そこは獣人が当たり前に暮らす世界で、人間は極めて珍しく、危険な存在だった。
混乱する凛馬の前に現れたのは、同じ大学の猫族・ミケや狐族・コハクら獣人たち。
恐怖と好奇心が入り混じる中、凛馬は――元の世界にはもう戻れないことを悟り、彼女たちを信じる決意をする。
「ほんと!?やったにゃ!じゃあ決まりだにゃ!今日から凛馬は私が面倒見るにゃ!」
ミケが嬉しそうに凛馬の手を握りしめる。
「あらあら、ミケったら早速独占宣言?私も興味あるのに~」
コハクがクスクスと笑いながらミケの肩を叩
く。
「僕も一緒に遊びたいな!凛馬くん、明日学校来る?」
「・・・学校に人間連れてくるのは問題になるぞ。先生に報告しないと」
「そうね。でも今日はもう遅いし、明日の朝一番で校長先生に相談しましょう。今夜はミケの家でいいわね?」
「もちろんだにゃ!じゃあ行こう!あ、そうだ・・・明日からちゃんと管理するために、首輪つけないとダメかもにゃ」
ミケが何気なく呟く。この世界では人間はペ
ット扱いされるのが常識らしい。
凛馬は焦る。
「くっ、首輪!?まさか俺につける訳じゃないよな!?」
ミケが当然のように言い放つ。
「えっ?だって凛馬は人間だにゃ?この世界じゃ保護対象かペットとして扱われるって決まってるにゃ。首輪つけないと、他の獣人に連れていかれちゃうかもしれないにゃ!」
「あはは、嫌がってる~。可愛いわね。でもミケの言う通りよ?首輪がないと『飼い主がいない野良人間』って思われちゃうわ」
「…決まりだ。首輪かタグがない人間は、警察に保護される」
「そ、そうなのよ・・・ごめんなさいね。でも、ミケの首輪なら可愛いデザインのを選んでくれると思うわ」
「僕も一緒に選びに行きたいな!凛馬くんに似合う首輪、探そうよ!」
アオが無邪気に提案する。
「決まりだにゃ!明日の朝、学校行く前にペットショップ寄るにゃ!楽しみだにゃ〜」
反論しようとして、言葉が喉で止まった。この世界で、人間は“選ぶ側”じゃない。
「……分かった」
凛馬は少し落ち込んだ。
「あはは、そんな落ち込まないでにゃ〜。私、ちゃんと優しい飼い主になるから!」
ミケが凛馬の頭をなでなでする。
「ふふ、諦めが早いのね。まあ、この世界じゃ仕方ないわよ。でも安心して?ミケは面倒見いいから」
「・・・まあ、他の獣人に拾われるよりはマシだと思う。ミケは騒がしいけど、悪い奴じゃない・・・」
やがて一行はミケの家に到着した。一軒家で、玄関を開けるとミケの母親が出迎えた。
「あら、ミケお帰り・・・って、その子は・・・!?」
母親も猫族で、驚いた表情で凛馬を見つめる。
「お母さん!人間拾ったにゃ!今日から飼ってもいい?」
「ええっ!?人間!?本当に!?わ、分かったわ・・・でも、ちゃんと責任持って世話するのよ?」
「あの、お邪魔します。私たちも少しお話させていただいてもいいですか?」
「もちろんよ。さあ、みんな上がって。夕飯も一緒にどうぞ」
こうして凛馬は、異世界での生活をミケの家でスタートさせることになった。
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