BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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再び集まった六人。以前と同じように笑い合う時間が戻りつつあるが、そこには確かな“変化”があった。


37話 少しずつ戻る日常

凛馬が席に座ると、5人がそれぞれの席に着く。以前のように凛馬の周りに集まることはなかったが、それでも視線は時折凛馬に向けられていた。

「……凛馬、ちゃんと授業聞くんだよ?」

ミケが小声で囁く。その赤い瞳には、心配と優しさが混ざっていた。

「ああ、大丈夫」

「もし分からないことあったら……僕に聞いてね……」

アオが恥ずかしそうに俯く。

「私も教えてあげるよ〜。まあ、凛馬なら大丈夫だと思うけど〜」

コハクがウインクする。

「……無理はするな」

ヒョウカが短く言う。

「体調が悪くなったら、すぐに保健室に行くんですよ?」

ミナが優しく気遣う。

そんな皆を見て、凛馬の心は温かくなっていった。皆が自分に気を遣っているのが分かった。

言葉を選び、距離を測り、無理に笑っているのも。

――このままじゃ、駄目だ。

そう思った瞬間、気づけば声が出ていた。

「ありがとう、皆!」

少しだけ、声が大きすぎた気がした。その声に、教室の空気がふっと軽くなる。

けれど――

ミケは一瞬だけ笑顔を作るのが遅れた。

アオは嬉しそうに笑いながらも、どこか戸惑ったように視線を揺らした。

コハクは明るく笑いながら、そっと息を吐いた。ヒョウカは何も言わず視線を逸らした。

ミナは小さく微笑みながら、指先をぎゅっと握りしめていた。

誰もが前に進もうとしていた。

――少しずつでいいと、言い聞かせながら。

「もう!凛馬ったら急に大きな声出すからびっくりしたにゃ!」

「え、えへへ……凛馬、元気になったね……」

「あらら〜、凛馬が元気だと私たちも元気になるね〜」

「……うるさい。授業まだ終わってないぞ」

「ふふ、凛馬君らしいですね」

ミナが優しく微笑む。6人の日常は、少しずつ、元の形に戻りつつあった。

――けれど、まだ同じではなかった。

 

昼休み。6人は屋上で昼食を取っていた。以前のように、自然と集まっていた。

「はい、凛馬!今日のお弁当、私が作ったんだよ!食べてみて!」

ミケが嬉しそうに弁当箱を開ける。中には色とりどりのおかずが詰まっていた。

「あ、僕も!僕も作ってきたよ!凛馬、どっちから食べる?」

アオも弁当箱を差し出す。その表情は期待に満ちていた。

「あら〜?二人とも張り切ってるね〜。じゃあ私も〜」

コハクがニヤニヤしながら自分の弁当を取り出す。

「……お前ら、取り合いはやめろ」

ヒョウカがため息をつく。だが、その表情はどこか楽しそうだった。

「皆さん、落ち着いてください。凛馬君が困っていますよ」

ミナが苦笑しながら皆を制止する。その空気は――温かく、自然だった。笑い声の合間に、ふとした沈黙が混じることもあった。けれど誰も、それを口にはしなかった。

「友情」という絆が、6人を再び結びつけていた。

それでもアオが笑うたび、

なぜか少しだけ目を逸らしてしまう自分に、凛馬は気づかなかった。

5人の心の奥には、まだ凛馬への「想い」が残っている。だが、今は――この瞬間を、大切にしようと思っていた。

「……ねえ、凛馬。やっぱり、こうやってみんなでいるのが一番だにゃ」

ミケが穏やかに微笑む。

「うん……僕も……こうやってみんなで笑ってる方が……好きだよ……」

アオが幸せそうに笑う。

「そうだね〜。この時間、大切にしたいね〜」

コハクが空を見上げる。

「……まあ、悪くないな」

ヒョウカが小さく笑う。

「ええ。私たちは、ずっと友達ですから」

ミナが優しく微笑む。凛馬の心の中にも、温かいものが広がっていた。

「少しずつ、戻っていける」

そう確信できる、穏やかな昼休みだ。

 

三人のおかずが次々と差し出され、凛馬は思わず笑った。

「……お前ら、凛馬が食べられないだろ」

ヒョウカが呆れたように自分の弁当を食べる。

「皆さん、順番に差し出してください。凛馬君が困っていますよ」

ミナが苦笑しながら注意する。だが、その表情も楽しそうだった。

「あはは……ありがとう、みんな……」

凛馬が笑いながら、順番におかずを受け取る。その表情には、心からの幸せが滲んでいた。

「えへへ……凛馬が喜んでくれて嬉しいにゃ……」

ミケが照れたように頬を赤らめる。

「僕も……凛馬が元気だと……僕も嬉しいよ……」

アオがもじもじしながら笑う。屋上には、笑い声と温かい空気が満ちていた。

こうやって、少しずつ――6人の関係は、新しい形で再構築されていく。

1ヶ月後。その時何が起こるのか。それは、まだ誰にも分からない。

だが、今は――この瞬間を、楽しもう。

 




最後まで読んでくださりありがとうございます!
戻れたはずの関係。それでも、心だけは前に進み始めています。
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