BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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全校集会で想いを語り、学校に受け入れられた凛馬。
仲間たちの家を順番に回る“お泊まりウィーク”が始まる。
今夜はアオの家へ――。


23話 ちょっとぐらい

「にゃあ……今日はアオの家かにゃ……寂しいにゃ……」

ミケが凛馬の荷物をチェックしながら、しょんぼりとした表情を浮かべる。凛馬が着替えや歯ブラシをバッグに詰めていた。

「あらあら、ミケ。昨日散々凛馬くんと一緒だったでしょう?」

「だって……もっと一緒にいたいにゃ……」

凛馬がバッグを背負い、玄関に向かうと、ミケがぎゅっと凛馬の腕を掴んだ。

「にゃ……でも、アオの家で楽しんできてにゃ!アオのご飯、美味しいんだからにゃ!」

無理に作った笑顔だった。凛馬が頭を撫でると、ミケの猫耳がぴんと立つ。

「にゃふ……明日、学校で会えるにゃ。いってらっしゃいにゃ!」

 

「…ここだよ、な?」

大きな木造の一軒家。玄関の前には、青緑色の髪をした大柄な女性が立っていた。熊族の特徴を持つアオの母だ。

「あっ!凛馬くん!来た来た!」

アオが飛び出してきて、凛馬に抱きつく。勢いよく、まっすぐに。

「あら!噂の凛馬くんね!ようこそ!」

家の中は木の温もりが感じられ、リビングには大きなテーブルと暖炉があった。どこか懐かしい匂いがする。

「僕の部屋、こっちだよ!」

アオに手を引かれて二階へ上がる。大きな手。温かい。力強いのに、優しかった。

 

部屋にはベッドが二つ並んでいた。

「今日は一緒に寝ようね!夕ご飯はお母さんの特製ハニーカレーだよ!」

アオが何かを思い出したかのように棚を漁り始めた。

「これ見て見て!僕の宝物!」

木箱を開ける。そこには思い出が詰まっていた。

「これ、小学校の時にミケと作ったブレスレット。これはみんなで撮った写真!」

写真には幼い頃の五人が並んでいた。写真の五人は笑っている。無邪気で、まっすぐで、強い。

「凛馬くんも、これから一緒に思い出作ろうね!」

手を握られる。その手は、まるで守られいる様だった。虹色の尻尾が自然とアオの腕に絡まる。

「わ……ふわふわで気持ちいい……」

その無防備な笑顔に、胸の奥が少しだけ熱くなる。

 

夕食。テーブルには大鍋のハニーカレーがおいてあった。

「たくさん食べてね!」

一口食べると、甘さと辛さが絶妙に混ざる。優しい味だ。

「美味しいです!」

「でしょ!」

アオが笑う。その笑顔は、疑いを知らない。

「じゃあ、おかわりね!」

もう一杯盛られる。

「えへへ……学校のおかず攻めと同じだね……」

アオは、凛馬が無理していないか、ちゃんと見ている。信じているけれど、放っておかない。

 

お風呂の後。星空の下、ベッドに座る。

「全校集会のスピーチ……本当に感動したよ」

真っ直ぐな目。

「凛馬、すごかった」

迷いなく言う。

「僕ね、凛馬と友達になれて本当に嬉しいんだ。これからもずっと一緒にいようね!」

手を握られる。強く、迷いなく。

尻尾がまた絡む。その仕草はもう無意識だった。

凛馬の胸の奥に火が灯る。アオは、凛馬がどこかへ行ってしまいそうな時、きっと手を離さない。

「凛馬はさ、ひとりで全部抱えちゃいそうだから」

ぽつりと、言う。

「ちょっとくらい、僕に預けてよ」

軽い声。笑顔のまま。でも、そこにあるのは覚悟だった。

 

アオが寝静まった頃。凛馬は天井を見つめていた。

アオは明るい。まっすぐだ。信じることを疑わない。一緒にいると、不思議と落ち着く。ひとりじゃない、と思える。

「……なんで俺、こんなこと考えてるんだ……」

かっこいいのは、どっちで守る側なのは、どっちなんだろう。

いつの間にか、凛馬の方が、支えられている気がした。

 

朝。アオはもう起きていた。

「一緒に寝れて、すごく幸せだったよ!」

屈託のない笑顔。その言葉に、心臓が一拍だけ強く鳴った。

理由は分からない。でも、分からなくていい気もした。

 

学校へ向かう途中。いつもの4人が待っていた。

「にゃああ!凛馬ー!」

ミケが飛びつく。

「凛馬は私のにゃ!」

「僕も……」

腕を取り合われる。

凛馬の心の中で、何かが少しずつ変わり始めていた。友情とは少し違う、温かくて甘い感情。

それはまだ小さい。でも確かに、燃えている。

メラメラと、静かに。そしてまだ知らなかった。

その笑顔を、この先いちばん長く追いかけることを。

そして、いつか、今度は自分が――

あの笑顔を守りたいと、思うようになることを。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます 
次回、校長室でまた何かある様です… 凛馬の可能性が開かれそうです。
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