BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

13 / 82
休み時間、凛馬はクラス中の生徒に囲まれ一気に人気者となる。写真や質問攻めに遭いながらも、仲間たちとの絆を確かめ合う。しかし、凛馬の胸には「この居場所もいつか失うかもしれない」という不安が芽生えていた。


13話 姉として選んだ距離

「にゃ!お昼にゃ!凛馬、今日も屋上で食べるにゃ!」

ミケがそう言って凛馬の手を引く。

昨日までと同じはずの仕草なのに、その距離感はどこか違っていた。強く引き寄せるでもなく、逃がさないように握るでもない。ただ隣にいるのが当たり前だと言わんばかりの、自然で温かな手の感触だった。

「僕も一緒!今日はね、お母さんが張り切って作ってくれたんだ!」

「ふふ、今日も賑やかなお昼になりそうね」

「…ついていく」

「今日も屋上ですね。楽しみです」

屋上にはすでに何人かの生徒が集まり、思い思いに昼食を取っていた。

凛馬の姿が見えた瞬間、何人かがこちらを指差し、声を上げる。

「あ、凛馬くんだ!」

「一緒に食べない?」

その前に、ミケが一歩前へ出た。

「にゃ!凛馬は私の家族にゃ!今日は私たちと食べるにゃ!」

その言葉に、周囲がざわつく。

"家族"。その言葉に凛馬は一瞬戸惑った。

その言葉を、自分に向けて使われたことはあっただろうか。そんな事が頭の中で浮かんでしまった。

「あら?今日は“家族”なのね」

「…凛馬は、私の大切な家族にゃ。弟みたいなものにゃ。だから守るにゃ」

そう言って、ミケは凛馬の頭を優しく撫でる。そこに独占欲はなく、ただ慈しむような温度だけがあった。

「じゃあ僕も兄弟だね!」

「…家族か。悪くない」

「凛馬くん…大切にされてますね……」

ただ、その群衆の中で「人間なのに?」と誰かが小さく呟いた。6人はその言葉を聞いていなかった。

 

六人で円になり、弁当を広げる。ミケの弁当には、凛馬の顔を模したおにぎりまで入っていた。

「にゃ!今日は私が作ったにゃ!」

「……すごいな」

「僕のお弁当も食べて!」

「私も…これ、どうぞ…」

「俺のも…食うか?」

気づけば、凛馬の弁当はおかずで山盛りになっていた。次々と差し出されるおかずに、凛馬の弁当はあっという間に山盛りになる。

良いペースでおかずを食べ進めていた凛馬だが、遂に限界が来てしまった。

「…ちょっと待て、さすがに多すぎ…」

ついに音を上げると、ミケが慌てて背中をさする。

「にゃ!?大丈夫にゃ!?」

「…無理するな」

「ほら、言いましたよね…」

「にゃ…残りは私達が食べるにゃ。家族なんだから遠慮しないにゃ」

みんなで分け合い、凛馬はようやく息をつく。

「凛馬、横になるにゃ。膝、貸すにゃ」

自然な動きで差し出された膝に、凛馬は少し迷ってから身を預けた。頭を撫でる手は、恋人のものではなく、守る者のものだった。

「…ありがとう」

「凛馬は私の大切な弟にゃ。つらい時は言うにゃ。お姉ちゃんが守るにゃ」

「あらあら、ミケったら完全にお姉さんね」

「僕も頼っていいからね!」

「…最初の警戒心はどこいった」

昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。

「にゃ!午後も頑張るにゃ!」

手を引かれて立ち上がる。

その距離はもう、不安でも支配でもなく―凛馬にとって初めての「居場所」の距離だった。

 




最後まで見てくださりありがとうございます!
次回、遂に校長との面談です、、、凛馬の心はどちらに傾くのか?
反応くださると励みになります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。