでの修行では見たこともないほど蒼く、神々しく発光した。

 『風の玉』。 伝説の力を宿す「五つの光」の一つが、彼の覚悟に共鳴したのだ。

 

「風雷主、波走機(ウェーブライダー)……変幻ッ!!」

 

 ガガッ! ズォォォン!

 重厚な鋼の軋む音が響き、彼の全身の装甲が組み換わっていく。背負っていた巨大な翼が機首となり、脚部が推進器へと変貌する。

 そこに現れたのは、武者の姿を脱ぎ捨て、音速の世界へと最適化された鋭利な飛行形態であった。

 

「な、消えた!? どこへ行った、小僧ッ!」

 

「……ここだ。お前たちのすぐ後ろ、風の中にいるぞ」

 

 闇の武者たちが上空を見上げた瞬間、両翼の長筒(ロングキャノン)から放たれた高圧縮の風の弾丸が、大地を爆砕した。

 地上で狼狽える敵を弄ぶかのように、風雷主は音速で急旋回し、真空の刃を撒き散らす。

 

「必殺! 風雷(ふうらい)一閃撃!!」

 

 音を置き去りにした超高速の突撃。それは蒼い閃光となって闇の陣形を真っ二つに切り裂いた。あまりの速さに、敵は自らが斬られたことすら気づかぬまま、爆炎の中に消えていく。

 

 やがて爆煙が静かに晴れた時。

 元の武者姿に戻り、一点の曇りもなく刀を鞘に収める風雷主の姿があった。

 

「……見事だ、風雷主。お前はもう、教えを待つだけの弟子ではない。天宮の明日を担い、闇を払う新生五人衆の一人だ」

 

 仁宇が、かつての自分たちの若かりし頃を思い出すかのように、満足げに深く頷いた。

 

「この力……俺一人だけのものじゃない。未来へ繋ぐための翼なんだ」

 

 風雷主は、戦いの跡に吹き抜ける青く澄み渡った風を感じながら、空を見上げた。

 かつての英雄たちが命懸けで守り抜いたこの蒼天を、今度は自分が守り抜く。

 

 風の戦士の旅立ちは、新たな戦乱の幕開けを、希望へと変える疾風(かぜ)となった。

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