たんぽぽと塾のストーキング恋愛❤️   作:伝説のファミチキ

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第二話「釈放」

たんぽぽぞうは、そのまま連行された。

パトカーの後部座席は狭く、シートは妙に硬かった。窓の外には夜の街が流れていく。

 

(……なんでこうなったんだろう)

 

頭の中で、さっきまでの出来事がぐるぐると回る。

窓が割れた音。塾ほりの驚いた顔。スマホを構えて笑っていた姿。

 

(俺、悪いことしたのか?)

(いや……プロデュースしようとしただけだよな?)

 

自分の行動を正当化しようとする気持ちと、少しの不安が入り混じっていた。

 

 

警察署に着くと、たんぽぽぞうは小さな部屋に通された。

 

「お前、なんであんなことしたんだよ!」

 

机を叩く音に、心臓が一瞬跳ねる。

だが、ここで弱気になったら終わりな気がした。

 

「は?

まずは名乗れよ。それが礼儀だろ!!!」

 

思った以上に声が大きくなったが、もう引けない。

 

怒鳴り返されると思った警官は、一瞬たじろいだあと、咳払いをした。

 

「……俺の名は、ぶだばらうゆだ。よろしくな」

 

「うゆ?

まあいいや。よろしくな。質問していいぞ!」

 

(よし、なぜか流れは悪くない)

 

「で、なんでクラスメイトの家に侵入した?」

 

たんぽぽぞうは少し考え、正直に答えることにした。

 

「TikTokがあまりにもキモすぎたから、

プロデュースしてあげようと思ったんですよ!」

 

言い切った瞬間、少しだけスッとした。

 

(悪気はなかった)

(むしろ親切心だ)

 

ぶだばらうゆは腕を組み、うなずく。

 

「なるほど……」

 

沈黙が続き、たんぽぽぞうは内心ドキドキしていた。

 

(ここで怒られたら終わりだな)

 

しかし、次の言葉は予想外だった。

 

「それは仕方ないな。

俺はお前を許す。もう行っていいぞ」

 

「……え?」

 

「やったー!嬉しい!」

 

拍子抜けしつつも、喜びが一気に込み上げた。

 

(この世界、案外優しいな)

 

 

警察署の前に出ると、冷たい夜風が顔に当たった。

 

「……ファミチキ、美味しかったぜ!」

 

なぜか心が落ち着いていた。

今日の出来事は最悪だったはずなのに、妙な達成感すらある。

 

(次は、ちゃんと話せるかな)

 

 

数日後。

学校の廊下。

 

たんぽぽぞうは、前から歩いてくる塾ほりを見つけ、足を止めた。

胸が少しだけドクンと鳴る。

 

「……よう」

 

「おぉ!釈放されたのね」

 

その軽い言い方に、少し安心する。

 

(嫌われては……ないのか?)

 

覚悟を決めて、たんぽぽぞうは口を開いた。

 

「なあ……」

 

「結局さ」

 

「プロデュース、していいのか?」

 

本当は答えが怖かった。

それでも聞かずにはいられなかった。

 

塾ほりは一瞬も迷わず言った。

 

「だめよ」

 

「そ、そんなー!」

 

胸の奥がズンと重くなる。

 

(やっぱり無理か)

(でも……完全に否定されたわけじゃ……ない?)

 

そんなことを考えているうちに、視界が揺れた。

 

「……あ」

 

そのまま、たんぽぽぞうは倒れた。

 

「え、ちょ、マジ!?」

 

気づいたときには、保健室のベッドだった。

 

一方、廊下に残された塾ほりは、倒れた方向を見つめながら思う。

 

(なんなの、あいつ)

(迷惑なのに……)

 

(……なんでちょっと気になるのよ)

 

――こうして、

プロデュースは拒否されたが、

気持ちは完全には終わらなかった。

 

第二話・完。

 

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