機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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記憶の欠片、荒烈駆主立つ(51 武者荒烈駆主)

 天宮(アメノミヤ)の街道を、一人の若き武者がふらりと歩いていた。

 その体には、どこで負ったのか数多の深い傷跡。そして何より奇妙なのは、彼には自分が誰であるか、どこから来たのかという記憶が一切欠落していることだった。

 

「……俺は、誰だ。この手に残る、焼けつくような剣の重みは何なのだ」

 

 武者荒烈駆主(ムシャアレックス)。

 

 彼が自らの名を知り、その宿命の重さを悟るのは、まだ少し先のこと。今はただ、胸の奥底に宿る「何かを守らなければならない」という熱い衝動だけを頼りに、戦乱の兆しを見せる各地を放浪していた。

 

 そこへ、静寂を切り裂く悲鳴が響き渡る。

「助けてくれ! 闇軍団の連中だ! 村が、村が焼かれる!」

 

 新生闇軍団の残党、武者漣飛威(サザビー)の配下たちが、略奪と破壊の限りを尽くそうとしていた。燃え上がる炎と逃げ惑う民。その光景が視界に入った瞬間、若者の脳裏に激しい閃光が走る。断片的な戦場の記憶、誰かの叫び、そして黄金の輝き――。

 

(……守らなければ。名もなき俺の魂が、そう叫んでいる!)

 

「そこまでだ、闇に魂を売った者たちよ」

 

 若者が、燃え盛る村の入り口に毅然と立ちはだかる。

 

「何だ貴様は? どこの馬の骨とも知れぬ風来坊が、我ら闇軍団に逆らうか!」

「名などない。だが、貴様らの悪を断つ刃なら、今ここにある!」

 

 荒烈駆主は、背中の二本の刀「烈風丸」と「雷丸」を同時に抜き放った。

 天宮の武芸者でも使い手を選ぶ、至難の二刀流。

 その鋭い踏み込みは、並の武者では捉えることすらできない残像を残した。

 シュッ、シュッ! と空気を切り裂く鋭い音が響くたびに、闇の武者たちの鎧が砕け、武器が塵となって弾き飛ばされていく。

 

「おのれ……調子に乗るなよ小僧! ならばこれを見ても同じことが言えるか!」

 

 敵の隊長が、巨大なトゲ付きの鉄球を唸らせて襲いかかる。負傷した身体では避けきれない、絶体絶命の間合い。

 その瞬間、荒烈駆主の懐に隠されていた宝玉……『明日飛(アスヒ)の玉』が、主の危機に応えるように、眩いばかりの純白の輝きを放った。

 

「この光……俺を呼ぶ声か……。そうだ、思い出した。俺の魂に刻まれた名は……荒烈駆主!!」

 

「武神着装ッ!!」

 

 天から轟音と共に飛来したのは、伝説の「武神の鎧」。それは意志を持つかのように荒烈駆主の身体を包み込み、傷ついた肉体に神速の力を与えていく。

 背中には巨大な『大目牙(オメガ)散弾砲』が装着され、その姿は一介の浪人から、神々しいまでの威厳を放つ選ばれし戦士へと変貌を遂げた。

 

「受けてみろ、天宮を想う心の刃を!」

 

 荒烈駆主が地を蹴る。

 さらに彼は、鎧の一部を組み換え、人馬一体の機動力を誇る「ケンタウロス形態」へと変形。大地を爆砕するような加速で敵を圧倒し、二振りの刀を胸前で十字に交差させた。

 

「必殺! 烈火大斬(れっかだいざん)!!」

 

 十文字に放たれた灼熱の衝撃波が、闇の隊長をその鉄球ごと粉砕した。

 爆煙が晴れ、再び戦場に静かな風が戻る。

 

 荒烈駆主は、荒い息を整えながら静かに刀を鞘に収め、自らの手のひらを見つめた。

「……俺は、荒烈駆主。この名に誓って、天宮に二度と闇の跳竜を許しはしない」

 

 記憶のすべてを取り戻したわけではない。己の出自も、戦うべき真の敵もまだ霧の中だ。

 しかし、その瞳には、もう迷いはなかった。

 若き主人公、荒烈駆主の物語は、この覚醒の瞬間から真の加速を始めるのだ。

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