BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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揺れ動く想いの中で、凛馬は限界を迎えていた。
大切だからこそ傷ついてしまう関係の中で、六人の絆は大きな転機を迎える。



34話 選ばなかったから

「…凛馬。お前、限界だろ。もう逃げるな」

ヒョウカが静かに凛馬に語りかける。

「凛馬…話そう?ね?」

コハクが優しく声をかける。その金色の尻尾が心配そうに揺れていた。

「凛馬君..お願いです。話を聞かせてください…」

ミナが涙目で凛馬を見つめる。

「凛馬…ごめんね…私、余計なこと言って…」

凛馬の感情が最高潮に達している。足が、地面を踏んでいる感覚がしない。呼吸が、どこかで途切れている気がした。

胸の奥が焼けるみたいに痛かった。頭の中で鼓動だけが暴れていた。

「凛馬…!!」

その声だけは、ハッキリと聞き取れた。

「……ごめん」

それが、凛馬が最後に口にした言葉だった。視界の端に、青緑色の尻尾が揺れるのが見えた気がする。

次の瞬間、膝から力が抜けた。

――もう、走らなくていい。もう、選ばなくていい。

もう、選べないなら、終わればいいのに。

そう思ったところで、意識が途切れた。

「え…凛馬…?」

凛馬の体が、ゆっくりと前に倒れていく。

「凛馬ーーーっ!!」

ミケが叫び、凛馬の体を受け止める。だが、凛馬は既に意識を失っていた。

「…くそっ!凛馬!!」

ヒョウカが駆け寄り、凛馬の脈を確認する。

「…生きてる。だが、脳に負担がかかってる。血管がやられてるかもしれない…」

声は冷静だったが、指先が震えていた。

「凛馬…!凛馬…!!起きて…!!!」

アオが凛馬の頬を叩く。だが、凛馬は反応しない。

「救急車…!早く…!!」

コハクが震える手でスマホを取り出す。

「私が呼びます!皆さん、凛馬君を動かさないでください!」

ミナが冷静に救急車を呼ぶ。

「凛馬…ごめんね…ごめんね…私のせいで…!!」

ミケが凛馬を抱きしめて泣き崩れる。その涙が凛馬の頬に落ちた。

 

市立中央病院。救急治療室。凛馬は緊急搬送され、脳のMRI検査を受けた。運ばれていくストレッチャーを、5人はただ追うことしかできなかった。

5人は待合室で、不安そうに結果を待っていた。

「…くそ。俺が…もっと早く止めてやれば…」

ヒョウカが壁を殴る。その拳から血が滲んだ。

「僕が…僕が凛馬を追い詰めた…追いかけなきゃ良かった…僕のせいだ…!!」

アオが膝を抱えて泣く。

「違う…私たち皆が…凛馬に重荷を背負わせたのよ…」

コハクが唇を噛む。

「凛馬君…どうか無事でいてください…」

ミナが祈るように呟く。

「凛馬…起きて…お願い…!!」

ミケが顔を手で覆って泣いていた。

その時、治療室のドアが開き、白衣を着た医師が出てきた。

「…凛馬君のご家族の方ですか?」

「はい…!私、凛馬の家族です..!凛馬は…!?」

ミケが医師に駆け寄る。

「…脳の血管に小さな損傷が見られました。過度のストレスによるものです。幸い、大事には至っていませんが…」

医師が5人を見回す。

「凛馬君は、かなりの精神的負担を抱えていたようです。このままでは…再発の恐れがあります」

「…それは…」

「凛馬君に、今必要なのは…安心と休息です。皆さん、凛馬君を支えてあげてください。では」

医師がそう言って、治療室に戻っていった。

「凛馬…私…どうすれば…」

ベッドの向こうで眠る凛馬の姿を、5人はただ、見つめることしかできなかった。

誰も声を出せなかった。誰も正解を知らなかった。

そこにいたのは――

誰も選ばなかった少年と、選ばれなかった想いだけだった。

 




最後まで読んでくださりありがとうございます!
6人の関係に大きな亀裂が入ってしまいました…次回、凛馬が目を覚まして取った行動とは…?
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