BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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とうとう本格的に動き出した純血の誇り。標的は凛馬——
ではなかった。恐れていたことが、現実になってしまう。


51話 危機

純血の誇り本部。薄暗い部屋に、五人の幹部が集まっていた。

「……報告を聞いた。実働部隊五人が、たった一人の混血のガキに全滅させられただと?」

虎族の幹部が低く唸る。

「紅葉凛馬……五種族混血。能力測定で規格外の数値を記録した少年ですね」

鷹族の女性が資料を広げた。

「ふふふ……面白い。実に面白い。あの子は、我々の計画に最適な素材だ」

蛇族の男が舌なめずりをする。

「だが、あの子は我々に敵対的だ。協力は望めまい」

「ならば力づくで従わせるまでです。弱点を突けばいい」

猫族の女性が冷たく言った。

「弱点、か。あの子には大切な者たちがいるな。特に……熊族の少女、森下アオ」

「彼女を人質にすれば、紅葉凛馬は従うでしょう」

「それだけではない。紅葉ミケ、金城コハク、黒瀬ヒョウカ、兎原ミナ……利用できる駒は多い」

幹部たちが不気味に笑う。

「よし。次の作戦を立てる。今度は――確実に仕留める」

暗闇の中で、陰謀が動き始めていた。

会議室を出た後、虎族の幹部は廊下を歩く。壁には黄金の鬣を持つ獣人の肖像画。

「……もうすぐです、獅子王様」

「五種族混血。あれほどの器、そう現れるものではない」

「その力を捧げれば、完全なる世界は近づく」

「すべては、獅子王様に喜んでいただくために」

五人は静かに頭を垂れた。その瞳には狂信的な忠誠が宿っていた。

 

その夜。森下家。

アオは食器を片付けながら伸びをした。

「ふぅ……明日も学校だし、早く寝よっと」

スマホを見る。凛馬とのメッセージ画面を開いた。

『凛馬、おやすみ。今日も一日、ありがとう。明日も一緒に頑張ろうね』

「……えへへ」

――ガタン。大きい物音が鳴った。振り向いた瞬間、窓ガラスが砕け散った。

「っ!?」

黒い影が侵入する。

「森下アオだな」

「な、なに……!?来ないで!!」

アオは踏み込み拳を振るう。だが背後から拘束されてしまう。

「くっ……!」

「さすがだ。だが戦闘向きではない」

口元を塞がれ、意識が揺らぐ。

(凛馬……)

倒れる椅子。割れる食器。

「……凛馬……」

意識が途切れ、静寂だけが残った。

 

数時間後。夜勤明けのアオの母が帰宅した。

「ただいま、アオ……?」

リビングに入り、凍りつく。荒れた室内。

「アオ……どこいったの!?」

震える手でスマホを取り出す。

――圏外。固定電話も沈黙。電波が遮断された様だ。

「どうして……!」

テーブルの紙を読む。

『森下アオは我々が預かった。彼女を無事に返してほしければ紅葉凛馬、一人で指定の場所に来い。

場所:旧工場跡地

時間:今日10:00

警察や他の者を連れてくれば、彼女は二度と君の名前を呼べなくなる。

――純血の誇り』

「……誘拐……?」

母の膝が崩れる。

「アオ……ごめん……」

だが次の瞬間、立ち上がった。

「……凛馬くんに伝えなきゃ……!」

彼女は家を飛び出した。

 

翌朝。凛馬は家の前でアオを待っていた。

7:40……7:50……8:00……

来ない。電話も繋がらない。胸に嫌な予感が広がる。

その時――

「凛馬くん!!」

息を切らした女性が駆け寄る。アオの母だった。

「アオが……いなくなったの……!」

差し出された紙。凛馬が読む。

「……」

その時、凛馬の纏う空気が変わった。虹色の瞳が冷たく光る。

母親は思わず一歩下がってしまった。怒気。圧倒的な怒り。

だがその奥にあったのは――覚悟だった。

「旧工場跡地……十時までに一人でって……」

「大丈夫です」

凛馬は静かに言った。

「俺が助けます」

母親は息を呑む。怖いはずなのに、不思議と安心した。

(この子なら……)

「必ず、連れて帰ります」

凛馬は走り出した。

その時、スマホが鳴る。ヒョウカからだった。

「もしもし」

『凛馬、アオが学校に来てない。何かあったか?』

「……アオが、純血主義者に連れ去られた」

『……何だと!?アイツらふざけやがって……』

「今から旧工場跡地に行く。一人で」

『待て!危険すぎる!』

「でも他を連れて行ったらアオが……」

長い沈黙が流れた。

『……わかった。だが居場所だけ教えろ。何かあればすぐ行く』

「……ありがとう、ヒョウカ」

『アオを必ず助けろ。俺たちも準備しておく』

電話が切れる。凛馬は拳を握った。

「アオ……待ってろ。必ず助ける」

 




最後まで読んでくださりありがとうございます!
次回から、この物語一気に動き出します。凛馬の本当の力が見えそうです……

あとX初めてみたので、フォローしてくれると嬉しいです☺️
@uemtrnmdxx
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