『双氷の加護 ―世界で一番可愛い弟が、最強の精霊と姉に甘やかされる理由―』 作:can'tPayPay
もう片方と同じような内容になりそうやけど
「―――ん、……ふふ。おはよう、私の可愛いアルヴ」
視界がゆっくりと開ける。最初に飛び込んできたのは、透き通るような銀色の髪と、アメジスト色の瞳。
世界で一番美しく、そして今、世界で一番甘い体温をこちらに寄せてくる少女――エミリアだった。
「……姉、さま……?」
アルヴが少し掠れた声でそう呼ぶと、彼女の瞳がパッと輝いた。
まるで宝石に魔法をかけたような、眩しい笑顔。
「ええ、そうよ! もう一度言ってくれるかしら?」
「姉さん。……おはよ、エミリア姉さん」
「~~~っ! うん、おはよう! ああ、もう……本当に、すごーく可愛いんだから!」
言うが早いか、エミリアはアルヴの頭を優しく、それでいて逃がさないように抱きしめた。
柔らかな花の香りと、姉特有のひんやりとして心地よい魔力の気配に包まれる。
長い間、エリオール大森林の氷の中で眠っていた二人が目覚めてから数日。
エミリアは、アルヴが少しでも視界から消えると「どこ!? どこへ行ったの!?」とパニックになるほど、彼を……その、溺愛していた。
「姉さん、ちょっと苦しいかな……」
「あら、ごめんなさい。でも、あなたがまたどこかへ行っちゃうんじゃないかって思うと、お姉ちゃん、じっとしていられないの」
エミリアはアルヴの頬を両手で包み込み、いとおしそうに指で撫でる。
「……リアの言う通りだよ。ボクも心配で、お昼寝も満足にできなかったんだから」
エミリアの胸元の結晶から、小さな灰色の猫――パックが姿を現した。パックはアルヴの鼻先にふわりと着地し、肉球でアルヴの額を優しく叩く。
「おはよう、アルヴ。元気そうで何よりだ。ほら、パパのところにもおいで。ブラッシングしてあげよう」
「パック……。僕、もう自分でお風呂も入れるよ」
「だーめ。アルヴはまだ、目覚めたばかりのひな鳥さんなんだから。ね? 私が全部、お世話してあげるから」
エミリアはアルヴを離そうとせず、その銀髪に何度も口づけを落とした。
扉の向こうで、この屋敷の使用人であるレムや、居候のスバルが「またエミリア様のブラコンが始まった……」と呆れている気配がするけれど。
今のエミリアとパックには、アルヴ以外のものは何も見えていない。
「大好きよ。愛してるわ。……これからずっと、ずっと、お姉ちゃんが守ってあげるからね」
耳元で囁かれる、甘く重い誓いの言葉。
リゼロの世界で、アルヴの「最強に甘い姉様と父様」との生活が、こうして幕を開けた。
次の展開の予定
* 第2話: 食堂での朝食。レムの献身的な給仕と、それに対抗して「あーん」を譲らないエミリアのバトル。
* 第3話: アナスタシアとの出会い。アルヴを一目で気に入った彼女が、「うちの商会に来おへん?」と誘惑し、エミリアの逆鱗に触れる。