機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
新生闇軍団による苛烈を極める総攻撃。防衛線の最後尾に追い詰められた若き武者たちの前で、突如、地底から響くような重低音が轟いた。大地が大きく波打ち、並み居る闇の兵たちが足を取られて転倒する。
「退くな。……私の背後は、この世界で最も安全な場所だ」
砂塵を割って現れたのは、巨山の斎胡(キョザンのサイコ)。
かつての英雄・武者斎胡が、伝説の『山の鎧』を継承し、天宮を守護する四天王最後の一人として覚醒した姿である。その傍らには、漆黒の剛毛に覆われた巨牛『武者バイソン』が、地面を蹴り上げながら猛々しく控えていた。
「フン、図体ばかりデカいのが何をしに来た! 数で押し潰せ、突撃ィッ!」
闇軍団の重騎馬隊が、土煙を巻き上げながら怒濤の勢いで斎胡へと殺到する。
「……山は動かぬ。ただ、そこに在るのみ」
斎胡が静かに印を結び、巨木のような足で大地を強く踏みしめた。
「巨山合身(きょざんがっしん)ッ!!」
咆哮と共に武者バイソンが分解し、斎胡の四肢と胸部に分厚い鋼鉄の装甲として装着されていく。
もともと人並外れた巨漢であった斎胡の姿は、合体を経て、もはや一つの「小山」に匹敵する質量へと変貌を遂げた。その背には、一撃で城門を粉砕し、地形さえ変える伝説の業物『地動(ちどう)の大槌』が鈍い光を放っている。
激突の瞬間。
敵の放つ槍や刀が、斎胡の鎧に触れた瞬間に紙細工のように折れ曲がった。斎胡は眉一つ動かさず、一歩も退かない。それどころか、ただ立っているだけで敵の突進の衝撃をすべて跳ね返し、闇の兵たちの戦意を根底から挫いていく。
「次は、こちらの番だ。大地の怒り、その身に刻め」
斎胡がゆっくりと、しかし確実な力で地動の大槌を天高く振り上げた。法力が槌の先端に集約され、周囲の大気が凄まじい重圧で震え、鳴動する。
「必殺! 地脈大激震(ちみゃくだいげきしん)!!」
大槌が地表を叩いた瞬間、巨大な地割れが闇軍団を飲み込み、爆発的な衝撃波が地上の敵をすべて空へと跳ね上げた。まさに文字通り、戦場の地形そのものを書き換えてしまう一撃。
「……見事です、斎胡師匠。これが、本当の『山の力』……!」
離れた場所で戦っていた、若き斎胡(武者砕虎摩亜屈の弟)が、その圧倒的な威圧感に息を呑み、己の未熟さを悟る。
「……案ずるな、進め。お前たちの前にある障害は、すべて私が押し潰してやる」
四天王最後の一人、巨山の斎胡。
その不動の意思と鉄壁の肉体は、絶望に震える若き武者たちの心を繋ぎ止める、最後の、そして最強の砦となったのである。