BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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地下訓練施設で始まる特訓。
それぞれが武器を手にし、自分の戦い方を見つけていく中、凛馬とツキノは別格の力を見せつける。


72話 武装、そして覚悟

凛馬達は校舎の奥へと向かっていた。人気のない廊下を進む。突き当たりには地下へ続く階段があった。

アオが少し驚いた声を出す。

「すごい……本当に地下があるなんて……」

ミケが肩をすくめる。

「久しぶりだにゃ」

「前に一回来たよね」

ヒョウカが頷く。

「あぁ、模擬訓練の時な」

ミナが言う。

「学校の公式施設ではないですね」

灰谷が振り返る。

「まぁ裏の施設やな……バレたらめんどくさいかもな」

アオは階段を見下ろす。

「こんな場所……あったんだ」

ツキノが笑う。

「この学校、面白ぇべ」

階段を降りる。コンクリートの壁。地下へ続く通路。

やがて巨大な鉄の扉の前に着いた。灰谷がカードをかざす。

重い音と共に扉が開く。その先には――

壁一面に並ぶ武器。剣、槍、鎖、銃。見たこともない武具。

アオが目を見開く。

「……すごい」

「お前らここから武器選び。自分に合うもん探せ」

ヒョウカが剣を手に取る。

「なるほどな……」

ミナは銃の棚を見ていた。

コハクは鎖武器を持ち上げる。

ミケは棚を眺めながら歩く。

「うーん……」

そして止まる。

「あ……これ」

手に取ったのは鋭い双爪。猫の爪のような武器。

灰谷が頷く。

「一番合っとるな」

ミケがニヤッと笑う。

ヒョウカは短剣を選んだ。

「軽い方がいい。合理的だ」

コハクは鎖を軽く振る。

「これ面白そうじゃん!」

ミナは小型銃を確認していた。

「遠距離支援向きですね。ぴったりです」

アオは迷っていた。

「僕……あまり戦うの得意じゃないから」

灰谷が棚を指差す。

「なら……あれやな」

「え?」

「お前は周り見れてるからな。盾とかええんちゃうか?」

アオが盾を手に取る。少し重い。

「似合ってるにゃよ!」

アオが少し笑う。

「……守れるかな」

凛馬が言う。

「あぁ。きっと守れるよ」

その時、コハクがふと聞いた。

「凛馬は選ばないの?」

凛馬は静かに掛けてある双剣に手をかけた。

そして――双剣を抜いた。金属音が地下に響く。

「もう持ってるからな」

「あぁ、そうだったそうだった……」

その隣でツキノが指先を軽く振る。空気が冷え、氷が静かに広がった。

「うちはこれで足りるべ」

灰谷が言う。

「凛馬と白雪は別枠や」

「別枠?」

灰谷は静かに言った。

「あの二人はもういつでも戦えるけど、お前らはまだ準備中や」

ヒョウカが拳を握る。

「……なるほど」

灰谷が手を叩く。

「ほな、実戦や」

「え!いきなりにゃ!?」

灰谷は指を向けた。

「凛馬」

そしてもう一人。

「ツキノちゃん」

凛馬が少し眉をひそめる。

「……マジでやるのか?」

視線はツキノへ。

「まだ来たばっかだろ」

ツキノはその言葉を聞いて――

ニヤッと笑った。

「関係ねぇべ」

空気が少し張り詰める。指先を軽く振る。空気が冷え、氷が静かに広がった。

「ちょうどいいべ。どんくらいか、試したかった」

ミケが目を丸くする。

「やる気満々にゃ……」

コハクが苦笑する。

「ツキノ、意外と好戦的だね……」

凛馬は小さく息を吐いた。

「……分かったよ」

2本の木刀に手をかける。

「怪我すんなよ」

ツキノは肩をすくめる。

「それはこっちの台詞だべ」

氷が槍の形を取る。

「ほな、始め!」

次の瞬間——

ドン!!

凛馬の踏み込みで床が砕け、空気が爆ぜた。

「……え」

ツキノの足元から氷が広がる。床が一瞬で凍る。

凛馬が滑るように横へ跳ぶ。氷柱が突き出す。

「……速い」

凛馬が一気に距離を詰め木刀を振る。氷が砕け散る。

ミナが呟く。

「レベルが違う……」

「あのレベルになるのは無理にゃね……」

ツキノが笑う。

「なかなかやるべ」

氷が吹き上がる。吹雪のような氷片。凛馬が突っ込む。衝撃波が地下に響く。ミケ達は完全に見入っていた。

その時。灰谷がミケの頭を軽く叩く。

「あれはな、参考にしたらあかん」

「にゃ?」

灰谷が言う。

「お前らはお前らの特訓や」

ヒョウカが拳を握る。

「……そうだな」

「私達は私達の戦い方を、ですね」

「なんか、燃えてきたね!」

「皆……集中しよう」

全員が訓練に戻る。地下訓練所には武器の音が響く。

その奥で――氷と衝撃がぶつかる。氷柱を砕きながら、凛馬が踏み込む。

「……速いな」

ツキノの槍が横薙ぎに走る。凛馬がそれを弾き、距離を詰める。

ガキンッ!!

氷と刃がぶつかり、破片が散る。

ツキノが笑う。

「やるべな」

凛馬も口元を上げた。

「そっちこそ」

次の瞬間――

ドン!!

踏み込みがさらに深くなる。床が砕ける。

ミナが息を飲む。

「……さっきより出力が上がってる」

ツキノの足元から氷が一気に広がる。さっきよりも速く、鋭く。

凛馬がそれを“砕いて”進む。

「……っ!」

ヒョウカが目を細める。

「対応してる……?」

ミケが呟く。

「さっきより楽しそうにゃ……」

凛馬の動きが、明らかに変わっていた。速さも、踏み込みも――

迷いが消えている。ツキノが槍を回す。

「ほう……」

氷の密度が上がる。吹雪のような氷片。だが凛馬は止まらない。砕き、踏み込む。

その動きに、ツキノの目が細くなる。

「……ええな」

凛馬が双剣を振り抜く。

「楽しいな、これ……!」

ツキノが一瞬だけ笑った。

「やっと本気出してきたべな」

空気が変わる。氷がさらに厚く、鋭くなる。凛馬も踏み込みを強める。

衝撃が、地下を震わせる。

ミナが小さく呟く。

「……まだ上がるんですか……」

ツキノはその中で、冷静に見ていた。

「……なるほどな」

一歩引く。凛馬の一撃を受け流す。そして――

小さく呟く。

「やっぱり――」

視線が変わる。

「凛馬さんは、守る側やねぇな」

氷が一気に収束する。槍の先が凛馬へ向く。

「……やばいな、この力」

凛馬の足が一瞬だけ止まる。

「守る必要、ないべ」

静かな断定だった。

次の瞬間――

氷と刃が、真正面からぶつかった。

 

その様子を、灰谷だけがその戦いを見ていた。

「……ええやん」

そしてゆっくり視線を動かす。地下訓練所のあちこちで、武器の音が響いていた。

ミケが双爪を振るう。目の前の訓練用マネキンに飛び込む。

壁を蹴り、一気に距離を詰め、鋭い連撃。

灰谷が頷く。

「ミケ、ええ動きや」

ミケがニヤッと笑う。

「当然にゃ!一応戦ったことあるにゃ!」

少し離れた場所では、コハクが鎖を振るう。鎖が円を描き、マネキンの腕を絡め取り、一気に引き寄せる。

灰谷が目を細める。

「コハク、センスあるな。捕縛向きや」

コハクが笑う。

「ほんと?」

別の場所では、ヒョウカが短剣を構える。一歩踏み込み、

そして――マネキンの背後へ回り、鋭い一撃。

灰谷が低く言う。

「ヒョウカ、お前かなりやれるな」

ヒョウカが肩をすくめる。

「まぁな」

少し離れた場所。パンッと銃声が響く。

ミナの弾は、マネキンの中心を少し外れていた。

ミナが眉をひそめる。

「……また外しました」

灰谷が腕を組む。

「考えすぎや。もっと楽に考え」

その隣ではアオ。盾を構えて、飛んでくる軽い弾を防いでいた。

カンッ、カンッと盾に当たる音が響く。アオは必死に防ぐ。

だが――コツン。

「痛っ……」

小さな金属片がおでこに当たる。コハクが思わず笑う。

「あらら〜」

アオが少しおでこを押さえる。

「だ、大丈夫……」

少し恥ずかしそうに言う。

「次は防げるから……」

灰谷が言った。

「焦らんでええ。お前らはこれからや」

その奥では――

凛馬とツキノの戦いが続いている。

氷が砕ける、双剣が閃き、衝撃が地下訓練所に響く。

ミケが思わず振り向いた。

「……やっぱすごいにゃ」

ヒョウカも目を細める。

「別格だな」

コハクが小さく笑う。

「負けてられないね」

ミナが静かに言う。

「ええ。私達も追いつきましょう」

アオも盾を握り直す。

「絶対役に立ってみせる……!」

ツキノの氷が爆ぜる。凛馬が突っ込む。その衝撃が、地下訓練所に響く。

ミケが爪を構えた。

「……燃えてきたにゃ」

「もう一回やるぞ」

「よし、いくよ」

それぞれがマネキンへ向き直る。武器の音が再び響き始めた。

灰谷がそれを見て小さく呟く。

「……ええチームやな」

灰谷は小さく笑った。

「思ったより粒揃いやな」

地下訓練所には、それぞれの戦う音が響いていた。

 

しばらく経った頃、氷が砕ける音が止んだ。地下訓練所に静けさが戻る。凛馬とツキノは少し距離を取って立っていた。

ツキノが肩を回す。

「……強ぇべな、凛馬さん」

凛馬が双剣を収める。

「そっちこそ」

ツキノが笑う。

「うち本気出したら凍らせるところだったべ」

凛馬が少し笑う。

「それは困るな」

ツキノが槍を肩に担ぐ。

「でも面白かったべ。久しぶりに本気で戦った気がする」

「あぁ、いい経験になった」

しばらくの沈黙の後、ツキノが言う。

「凛馬さん」

「ん?」

ツキノがニヤッと笑う。

「またやろうや、今度は本気だべ?」

凛馬も笑う。

「もちろん」

ミケが後ろから言う。

「なんか仲良くなってるにゃ」

「まぁ、いいことだな」

「なんか戦った後って仲良くなるよね」

ツキノが肩をすくめる。

「まぁそういうもんだべな」

凛馬が言う。

「次は俺が勝つからな」

「望むところだべ」

 

一方その頃——

暗い部屋に巨大なモニターが光っていた。映像に映っているのは――

教室と、凛馬達の姿。

「皆で戦う」

その言葉で、映像が止まった。

暗い部屋にいたのは四人。

神城コクヨウ。そして――

獅堂カイル、霧崎レイナ、鷹城ガイ。

コクヨウが静かに言う。

「見ただろう?抵抗する気のようだ」

カイルが腕を組む。

「想定内だ。奴は王を殺した男だ」

レイナは黙ったままだった。ガイが一歩前に出る。

「なら話は簡単だ!先に俺が行って混血ぶっ潰してやるよ!」

その時――

「待て」

コクヨウの声だった。ガイが止まる。

コクヨウはモニターを見つめる。そこには凛馬の仲間達。

「敵を崩すなら、順序がある」

静かな声。カイルが眉をひそめる。

「……どういう意味だ」

コクヨウはゆっくり言った。

「彼は一人で立っているわけではない」

レイナが視線を向ける。

「ならば?」

コクヨウはわずかに微笑む。

「支えを崩せばいい」

空気が重くなる。ガイが口元を歪める。

「……仲間からってわけか」

コクヨウは否定しない。

「戦争というのはな。勝つことが全てだ」

カイルは黙る。レイナも何も言わない。

――違和感はある。だが、否定できる材料もない。

コクヨウはモニターに映る凛馬を見つめる。

「英雄というものは、一人では成立しない」

その声は静かだった。

「ならば――その足を折ればいい」

部屋が静まり返る。ガイは笑っていた。

「面白いな!誰から行く?」

コクヨウの目がわずかに細くなる。

「そうだな……」

そして、淡々と告げた。

「まずは――近いところから」

モニターが暗転する。




最後まで読んでくださりありがとうございます!
それぞれの役割と実力差が見え始め、裏では、敵も着実に動いています。そして次回、接触が……?
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