吸血姉妹は終末を迎えた世界で生きる   作:ゆっくり那由多豊苑

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前書きは書くの疲れたから書きません


吸血姉妹の終末旅 11話:忍び寄る影

 

 夕暮れ。

 

 茜色に染まった空を見上げながら、レミリアは役所の屋上で一人、風に吹かれていた。

 

 街には夕食の支度をする香りが漂い、子どもたちの笑い声が聞こえてくる。

 

「……今日も平和ね」

 

 そう呟いたレミリアの口元には、穏やかな笑みが浮かんでいた。

 

 そんな時だった。

 

「お姉様ー!」

 

 元気な声と共に、フランが階段を駆け上がってくる。

 

「こんなところにいた!」

 

「どうしたの?」

 

「クサリさんが晩ご飯できたって!」

 

「あら、もうそんな時間?」

 

 レミリアは少し驚いたように空を見上げる。

 

「考え事をしていたら、時間を忘れていたわ」

 

「また?」

 

 フランは呆れたように笑う。

 

「お姉様って、時々そうなるよね」

 

「そうかしら?」

 

「そうだよ!」

 

 二人は笑いながら屋上を後にした。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 役所の食堂では、クサリが温かいシチューをよそっていた。

 

「遅かったな」

 

「ごめんなさい」

 

 レミリアは少し申し訳なさそうに席へ着く。

 

「いただきます!」

 

 フランは元気よく手を合わせる。

 

 三人で囲む食卓は、以前の紅魔館ほど豪華ではない。

 

 それでも、誰かと食べる食事には温もりがあった。

 

「美味しい!」

 

 フランは嬉しそうに頬張る。

 

「口の周り」

 

 レミリアは苦笑しながらハンカチでフランの口元を拭いた。

 

「えへへ」

 

 子どものように笑うフラン。

 

「……本当に仲がいいな」

 

 クサリはコーヒーを飲みながら微笑んだ。

 

「当然よ」

 

 レミリアは少し照れながらも答える。

 

「フランは私の宝物だもの」

 

「お姉様……」

 

 フランの頬が少し赤く染まる。

 

「私も、お姉様が一番!」

 

 そう言ってレミリアの腕に抱きついた。

 

「こら、ご飯中でしょう?」

 

「えへへー」

 

 クサリはその様子を見て、小さく笑った。

 

「……見ていて飽きない姉妹だ」

 

 ◇ ◇ ◇

 

 食事を終えた後。

 

 夜風に当たりたいと言って、レミリアは一人で街の見回りへ向かった。

 

「今日は私も行く!」

 

 フランが後ろからついてくる。

 

「眠くないの?」

 

「平気!」

 

「無理は駄目よ」

 

「大丈夫!」

 

 結局、二人で夜道を歩くことになった。

 

 静かな街。

 

 見張りの兵士たちが巡回し、遠くでは焚き火が揺れている。

 

「平和ねぇ」

 

 レミリアは小さく呟いた。

 

「うん!」

 

 フランも嬉しそうに頷く。

 

 その時。

 

 ──カラン。

 

 何か金属が落ちる音が響いた。

 

 二人は同時に足を止める。

 

 レミリアの表情が変わった。

 

「フラン」

 

「うん」

 

 さっきまでの笑顔は消えている。

 

 二人は音のした方向へ静かに歩いていく。

 

 細い路地。

 

 積み上げられた木箱の陰。

 

「……誰?」

 

 レミリアが低く問いかける。

 

 返事はない。

 

 だが、次の瞬間。

 

 黒い影が屋根へ飛び移った。

 

「!」

 

 レミリアはライフルを構える。

 

 しかし撃たない。

 

「待ちなさい!」

 

 影は振り返ることなく、建物の上を駆けていく。

 

「お姉様!」

 

「追うわ!」

 

 二人は翼を広げ、一気に夜空へ舞い上がった。

 

 月明かりの下を飛ぶ三つの影。

 

 だが相手は驚くほど素早い。

 

 屋根から屋根へと飛び移り、森の方角へ向かっていく。

 

「逃がさない!」

 

 レミリアは速度を上げた。

 

 あと少しで追いつく。

 

 その瞬間。

 

 影は小さな筒を地面へ投げつけた。

 

 ──ボンッ! 

 

 白い煙が辺りを包み込む。

 

「煙幕!」

 

 視界が真っ白になる。

 

 数秒後。

 

 煙が晴れた時には、黒い影は消えていた。

 

「……逃げられた」

 

 レミリアは悔しそうに拳を握る。

 

「お姉様」

 

 フランが足元を指差した。

 

「これ……」

 

 地面には一枚の黒い金属板が落ちていた。

 

 レミリアは拾い上げる。

 

 表面には見たことのない紋章と、数字のような文字が刻まれている。

 

「これは……?」

 

「街の人のじゃないね」

 

「ええ」

 

 レミリアは静かに頷いた。

 

 嫌な予感が胸をよぎる。

 

 二人は急いで役所へ戻ることにした。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 その頃。

 

 街から数キロ離れた森の奥。

 

 黒い外套の人物は無線機を耳に当てていた。

 

「こちら偵察班」

 

 低い声が響く。

 

「対象を確認」

 

 少し間を置いて続ける。

 

「コードネーム『スカーレット』……確認完了」

 

 無線の向こうから短い返答が返ってくる。

 

『引き続き監視を継続せよ』

 

「了解」

 

 通信が切れる。

 

 男は夜空に浮かぶ満月を見上げ、小さく笑った。

 

「ようやく見つけた……レミリア・スカーレット」

 

 その瞳には、不気味な執念が宿っていた。

 

 一方、その脅威をまだ知らないレミリアは、拾った黒い金属板を見つめながら静かに呟く。

 

「……この街にも、嵐が来るのかもしれないわね」




とうとう、レミリア達の前に現れた謎の人物、果たしてこれからどうなるのでしょうか
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