BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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凛馬から届いた手紙。それぞれが想いと向き合いながらも、彼を待つことを選ぶのか。六人の関係は静かに変わり始めていた。


36話 少しずつでいい

凛馬は退院手続きを終え、病院の玄関前に立っていた。1週間ぶりの外の空気が、少し冷たく感じられた。

虹色の耳が朝の風に揺れる。制服に着替え、鞄を肩にかけた凛馬の表情には、期待と不安が混ざっていた。

「……久しぶりの学校か。皆、どんな顔で迎えてくれるんだろう……」

その時――

「凛馬ーーーーっ!!」

病院の門の前に、5人の少女たちが待っていた。

「退院おめでとうにゃ!待ってたんだよ!」

ミケが満面の笑みで手を振る。だが、その笑顔はどこかぎこちなかった。

「凛馬……!よかった……本当に元気になって……!」

アオが駆け寄ろうとして――止まる。

その一瞬だけ、凛馬の胸がわずかにざわついた。

「……退院か。よかったな」

ヒョウカが腕を組んで、いつもの無表情で立っている。だが、その目には安堵が滲んでいた。

「やっと戻ってきたね〜。寂しかったんだから〜」

コハクが笑顔を作る。だが、その金色の尻尾は落ち着きなく揺れていた。

「凛馬君、お帰りなさい。体調は大丈夫ですか?」

ミナが優しく微笑む。だが、その表情には心配が隠せなかった。

5人は凛馬との距離感に戸惑っているのが明らかだった。

「あ、あのね!一緒に学校行こう!ね?」

ミケが明るく提案する。だが、以前のように抱きつくことはしなかった。

「うん……!一緒に行こう……凛馬……」

アオも頷く。だが、以前のように凛馬の袖を掴むことはしなかった。

6人は並んで、学校へと歩き出した。

だが、その距離感は以前なら肩が触れる距離なのに、今日は少しだけ間が空いていた。

 

通学路。6人は並んで歩いているが、会話が続かない。以前のような賑やかさはなく、どこか気まずい空気が流れていた。

「あ、あのさ〜。凛馬、入院中どうだった〜?退屈だった〜?」

コハクが無理に話題を振る。

「あ、うん……まあ、本とか読んでたよ……」

「そうですか。勉強の遅れは大丈夫ですか?必要ならノート見せますよ」

ミナが真面目に提案する。

「ありがとう、ミナ……」

「……お前ら、また無理してるぞ」

ヒョウカがため息をつく。

(まぁ、俺もだけどな)

「そ、そんなことないよ……?私たち、普通に……」

ミケの声が小さくなる。沈黙が流れる。

「……ごめん、凛馬。僕たち……まだ上手く普通に戻れなくて……」

分かってた。こうなることぐらい。それでも――

「……そうだよな。でも少しずつでいい。大丈夫、俺たちなら。」

――本当は、前みたいに笑いたかった。でも、今はこれが精一杯だ。

「……うん。少しずつ……だね」

ミケの赤い猫耳が小さく揺れる。凛馬の言葉に、少しだけ表情が柔らかくなった。

「そうだね……焦らなくていいんだよね……」

アオが安堵したように息を吐く。その青緑色の尻尾が、ゆっくりと揺れ始めた。

「……そうだな。お前の言う通りだ」

ヒョウカが小さく頷く。その表情には、少しだけ笑みが浮かんでいた。

「ふふ、凛馬らしいね。前向きで」

コハクが優しく微笑む。その金色の瞳に、温かさが戻ってきた。

「そうですね。私たちなら、きっと大丈夫です」

ミナが眼鏡を直しながら、穏やかに笑う。

6人の間に流れる空気が、少しだけ軽くなった。

 

6人が学校に到着すると、クラスメイトたちが凛馬を出迎えた。

「おお、凛馬!退院したんだな!よかったよかった!」

「心配してたんだよ〜。もう大丈夫なの?」

凛馬が頷くと、クラスメイトたちが安堵の表情を浮かべる。

「ほら、凛馬!みんな待ってたんだよ!」

ミケが嬉しそうに凛馬の肩を叩く。その仕草は、以前のように自然だった。

「よかった……みんな、凛馬のこと心配してたんだね……」

アオがほっとした表情で周りを見回す。

「まあ、凛馬は人気者だからね〜」

コハクがからかうように笑う。

「……お前、調子に乗るなよ」

ヒョウカが毒舌を放つ。だが、その表情は穏やかだった。

「さあ、教室に行きましょう。授業が始まりますよ」

ミナが皆を促す。6人は教室へと向かった。その足取りは、少しずつ以前のリズムを取り戻しつつあった。

 




最後まで読んでくださりありがとうございます!
日常が少しずつ戻りつつあります。しかし、心だけはまだ同じ場所に戻れずにいるようです。
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