吸血姉妹は終末を迎えた世界で生きる   作:ゆっくり那由多豊苑

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時が経ち、レミリアとフランはクランツ街に暮らし、慣れてきた、相変わらずレミフラは可愛らしい


吸血姉妹の終末旅 8話:姉妹の日常

 

 クランツ街で暮らし始めて数日。

 

 少しずつではあるが、レミリアとフランもこの街での生活に慣れ始めていた。

 

 朝。

 

 窓から差し込む柔らかな日差しに、フランはゆっくりと目を覚ます。

 

「……んぅ」

 

 眠そうに目を擦りながら隣を見ると、そこには既に身支度を終えたレミリアの姿があった。

 

「お姉様、おはよう……」

 

「おはよう、フラン。よく眠れた?」

 

「うん!」

 

 元気よく頷くフランを見て、レミリアは優しく微笑んだ。

 

「じゃあ、朝ご飯を食べに行きましょうか」

 

「わーい!」

 

 フランはレミリアの手をぎゅっと握る。

 

 その温もりに、レミリアも自然と手を握り返した。

 

 食堂へ向かう途中、街の人たちが二人に挨拶をしてくる。

 

「おはようございます!」

 

「おはよう」

 

「区域議員さん、お疲れ様です!」

 

「えぇ、おはよう」

 

 レミリアは少し照れくさそうに会釈する。

 

 まだ「区域議員」と呼ばれることには慣れていない。

 

 そんな様子を見ていたフランは、くすっと笑った。

 

「お姉様、照れてる?」

 

「べ、別に照れてなんか……」

 

 言いかけたところで、前を見ていなかったレミリアは──

 

「きゃっ」

 

 街灯に額を軽くぶつけた。

 

「……」

 

「……」

 

 一瞬、静まり返る。

 

「お、お姉様……?」

 

 フランは目をぱちぱちと瞬かせる。

 

 レミリアは額を押さえながら何事もなかったように立ち上がった。

 

「……今のは街灯の方が動いたのよ」

 

「動いてないよ!」

 

 フランは思わず吹き出した。

 

「あはははっ!」

 

 周りの住民たちも笑いを堪えきれない。

 

 レミリアは顔を真っ赤にしながら咳払いをした。

 

「……忘れなさい」

 

「無理だよ、お姉様!」

 

 フランはお腹を抱えて笑い続ける。

 

 そんな二人を見ていたパン屋のおばあさんが優しく笑った。

 

「本当に仲の良い姉妹だねぇ」

 

 その言葉に、レミリアは少し照れながら微笑む。

 

「えぇ。自慢の妹よ」

 

 フランは嬉しそうにレミリアへ抱きついた。

 

「私も、お姉様が大好き!」

 

 レミリアは優しく頭を撫でる。

 

「ありがとう」

 

 朝食を終えた二人は、市場を歩いていた。

 

「お姉様!」

 

 フランが屋台を指差す。

 

「あれ、美味しそう!」

 

 焼き菓子の甘い香りが漂っている。

 

「食べたいの?」

 

「……ちょっとだけ」

 

 レミリアは財布を取り出し、二人分を買った。

 

「はい」

 

「ありがとう!」

 

 フランは嬉しそうに一口かじる。

 

「おいしい〜!」

 

 幸せそうな笑顔だった。

 

 その顔を見ているだけで、レミリアも自然と笑顔になる。

 

「そんなに美味しいの?」

 

「お姉様も食べて!」

 

 フランは自分のお菓子を差し出した。

 

「え?」

 

「はい、あーん!」

 

 周囲の視線が集まる。

 

「え、えっと……」

 

 レミリアは戸惑う。

 

「ほら!」

 

「……じゃ、じゃあ」

 

 小さく口を開ける。

 

 ぱくっ。

 

「……美味しいわね」

 

「でしょ!」

 

 フランは満足そうに笑う。

 

 そこへ偶然、クサリが通りかかった。

 

「何してるんだ?」

 

「お姉様に食べさせてた!」

 

 フランは満面の笑みで答えた。

 

「なるほど」

 

 クサリは笑いながら腕を組む。

 

「相変わらず仲が良いな」

 

 その一言で、レミリアの顔がまた赤くなる。

 

「べ、別に普通よ」

 

「普通かなぁ?」

 

 クサリはにやりと笑う。

 

「顔、真っ赤だけど」

 

「…………」

 

 レミリアは恥ずかしさのあまり翼をしゅんと垂らした。

 

 その様子を見たフランは、小さく笑う。

 

「お姉様って、本当に照れ屋だよね」

 

「うぅ……」

 

 反論できない。

 

 クサリは笑いを堪えながら言った。

 

「普段は頼れるのに、こういうところは年相応なんだな」

 

「……年相応じゃないわ」

 

「そうだったな。五百年以上生きてたんだった」

 

「そこじゃないのよ……」

 

 レミリアは小さくため息をつく。

 

 その天然ぶりに、フランもクサリも思わず笑ってしまう。

 

 穏やかな笑い声が、平和な街に響いた。

 

 だが、その様子を少し離れた路地裏から見つめる、一つの人影があった。

 

 黒い外套を羽織ったその人物は、小さく呟く。

 

「……吸血鬼が、この街にいるのか」

 

 その声は風に紛れ、誰の耳にも届くことはなかった。




レミリアとフランは知らない、影で動く危険を孕んだ者が居ることを…
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