BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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人間の少年・凛馬は、獣人たちが通う大学に“特別許可”のもと通うことになる。首輪とリードをつけ、ミケのペットとして迎え入れられた凛馬は、生徒たちの好奇心と視線にさらされながらも、仲間たちに守られ少しずつ居場所を見つけていく。
しかしその日常の裏で、ミケの独占欲と、凛馬の「人に必要とされたい」という想いが静かに揺れていた——。



7話 みんなのものだから

昼休み、屋上。ミケが凛馬の手を引いて連れてきた。

ベンチに腰を下ろし、ミケがそっとお弁当箱を開ける。中には、色とりどりの可愛らしいキャラ弁が詰められていた。

「にゃ……恥ずかしいけど、凛馬のために朝早く起きて作ったにゃ。食べてくれる?」

ミケの耳がぴょこぴょこ動き、期待に満ちた表情で凛馬を見つめる。

「ミケ、お弁当ありがとう。いただくよ」

「にゃ〜!ありがとうにゃ!じゃあ、はい…あ〜んにゃ!」

箸で掴んだおかずが、凛馬の口元に差し出される。その仕草は、どう見ても飼い主がペットに餌をあげる時のそれだった。

「あらあら、ミケったら堂々としてるわね。凛馬くん、恥ずかしくないの?ふふっ」

いつの間にか、コハクが屋上に現れていた。その後ろから、アオ、ミナ、ヒョウカも続いてくる。

「僕もお弁当持ってきたよ!一緒に食べよ!」

アオは元気よく言いながら、唐揚げを差し出す。

「あの…私も…。よかったら、卵焼き……」

ミナは頬を赤らめながら、小さく微笑んだ。

「…私は別に。ただ、屋上が空いてただけだ」

ヒョウカはそう言いながらも、時折ちらりと凛馬の方を見ている。

「にゃ…みんな、凛馬のこと好きすぎにゃ……」

ミケが少しムスッとしながら、凛馬の腕にしがみついた。

「独り占めはダメよ、ミケちゃん。凛馬くんは……ほら、人気者なんだから」

そんな和やかな空気の中、屋上のドアが勢いよく開いた。

「ねえねえ!噂の人間でしょ?写真撮っていい?」

犬族の女子生徒が、スマホを構えて駆け寄ってくる。

「にゃ!?ダメにゃ!凛馬は保護対象にゃ!勝手に写真撮るのは禁止にゃ!」

「そうよ。本人の許可なく撮影するのは校則違反です」

ミナがきっぱりと言う。

「え〜、じゃあ本人に聞けばいいんでしょ?ねえ、人間くん。写真、いい?」

凛馬は一瞬、言葉に詰まった。全員の視線が集まる。

「……別に、大丈夫だよ」

少しだけ、笑って続ける。

「俺さ、ここでは…“みんなのもの”でいたいんだ。ひとりは、嫌だから」

その言葉に、空気が一瞬だけ止まった。

「にゃ…凛馬…」

ミケの耳がピンと立ち、目が潤む。

「あら…そんなこと言われたら、放っておけないじゃない」

コハクは嬉しそうに笑い、凛馬の頬をつついた。

「わぁ!じゃあ、僕のものでもあるんだね!」

アオが無邪気に抱きつく。

「凛馬くん…優しすぎます…」

ミナは俯きながら、そっと胸に手を当てた。

「……馬鹿だな」

ヒョウカが小さく呟き、ほんの一瞬だけ笑った。

「よし!撮るね!はい、チーズ!」

シャッター音が何度も響く。

「ありがとう!絶対バズる!」

女子生徒は満足そうに去っていった。

「にゃ…凛馬がそう言うなら…いいにゃ。でも!一番は私にゃ!私が飼い主にゃからね!」

ミケが凛馬の首輪を軽く引く。名札には、《飼い主:紅葉ミケ》と書かれていた。

昼休みが終わり、皆が教室へ戻る途中。凛馬は、誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。

「……元の世界じゃ、誰にも必要とされなかった。だから、ここでは“みんなのもの”って言っておけば……もう一人にならない気がするんだ」

その声は、雑踏に紛れて消えた。5人は楽しそうに笑いながら、凛馬の隣を歩いていく。

そして午後の授業が始まる。凛馬が教室にいるだけで、集中できない生徒が続出し、担任は何度も注意することになった。

 




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