機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
天宮(アメノミヤ)の最北端、万年雪に覆われた極寒の「氷結山」。
そこでは、新生闇軍団の氷魔部隊が不気味な魔導装置を設置し、大陸すべてを永遠の冷気で閉ざそうと画策していた。村々は凍りつき、民が絶望に震え上がったその時――大地を揺らす凄まじい地響きと共に、白銀の世界を焼き裂く真紅の熱気が立ち昇った。
「フン……。風流を解さぬ氷細工で天宮を支配しようとは、片腹痛いわ! その冷気ごと、我が業火で熔かしてくれよう!」
雪煙の向こうから現れたのは、火炎の駄舞留精太(カエンノダブルゼータ)。
かつての伝説的武者・駄舞留精太が、天宮の守護意志たる『火の鎧』を継承し、軍団最強の「四天王」の一人として覚醒した姿である。
彼の背後には、溶岩を啜り、鼻から高熱の火炎を吹き上げる巨大な機械守護獣『火炎の象(ファイヤーエバ)』が、まるで動く要塞の如く鎮座していた。
「な、なんだあの巨大な象は!? 構わん、撃て! 奴を山ごと氷漬けにしてしまえ!」
闇軍団の放つ氷結弾が、豪雨のように駄舞留精太へ降り注ぐ。しかし、彼は避ける素振りすら見せず、悠然と歩を進めた。
「無駄だ。この鎧、そして象の皮膚は、太陽の如き核熱を宿しておる。小細工が通じる相手ではないわ!」
氷弾は駄舞留精太に触れた瞬間に蒸発し、周囲には真っ白な霧が立ち込める。その霧を割って、駄舞留精太が精神を統一し、印を結んだ。
「火炎合身(かえんがっしん)ッ!!」
ドォォォォォンッ!
火炎の象が法力によって分解し、駄舞留精太の鎧と複雑に噛み合いながら合体していく。
背中には山をも穿つ二門の巨大砲『大目牙(オメガ)放散砲』。足元には大地を粉砕しながら進む重装甲キャタピラが備わり、その姿はもはや一人の武者ではない。天宮の怒りを体現した「火を噴く移動要塞」そのものであった。
「火はすべてを焼き、すべてを浄化する。逃げ惑う暇など与えんぞ。……覚悟せい!」
駄舞留精太が全砲門を開放し、法力を一気にスパークさせる。
放たれたのは、ただの鉄塊ではない。一発一発が火山の噴火に匹敵する破壊力と、邪気を焼き払う聖なる熱を秘めた法力の塊だ。
「必殺! 怒髪天爆(どはつてんばく)!!」
ズドォォォォォンッ!!
氷結山を覆っていた巨大な氷壁が一瞬で気化して消失し、闇の部隊は断末魔を上げる暇もなく、視界を埋め尽くす熱波の中に飲み込まれていった。
爆煙が晴れた後に残ったのは、凍土を温かく溶かした雪解け水の川と、圧倒的な火力によって完全に浄化された静かな平地だけであった。
「……見たか、江須。これが『力』というものの真価よ。ただ壊すのではない。道を阻む障害を、その根底から焼き払う断固たる意志だ」
駄舞留精太は、物陰で師の背中を食い入るように見つめていた弟子・江須に向け、力強く親指を立てた。
「火」の四天王。
その熱き魂は、冷たい闇を跡形もなく焼き尽くし、若き五人衆が進むべき暗い夜道を、太陽よりも明るく照らし続けるのだ。