「にゃ!じゃあ、午後の授業も頑張るにゃ!凛馬、お腹大丈夫かにゃ?」
昼休み、またおかず攻めに遭った凛馬の膨らんだお腹をミケが心配そうに見る。凛馬の虹色の尻尾が、ゆっくりと揺れた。
ミケの頬がほんのり赤くなるのに凛馬は気づかない。
「ふふ、動けるかしら?午後は数学よ」
「……満腹で眠くなるぞ」
「あはは、大丈夫!僕が隣で起こしてあげるから!」
他の人が凛馬の手を握った瞬間、ミケの胸がちくりと熱くなる。
チャイムが鳴り、午後の授業が始まる合図が響く。クラスメイトたちが教室へ戻り始めた。
「さあ、凛馬くん、教室に戻りましょう」
ミケの視線がつい凛馬の虹色の耳や尻尾に向かう。友達以上の何かを、まだ本人は自覚していない。
「にゃ!凛馬、これからもずっと一緒にゃ!」
その声に、クラスの誰もがなんとなく胸をざわつかせた――
友情だけでは説明できない、微かな感情の芽生え。
最後の授業が終わり、ホームルームも終了した。生徒たちが帰り支度を始める中、アオが突然立ち上がった。
「あ!そうだ!凛馬くん、今日うちに泊まりに来ない?」
「にゃ!?ちょ、ちょっと待つにゃ!凛馬は私の家の子にゃ!」
「あら、でもたまには他の子の家に泊まるのも良いんじゃない?私の家も凛馬くんを歓迎するわよ?」
「……うちも、別に構わないが」
「あの……私の家も……もし良ければ……」
5人が一斉に凛馬を見つめる。教室の空気が一瞬で緊張に包まれた。手が触れたり、視線が重なる度、胸の奥がちくりと熱くなる。
「にゃあ……みんな、凛馬を取り合うつもりにゃ……?」
「ふふ、だって凛馬くんともっと仲良くなりたいもの。ミケちゃんだけずるいわよ?」
「そうだよ!僕も凛馬くんと一緒に過ごしたい!お泊まり会したい!」
「……まあ、各家を順番に回るという手もあるが」
「それです!順番に凛馬くんを泊めるんです!そうすれば、みんな平等に凛馬くんと過ごせます!」
皆の視線が自然に凛馬の虹色の耳や尻尾に向く。まだ友情の範囲内。だが確かに胸はざわめいてた。
「にゃ!それなら私も納得にゃ!じゃあ、今日は私の家で、明日はアオの家、その次はミナの家……って感じにゃ?」
「ふふ、じゃあ私は4日目ね。楽しみだわ♫」
「……俺は最後でいい」
5人が凛馬を囲み、期待に満ちた目で見つめる。
「凛馬くん!いいよね!?お泊まり会!」
「凛馬くん……お願いします……」
「凛馬くんも、みんなともっと仲良くなりたいでしょ?」
「にゃ!凛馬!楽しいお泊まり週間にゃ!」
凛馬が口を開く。
「俺は大丈夫だけど……皆はいいのか?親がびっくりするかもしれないだろ?」
「大丈夫だよ!うちのお母さん、凛馬くんのこと知ってるから!『あの虹色の獣人の子、連れておいで』って言ってたもん!」
「ふふ、うちの両親も『五種族の力を持つ子を見てみたい』って興味津々よ。むしろ大歓迎されるわ」
「私の家族も……新聞で凛馬くんのこと読んで……『ぜひお会いしたい』って……」
「……うちは一人暮らしだ。親はいない。だから問題ない」
ヒョウカが淡々と答える。少し寂しげな雰囲気が漂ったが、すぐにミケが明るく割り込んだ。
「…にゃ!うちのお母さんはもう凛馬を家族として認めてるから、むしろ『他の家でも可愛がってもらいなさい』って言ってたにゃ!」
「ヒョウカ!凛馬くんが泊まったら、寂しくなくていいわね♫」
「……別に、寂しくない」
「じゃあ決まりだね!今日はミケちゃんの家、明日は僕の家、その次はミナちゃん、コハクちゃん、最後にヒョウカちゃん!」
「あの……週末を挟むので、少し長くなりますが……大丈夫ですか、凛馬くん?」
「にゃ!凛馬、楽しいお泊まりウィークにゃ!みんなの家族とも仲良くなれるにゃ!」
その時、教室の扉が開き、担任が顔を出した。
「おい、凛馬。校長が呼んでる。明日の全校集会の打ち合わせだ」
「にゃ!じゃあ、凛馬が戻ってくるまで待ってるにゃ!」
「ふふ、行ってらっしゃい、凛馬くん」
「頑張ってね!」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
次回、全校集会です。すべての視線が、凛馬に集まります。