6人は新しくできたカフェに到着した。店内は温かい照明と木の香りが漂い、落ち着いた雰囲気だった。
「わあ!ここ、すっごくおしゃれにゃ!」
ミケが目を輝かせる。
「ねえねえ、何頼む?私、パンケーキにしようかな〜」
コハクがメニューを覗き込む。
「……俺はコーヒーでいい」
ヒョウカが短く答える。
「私は紅茶をいただきます」
ミナが穏やかに注文を決める。
「僕はホットココア……凛馬は……何にする……?」
アオが恥ずかしそうに凛馬を見上げる。その琥珀色の瞳は、じっと凛馬を見つめていた。
凛馬は少しだけアオの視線に戸惑いを感じたが、すぐに笑顔で答えた。
「俺も……ホットココアにしようかな」
口にしてから、少しだけ引っかかった。
どうして同じものを選んだのか、自分でもよく分からなかった。まるで、無意識に合わせてしまったみたいだった。
けれど深く考える前に、凛馬は笑った。
「……えへへ……一緒だね……凛馬……」
アオが嬉しそうに頬を赤らめる。その青緑色の尻尾が、ぶんぶんと揺れ始めた。
「あ、じゃあ私もホットココアにしようかな!みんなで同じの飲むの、楽しいにゃ!」
ミケが明るく笑う。
「あらら〜、じゃあ私もホットココアにしようかな〜」
コハクがニヤニヤしながら言う。
「……お前ら、流されすぎだろ」
ヒョウカが呆れたように言うが、その口元には小さな笑みが浮かんでいた。
「ふふ、皆さん仲が良いですね」
ミナが優しく微笑む。
カフェで楽しげな会話が続く。その空気は、いつかのぎこちなさが嘘のようだった。
「そういえば凛馬!来月の学園祭、クラスで何やるか決まった?」
ミケがホットココアを飲みながら楽しそうに話しかける。その赤い猫耳がぴょこんと揺れた。
「あ〜、まだ決まってないけど、カフェ案出てるらしいよ〜?」
コハクがニヤニヤしながら言う。
「まあ、お前の接客なら客呼べそうだな」
ヒョウカが肩を竦める。その表情は穏やかだった。
「私は装飾のお手伝いをする予定です。皆さんをサポートしますね」
ミナが優しく微笑む。
「僕は……準備係に立候補したんだ。凛馬も……一緒にやってくれたら嬉しいな……」
アオの声は、どこか期待を隠しきれていなかった。その青緑色の尻尾がそわそわと揺れていた。
「じゃあ、一緒にやろうか」
凛馬はふと、さっきのホットココアのことを思い出す。
偶然だと思っていたはずなのに、胸の奥に小さな違和感が残っていた。
――もしかして。
そう考えかけて、すぐに思考を止めた。
気づいてしまえば、また今まで通りではいられない気がした。
「……本当……!?やった……!凛馬と一緒だ……!」
アオが顔を上げ、満面の笑みを浮かべる。その琥珀色の瞳がキラキラと輝いていた。
「よーし!じゃあみんなで頑張ろうにゃ!」
ミケが拳を突き上げる。
6人は学園祭の話で盛り上がり、笑い声が絶えなかった。まるで、あの混乱が嘘のように、6人の関係は自然で温かいものに戻っていた。
ただアオだけは、時折、凛馬を見つめる視線が少しだけ違っていた。
――気づかないふりを、いつまで続けられるだろう。
カフェを出た後、6人は帰路に近づいていた。
「あ〜、楽しかった!また来ようね〜」
コハクが伸びをする。
「うん!今度はみんなでご飯も食べに行きたいにゃ!」
ミケが嬉しそうに尻尾を揺らす。
「……まあ、悪くなかったな」
ヒョウカが頷く。
「では、今日はここで解散しましょうか。皆さん、気をつけて帰ってくださいね」
ミナが微笑む。
「あ……凛馬……少しだけ……話せる……?」
アオが恥ずかしそうに凛馬の袖を引っ張る。その青緑色の尻尾が緊張したように小さく揺れていた。
それが何を意味するのか、凛馬は考えないようにした。考えてしまえば、何かを選ばなければならなくなる気がしたからだ。
でも――
気づかないふりは、もう限界だった。もう、選ばないではいられない。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
次回、もう隠しきれない想いが、ついに溢れ出します。