機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
天を衝く黄金の光。初代大将軍の放った究極の一撃『大目牙太陽砲』は、闇の居城を根こそぎ粉砕し、すべてを浄化の彼方へ消し去ったかに見えた。
吹き荒れる爆風の中、誰もが勝利を確信し、その場に崩れ落ちるように安堵の息を漏らす。だが、新荒烈駆主だけは違った。彼の肌を刺すような冷気……それは、勝利の予感とは正反対の、吐き気を催すほどの邪悪な胎動だった。
崩れ去った瓦礫の深淵、そこから噴き出したのは、光さえも音もなく飲み込む、漆黒の「無」の濁流であった。
「クカカカ……! 待っていたぞ、この時を。初代の光、三代目の魂、そして貴様が連れてきた『未来』の因果……。それらすべてを混ぜ合わせ、唯一無二の、終わらぬ絶望へと変えてやる!」
地獄の底から響くような黒魔神の咆哮と共に、天宮(アメノミヤ)の空間そのものが、まるで見えない巨大な手に握りつぶされるかのように歪み、悲鳴を上げる。
そこへ、時空の裂け目から「それ」は現れた。
新荒烈駆主がいた未来の決戦において、三代目大将軍の光によって消滅したはずの闇皇帝の「核(コア)」。それは時代を超えた悪意の共鳴に導かれ、黒魔神の肉体とドロドロに溶け合い、異形の鼓動を打ちながら融合を始めていく。
黒魔神闇皇帝(クロマジンヤミコウテイ)。
立ち込める闇の霧の中から現れたのは、もはや武者の形をなさない、混沌の権化であった。
巨大な昆虫の肢を思わせる鋭利な鎌爪が、空気を引き裂く。不気味な鱗に覆われた首が、蛇のようにうねりながら四方へ伸び、その機体中心部には、生き物のようにドクドクと脈動する闇皇帝の巨大な「一つ目」が、憎悪を湛えて鎮座していた。
その存在が放つ「負の法力」は、もはや物理的な破壊を超えていた。
足元の瑞々しい草木は瞬く間に黒く変色して枯れ果て、豊かな大地は赤黒い腐臭を放つ底なしの泥沼へと変貌していく。
大将軍の降臨によって一度は晴れた空が、再び死の色に染まっていった。
「(……なんてことだ。俺が過去へ来たことで、闇の因果までもが重なり合い、最悪の怪物を生み出してしまったのか!?)」
新荒烈駆主は、己の介入が生んでしまったあまりに巨大で歪な「影」に戦慄し、深い自責の念に押し潰されそうになる。歴史を修正するために来たはずの自分が、歴史を終わらせる怪物を作ってしまった。その事実が、彼の心から光を奪おうとしていた。
「必殺! 暗黒雷光波(あんこくらいこうは)!!」
黒魔神闇皇帝の胸部の眼球から、全宇宙の負の感情を圧縮したような、昏い衝撃波が放たれた。
ドォォォォォンッ!!
初代大将軍が咄嗟に掲げた、金剛不壊を誇るはずの黄金の盾が、ガラス細工のように脆くも砕け散る。
その余波だけで、伝説の五人衆は木の葉のように空へと蹴散らされた。
過去の魔力と未来の呪い。二つの時代の「悪」が最悪の形で融合した力は、神の化身たる大将軍の聖なる光さえも、容赦なく蹂躙し、塗り潰していく。
「この世に光など不要。あるのは永遠の、静寂なる闇のみよ……。荒烈駆主よ、貴様の無駄な足掻きも、ここで終幕だ」
黒魔神闇皇帝の巨大な鎌爪が、満身創痍で動けぬ新荒烈駆主の喉元へ、確実な「死」を携えて迫る。
天宮の歴史がここで途絶え、万物が永遠の闇に沈もうとした、その時――!
新荒烈駆主の胸にある「地の玉」が、主の魂の慟哭に呼応し、闇を焼き払うほどの烈火の輝きを放った。
それは絶望の淵で、時空の彼方に散っていた、この窮地を救える唯一の「三つの高潔な魂」を呼び寄せる、最後の道標となったのである。