機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
黒魔神の居城――その深淵へと続く巨門の前に、不気味な笑い声を響かせながら二人の武者が立ち塞がった。
一人は、鋭利な装甲と冷徹な双眸を持つ兄。もう一人は、剥き出しの牙と狂気を湛えた弟。
「クカカ……。ここまで来るとは褒めてやる。だが、ここが貴様らの死地であり、永遠の墓場だ」
「兄者、こいつらの魂、どちらが先に喰らうか競争だ! 骨まで残さず噛み砕いてやるぜぇッ!」
冷静沈着な兄・龍将(リュウショウ)と、闘争本能のままに荒れ狂う弟・飛将(ヒショウ)。
新生闇軍団の源流――後の世で天宮を苦しめることになる闇の幹部たちの、その恐怖の原典とも言える兄弟武者は、新荒烈駆主たちの行く手を阻むべく、禁断の呪法を解き放った。
「荒烈駆主、気をつけろ! 奴らの気配……一人一人が、今までの幹部とは桁が違う。命のやり取りを楽しんでやがるぞ!」
雷(イカズチ)が背筋を凍らせ警告を発するが、それよりも速く、二人の兄弟は漆黒の法力の火花を散らしながら空へと舞い上がった。
「龍飛合体(りゅうひがったい)ッ!!」
龍将が上半身、飛将が下半身となり、空間を歪ませるほどの魔力の奔流の中で一体化する。そこに現れたのは、通常の武者の倍以上の体躯を誇り、四本の腕を蠢かせる異形の巨大武者であった。
龍将飛将(リュウショウヒショウ)。
その巨大な手には三又の長大な槍『飛龍(ヒリュウ)』が握られ、胸部の龍の頭部からは、触れるものすべてを腐食させ、塵に還す闇の炎が絶え間なく吐き出される。
「必殺! 龍飛(りゅうひ)変幻・魔神斬!!」
重力を味方につけた巨大な質量の急降下。その一撃は、鋼鉄の城壁であるはずの武者璽威武装の装甲を紙細工のように容易く切り裂き、その余波だけで新荒烈駆主たちを力任せに吹き飛ばした。
兄の「理」による精密な狙いと、弟の「暴」による圧倒的な破壊力。
二人分の魔力と生命力が一つに溶け合った攻撃の前に、百戦錬磨の伝説の五人衆ですら、防戦一方へと追い込まれていく。
「どうした! 未来から来たという勇者よ。その程度の光では、我ら兄弟が紡ぐ深き闇を、一寸たりとも払うことなどできんぞ!」
空を支配し、嘲笑を浴びせながら、次々と必殺の槍を繰り出す龍将飛将。
個の力を超越した「合体」という名の暴力の前に、荒烈駆主はかつてない窮地に立たされる。冷たい闇の鎖が、彼の意識を絡め取ろうとしたその時。
絶望が深まれば深まるほどに――新荒烈駆主の「地の鎧」が、まるで意思を持つかのように激しく共鳴し、触れることさえ躊躇われるほどの熱を帯び始めていた。