機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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双刃の狩人、深山に猛る(24 武者頑駄無摩亜屈)

 天宮(アーク)の国、その険しい山嶺を縫うように走る影があった。

 武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)。

 白と濃紺の、どこか冷徹ささえ感じさせる鎧を纏った男だ。

 彼は武者頑駄無や精太のような華やかさよりも、質実剛健な実利を重んじる。

 

 今、摩亜屈は深い霧に包まれた森の中で、静かに気配を殺していた。

 彼の頭上には、一羽の巨鳥――守護獣「武者イーグル」が旋回し、鋭い眼光で地上の動向を監視している。

 

「……来たか。地の底を這いずる者たちが」

 

 摩亜屈が呟くと同時に、周囲の藪がざわめき、闇軍団の工作兵たちが現れた。

 彼らは「影」から生まれた忍の軍勢だ。

「摩亜屈、見つけたぞ。貴様の二刀流、ここで封じてくれる!」

 忍たちが一斉に手裏剣を放つ。だが、摩亜屈は微動だにしない。

 

 キィィィィィィン!

 

 上空から急降下した武者イーグルが、その鋭い翼で手裏剣をすべて弾き飛ばした。

「礼を言うぞ、イーグル。……さて、これ以上私の森を汚すなら、容赦はせん」

 

 摩亜屈は、腰に差した二本の太刀「双鷹丸(そうようまる)」に手をかけた。

 そう、彼は天宮でも珍しい二刀流の使い手。

 一振りで敵を断ち、もう一振りで己を守る。

 その隙のない構えは、森の王者そのものだった。

 

「覚悟!」

 

 摩亜屈が地を蹴る。

 その速さは精太のような疾走ではなく、一瞬で間合いを詰める「瞬身」の歩法だ。

 右の太刀が敵の武器を弾き、左の太刀がその隙を突く。

「ぎゃあああ!」

 忍たちの叫びが森に響く。摩亜屈の剣筋は正確無比で、無駄な動きが一切ない。

 まるで獲物を解体する狩人のように、彼は淡々と、かつ冷酷に敵を無力化していく。

 

 だが、森の奥から不気味な妖気が漂ってきた。

「ククク……噂通りの腕前だ。だが、この『闇の術』からは逃れられまい!」

 敵の術師が呪文を唱え、周囲の霧が生き物のように摩亜屈の足に絡みつく。

 

「小細工を……!」

 動きを封じられた摩亜屈に、工作兵たちが一斉に飛びかかる。

 絶体絶命。しかし、摩亜屈の瞳に光る冷徹な意志は揺るがない。

 

「イーグル! 力を貸せ!」

 

 摩亜屈の叫びに呼応し、武者イーグルが彼の背中へと舞い降りた。

 カチリ、と硬質な音が響く。

 イーグルが鎧の一部となり、摩亜屈の背に巨大な翼を形成したのだ。

 

「飛行形態、参る!」

 

 重力を無視した急上昇。絡みつく霧を引きちぎり、摩亜屈は天空へと逃れた。

 空中で旋回し、急降下。

 加速を乗せた二刀流が、術師の陣を文字通り粉砕した。

「必殺、二刀流・稲妻斬り!」

 爆炎が上がり、森を覆っていた不気味な霧が霧散していく。

 

 着地した摩亜屈は、再び静かに納刀した。

 肩に舞い戻ったイーグルが、誇らしげに翼を鳴らす。

 

「……これで三か」

 

 摩亜屈は懐から、武者頑駄無からの招集に応じるための印を取り出した。

 彼は群れることを好まない。

 だが、一人で守れるものには限界があることも、この戦いを通じて痛感していた。

 

「武者、そして精太か。……あまり足を引っ張ってくれるなよ」

 

 ぶっきらぼうな独り言を残し、摩亜屈は再び森の深淵へと消えていった。

 その背中には、天宮の平和を背負う、孤独な狩人の矜持が刻まれていた。

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