機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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月下の双子、影荒烈駆主の正体(87 影荒烈駆主)

 初代大将軍の軍勢が、黒魔神の本拠地である闇の深淵へと進軍を続ける中、後方の警戒を任されていた新荒烈駆主は、背筋を凍らせるような強烈な「視線」を感じて足を止めた。

 月光さえも届かぬ鬱蒼とした森の境界。そこから、音もなく、大気を揺らすこともなく、その男は現れた。

 

「……光があれば影がある。お前が『新(シン)』を名乗るならば、私は『影(カゲ)』として在るのみ」

 

 影荒烈駆主(カゲアレックス)。

 

 新荒烈駆主がかつて、風林火山の激闘の中で魂を分かち合った「武神の鎧」――それを禍々しくも美しい漆黒に染め上げたような装束を纏い、背中には謎の守護獣『影鳳凰(シャドーフェニックス)』が、実体のない炎のような黒き羽を静かに羽ばたかせていた。

 

「貴様、何者だ……! なぜ俺と同じ顔を、同じ気配を纏っている!」

 

 新荒烈駆主が鋭く刀を抜き放つ。しかし、影の男は微動だにせず、面頬の奥から冷徹な眼光を向ける。

 

「私はお前の『可能性』の一つ。あるいは、道半ばで闇に堕ちたお前の無念の成れ果てか……。今の貴様に、それを知る資格があるかな?」

 

 影荒烈駆主が淀みのない所作で印を結ぶ。その瞬間、背後の影鳳凰が咆哮すら上げず、漆黒の光となって霧散した。

 

「影合身(シャドーチェンジ)ッ!!」

 

 分解されたパーツが、吸い込まれるように影荒烈駆主の身体に吸着し、合体していく。

 その姿は、かつての荒烈駆主が「二代目大将軍」の背中を追い求め、焦がれた完成形そのもの。しかし、そこから放たれる法力は、命を凍りつかせるほどに冷たく、鋭い。

 

「必殺! 影縫い・地烈斬(じれつざん)!!」

 

 影荒烈駆主が地を這うように放った一撃は、黒い雷火となって影を伝い、新荒烈駆主の足元を狙う。

 新荒烈駆主は反射的に跳躍し間一髪で防ぐが、あまりに自分と似た太刀筋、そして自分以上に一切の迷いがない理想的な「剛の動き」に戦慄を隠せなかった。

 

「(強い……! 圧倒的なまでの技のキレ。だが、不思議だ……殺気がない。まるで見えない刃で、俺の覚悟を試しているような……)」

 

「どうした、未来の大将軍を自称する少年よ。お前の掲げる『光』はその程度か。己の影に呑まれるような微かな光では、この時代の真なる闇、黒魔神を討つことなど夢のまた夢だ」

 

 影荒烈駆主は、背負った二門の『大目牙(オメガ)影筒』を空へ向けて乱射。黒い爆煙を盾にするようにして、瞬く間にその姿を消した。

 

 彼が去った場所には、月光に照らされた一通の古びた巻物が落ちていた。

 震える手でそれを開くと、そこには驚くべき精度で、黒魔神軍の戦力配置と最短の進軍経路が記されている。

 

「あいつは……俺を助けに来たのか? 敵か味方かもわからぬというのに……」

 

 謎が深まる中、新荒烈駆主は直感していた。

 この「影」との出会いこそが、自分自身のルーツ、そして「荒烈駆主」という名に隠された本当の秘密――なぜ自分が過去に飛ばされたのかという真意を解き明かす、唯一の鍵になるのだと。

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