機動戦士ガンダム BB戦士 SD戦国伝 ノベライズ 〜コミックワールド武者から大将軍へ!〜 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
天宮(アーク)の国でも最も険しく、雲よりも高い場所に位置する「飛龍山」。
そこにある古寺で、一人の武者が瞑想に耽っていた。
武者仁宇頑駄無(ムシャニューガンダム)。
白を基調とした鎧に、高貴な紫の縁取り。
そして背負った巨大な羽のような装備――「飛龍の翼」が、陽光を反射して神々しく輝いている。
仁宇は、他の武者たちとは少し毛色が違っていた。
彼は武術のみならず、法力や兵法にも通じた修行僧のような一面を持っている。
今も、彼の意識は肉体を離れ、山を囲む風の流れと同化していた。
その静寂を破ったのは、鋭い金属音だった。
シュッ!
どこからともなく飛来した無数の苦無(くない)。だが、仁宇は目を開けることさえしなかった。
カチッ。
仁宇の背負った翼の一部「飛龍の矢」が、意思を持っているかのように分離し、空中で舞った。
それは目にも止まらぬ速さで全ての苦無を叩き落とし、再び元の位置へと戻る。
「……殺気で空気が淀んでいる。山を降りろ、闇の者たちよ」
仁宇が静かに立ち上がると、岩陰から闇軍団の暗殺部隊が姿を現した。
「武者仁宇、貴様のその妖術、種を暴けば恐るるに足らず! 囲めッ!」
暗殺兵たちが一斉に跳躍し、空中で仁宇を包囲する。
「術ではない。これは私と、我が魂の友……飛龍との絆だ!」
仁宇が印を結ぶ。
すると、背後の翼が完全に分離・合体し、空中で巨大な龍の姿を形作った。
これこそが、仁宇の相棒であり、最強の守護獣「武者飛龍」である。
「武者飛龍、参れ!」
仁宇自身もまた、その龍の背へと飛び乗った。
空中戦――。
地上では最強を誇る武者たちも、空では仁宇の独壇場だ。
飛龍は縦横無尽に空を駆け、口から火炎を吐き散らす。
それと同時に、仁宇の手にある「対雷威振(ツインライフル)」が、逃げ惑う敵を正確に射抜いていく。
「な、なんだあの動きは! どこを見ていいか分からん!」
「空を見上げる余裕があるのなら、己の足元の危うさにも気を配るべきだったな」
仁宇が指を鳴らす。
分離していた六枚の翼が、敵の退路を断つように円陣を組んだ。
「飛龍、一気に決めるぞ!」
龍の咆哮と共に、仁宇は愛刀「厳霊丸(げんれいまる)」を抜き放ち、上空から一閃。
雷光を纏った刃が空間を切り裂き、暗殺部隊を一人残らず雲の彼方へと吹き飛ばした。
「……南無」
戦いが終わると、飛龍は再び小さな翼の姿に戻り、仁宇の背中へと収まった。
静寂が戻った山頂に、一羽の鳥が舞い降りる。武者頑駄無からの文だ。
仁宇はその内容を一読すると、静かに目を閉じた。
「武者殿も人使いが荒い。……だが、星の巡りが告げている。天宮の闇を払うには、五つの光が一つにならねばならぬと」
彼は山門に向かって深く一礼すると、迷いのない足取りで険しい崖を降り始めた。
その足元は、まるで雲の上を歩いているかのように軽やかだった。
「待たせたな、仲間たちよ。天空の加護は、常に我らと共にある」
風が吹き抜け、仁宇の白い鎧が眩しく煌めく。
宿命に導かれた五人の武者。
伝説の「五人衆」が揃い踏みする日は、もうすぐそこまで来ていた。