たんぽぽと塾のストーキング恋愛❤️   作:伝説のファミチキ

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本編ででたんぽぽぞうが別の行動やを起こさなかったらどうなるかを描いたifストーリーです。
今回の話の時間軸は第一の冒頭から始まります。


if I 「Favoritism」

たんぽぽは、スキー中にもかかわらず、まったく景色を見ていなかった。

白く広がるゲレンデも、耳元を抜ける風の音も、彼の意識には入ってこない。

頭の中にあるのは、いつもの雑念だけだった。

 

たんぽぽぞう

「あー……暇だなぁ……ストーカーしたいなぁ……」

 

口に出してみると、少しだけ気が楽になる。

彼にとってそれは冗談でもあり、本音でもあった。

誰かを遠くから見ているときだけ、自分が“存在している”気がした。

 

過去のことを思い出す。

夏祭り。人混み。提灯の光。

好きだった女の子の後ろ姿を追いかけ、勢いで言ってしまった言葉。

 

――「俺とやらない?」

 

今思い返すと、最悪だ。

でもそのときは、あれで何かが変わる気がしていた。

 

たんぽぽぞう

「……そういえばさ」

 

ふと、別の存在が頭に浮かぶ。

クラスの自己中女――塾ほり。

 

たんぽぽぞう

「TikTokやってるって聞いたな……」

 

何気なく、スマホを取り出す。

本当に軽い気持ちだった。

指が動き、動画が再生される。

 

数秒後。

 

たんぽぽぞう

「……な、なんだこれ……」

 

胸の奥が、ひゅっと冷える。

自己主張、承認欲求、作り笑い。

画面越しでも分かる“必死さ”が、なぜか彼を直撃した。

 

たんぽぽぞう

「き、キモすぎる……」

 

冗談のつもりで言ったが、

本当に頭がクラクラした。

 

(……無理だ)

 

自分が何かを言える立場じゃない。

そう分かっているからこそ、余計にダメだった。

 

たんぽぽぞう

「……今日はもう休もう」

 

スマホを閉じ、現実から逃げるように目を逸らした。

 

 

数日後。

 

教室で、塾ほりの声が響く。

 

塾ほり

「やばーい、パソコンの充電ないんだけどー」

 

軽い。

困っているようで、実は困っていない声。

 

たんぽぽぞうは、反射的にカバンに視線を落とした。

中にはモバイルバッテリー。

 

だが同時に、別の顔が浮かぶ。

山凸秋鬼。

 

――「明日、貸してくれよ」

 

確かに交わした約束。

 

たんぽぽぞう(心の声)

(……くそ)

 

心臓が、少し早く打つ。

別に大した約束じゃない。

そう思おうとする自分がいる。

 

(でもさ……)

 

視線を上げると、塾ほりがこちらを見ている。

期待とも、当然ともつかない目。

 

(男に貸すより……)

 

考えが、歪む。

 

(女に貸した方が、得じゃね?)

 

理由は後付けだった。

その瞬間、自分が何をしているのか、ちゃんと分かっていた。

 

たんぽぽぞうは、約束を破った。

 

塾ほり

「え、貸してくれるの?ありがと〜」

 

その一言で、胸の奥が少しだけ満たされた。

 

たんぽぽぞう

「……べ、別に」

 

だが同時に、

嫌な感覚が、底に沈んでいく。

 

 

数分後。

 

山凸秋鬼

「おーい、ぞう。約束の物は?」

 

たんぽぽぞう

「は?お前が充電してこないのが悪いんだろ」

 

自分でも驚くほど、言葉が強かった。

先に正当化しないと、耐えられなかった。

 

山凸秋鬼

「……約束、したよな?」

 

その瞬間、背後から声がした。

 

塾ほり

「たんぞう、モバイルバッテリーありがとね〜」

 

空気が、凍る。

 

山凸秋鬼は、ゆっくり振り返った。

 

山凸秋鬼

「……どういうことだよ」

 

たんぽぽぞうは、何も言えなかった。

言い訳はいくらでも浮かんだ。

でも、どれも嘘だった。

 

 

それ以降、秋鬼は何も言わなくなった。

怒鳴りもしない。

責めもしない。

 

それが一番、怖かった。

 

たんぽぽぞう(心の声)

(……やっちゃった)

 

数日後、街で小さな異変が起き始める。

説明できない揺れ。

空の色の違和感。

 

誰も気にしない。

ただ、戻らない。

 

たんぽぽぞうは知っていた。

原因を。

 

これは、

約束を軽く扱った結果だと。

 

やがて、世界は静かに壊れていった。

 

爆音も、悲鳴もない。

ただ、取り返しがつかない。

 

山凸秋鬼は、何も言わず、

世界を壊した。

 

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