機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
黒魔神の牙城、その外縁を囲むのは天を突くような断崖絶壁。そこには闇軍団の対空魔導砲台が整然と並び、先ほどから璽威武装の接近を阻むべく、禍々しい紫の光弾を休むことなく吐き出し続けていた。
「……あの砲台を叩かねば、本軍は進めん。死地へ飛び込む役目、この隼(ハヤブサ)が引き受けよう」
影の中から静かに名乗りを上げたのは、荒れ狂う風の音さえも自らの味方につける隠密の達人。
隼頑駄無(ハヤブサガンダム)。
彼は天宮の北方に位置する密林を住処とする一族の長であり、後の世に語り継がれる「二刀流」の奥義と、闇に紛れる「隠密行動」の開祖であった。
「(……あの研ぎ澄まされた集中力。そして、一切の無駄を削ぎ落とした静かな佇まい。間違いない、未来で俺を導いてくれた摩亜屈(マークツー)様、そして……あの哀しき宿命を背負った砕虎摩亜屈(サイコマークツー)のルーツ……!)」
新荒烈駆主は、彼が放つ独特の鋭い威圧感の中に、未来の兄弟武者たちの面影を強く見出し、胸を熱くする。
隼頑駄無が懐から古の印を取り出し、鋭い呼気と共に空へと放った。
「隼変幻(はやぶさへんげん)ッ!!」
主の呼び声に応じ、霊域から蒼き霊鳥『青隼(セイシュン)』が飛来。隼の背中へと、鋭利な刃を思わせる翼となって装着される。
それは単なる飛行ユニットではない。空気の抵抗さえも自らの法力へと変換し、一瞬にして音速を超える爆発的な加速を生み出す、文字通りの「神の翼」であった。
キィィィィィンッ!!
鼓膜を劈く高周波の音と共に、隼頑駄無の姿がかき消えた。重力を無視し、垂直の崖を垂直に駆け上がる青き閃光。
崖の上に陣取る闇の砲兵たちが、空を切る音にようやく異変を察した時には、すでに隼の残像が目の前を通り過ぎた後であった。
「抜かぬ。……必殺! 隼(はやぶさ)旋風斬!!」
空中で独楽のように超高速回転しながら、腰の二振りの名刀を一気に抜き放つ。
放たれた斬撃は真空の刃となり、巨大な魔導砲台の堅牢な基部を、紙細工のように一瞬で切り裂いた。
断崖の各所で沸き起こる連鎖爆発。しかし隼は、その紅蓮の炎の中から、白銀の羽毛ひとつ汚すことなく、重力を否定するような軽やかさで新荒烈駆主の隣へと舞い降りた。
「……道は拓いた。新しき時代の若き武者よ、お前のその瞳に宿る『光』、本物か偽物か、その剣で私に見せてみろ」
隼頑駄無の、全てを見透かすような鋭い眼光。
ついに、伝説の五人衆がその全ての力を解き放ち、空と大地の道が完全に開かれた。
新荒烈駆主は、歴史を築いた偉大なる先人たちの期待をその背に受けながら、ついに黒魔神が鎮座する暗黒の奥殿へと、その一歩を踏み入れるのであった。