BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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凛馬は、ミケのまっすぐな愛情に背中を押され、自分の過去を打ち明ける。誰にも必要とされなかった孤独。だがこの世界では名前を呼ばれ、触れられ、待たれている―その温もりの中で凛馬は「ここに残りたい」と初めて本音を語る。ミケと母の言葉に包まれ、凛馬は"選ばれない存在"から"必要とされる存在"へと一歩踏み出せた。そんな気がした。


11話 暖かい朝の事

ミケは凛馬の体温を感じながら、幸せそうに寝息を立てていた。

その光の中で、猫耳がときどきぴくりと動き、尻尾が無意識のように凛馬の身体に巻きついている。

「…ん、にゃ…凛馬……」

寝言で名前を呼ぶミケの顔は、満足そうな笑顔だった。

やがて朝日が窓から差し込み、凛馬の頬を照らす。その光の中で、ミケはすでに目を覚ましており、凛馬の寝顔をじっと見つめていた。

「にゃ…凛馬、起きてにゃ。朝にゃよ」

ミケが指先で、そっと凛馬の頬をつつく。昨夜よりも、さらに柔らかく、幸せそうな表情だった。

「今日も学校にゃ!みんなに会えるにゃ!凛馬、早く準備するにゃ!」

そう言って、ミケは凛馬の手を引いて起こそうとする。

「おはよう、二人とも。朝ごはん、できてるわよ」

階下から、ミケの母の声が聞こえた。

食卓には、トーストやスクランブルエッグ、サラダ。そして、凛馬のために用意された和食のおかずまで並んでいる。

「にゃ!お母さん、すごいにゃ!凛馬、いっぱい食べるにゃ!」

ミケは凛馬の隣に座り、嬉しそうにフォークを手に取った。

「凛馬くん、今日も学校、楽しんできてね。それと…これ」

ミケ母は、凛馬に小さな袋を差し出す。中には、手作りのクッキーが入っていた。

「お昼のデザートよ。みんなで食べてね」

「お母さん…ありがとうにゃ!凛馬、きっと喜ぶにゃ…」

 

朝食を終え、二人は制服に着替える。

凛馬は昨日と同じ服だったが、ミケは「今度、新しいの用意するにゃ」と嬉しそうに言った。

「じゃあ、学校行くにゃ!今日も楽しい一日になるにゃ♫」

ミケが凛馬の手を握り、玄関を出る。赤いリードは、今日も凛馬の首輪につながれていた。校門には、すでにアオ、コハク、ミナ、ヒョウカの姿があった。

「凛馬くん!おはよう!今日も一緒だね」

「おはよう、凛馬くん。昨日は楽しかったわね。今日も楽しみましょ?」

「おはようございます、凛馬くん。昨日はありがとうございました」

「…おはよう」

「みんな、おはようにゃ!凛馬、今日も一日頑張るにゃ!」

五人は並んで、教室へ向かう。

廊下では昨日と同じように、多くの生徒が凛馬に視線を向け、ざわめき始めた。

「キャー!人間だ!本当にいるんだ!」

「すげー!触ってもいいか!?」

「ダメにゃ!」

ミケが一歩前に出て、凛馬をかばう。

「凛馬は私の大事な人にゃ!勝手に触らないでほしいにゃ!」

「そうよ。凛馬くんは、私たちの大切な友達なんだから」

「…邪魔だ。どけ」

ヒョウカが冷たい視線で、生徒たちを威圧する。

「皆…そんなに邪険にしなくてもいいんだよ。できれば、仲良くしたい」

優しくすれば、居場所が消えない気がした。

「にゃ…凛馬がそう言うなら…」

ミケは少しだけ寂しそうにしながらも、凛馬の優しさに頬を緩めた。

「凛馬くん、本当に優しいね!じゃあ、みんなで仲良くしよ!」

その言葉に、教室中が一気にざわつく。

「本当!?じゃあ私も話していい!?」

「マジか!人間と友達になれるとか!」

「あらあら…凛馬くん、またちょろいこと言って。みんなに取られちゃうわよ?」

コハクがくすっと笑いながら、凛馬の頬をつつく。

「…本当にお人好しだな。まあ、嫌いじゃない」

「凛馬くん優しすぎます…でも、その優しさ、素敵です…」

ミナが恥ずかしそうに頬を染めた、その時。

教室のドアが開き、担任の教師が入ってくる。

「おはよう。席に着け。今日も凛馬くんがいるが、昨日と同じように授業を進める。ただし…」

担任は、凛馬を見た。

「放課後、校長がお前に会いたいそうだ。博物館や大学との連携について、話があるらしい」

「にゃ!それって…凛馬の元の世界に帰る方法を探してくれるってことにゃ?」

元の世界に帰れる。嬉しいことのはずなのに、凛馬の心はパッとしなかった。

「可能性の話だ。まだ決まったわけじゃない。放課後、校長室に来い」

「にゃ……」

ミケの耳が、しょんと垂れた。昨夜腕の中で感じた体温が、急に遠くなる気がした。

「凛馬くん…帰っちゃうの…?」

「…まだ、決まったわけじゃない。今は授業に集中しよう」

「そうね。焦らず、今を楽しみましょ」

一時間目の授業が始まる。

数学の板書を前にしながらも、黒板の数字は、どこか遠くに感じた。

放課後。その時間がやけに重く、ゆっくりと近づいていた。

 




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