BEAST BLOOD   作:ruemtrnmdxxx

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鷹城ガイと激突した転校生、白雪ツキノ。
圧倒的な力で押し込んでいくガイ、氷で全てを塞ぐツキノ。勝者の行方は?


77話 熱と氷

「遊ぼうぜ」

 

次の瞬間——

 

ガイが地面を蹴った。

 

ドン!!

 

アスファルトが砕け、拳が一直線に飛ぶ。ツキノは軽く横にずれた。

 

「うおっ!?」

 

拳が地面に突き刺さる。

 

ドゴォン!!

 

コンクリートが砕けた。

 

ツキノが呟く。

 

「力はあるべな」

 

その瞬間——

 

氷柱が地面から突き出した。ガイの足元を狙う。

 

「ちっ!」

 

ガイが横に飛ぶ。

 

間髪入れずツキノの指先が動く。氷の破片が弾丸のように飛んだ。

 

ガイが腕で弾く。

 

パキン、パキン!!

 

氷が砕ける。

 

ガイが笑った。

 

「面白ぇ!」

 

再び踏み込む。

 

拳の連打。

 

ドドドド!!

 

ツキノは滑るように後退する。足元の氷が地面を滑らせ、拳が空を切る。

 

その瞬間——

 

ツキノの手が動いた。

 

ドゴッ!!

 

氷柱がガイの横腹をかすめる。ガイの体が数メートル吹き飛んだ。

 

ガイが着地し、血を拭いながら笑った。

 

「お前……何族だ?」

 

ツキノが淡々と答える。

 

「龍族だべ」

 

その瞬間、ガイの目が見開く。

 

「……龍族だと?」

 

――その言葉で、記憶がよぎる。

 

暗い部屋。巨大なモニターの光。コクヨウの声が静かに響いていた。

 

「覚えておけ」

 

カイル、レイナ、そしてガイが立っている。

 

コクヨウが画面を見つめたまま言う。

 

「龍族は、獣人の頂点だ」

 

静かな声。だが、その言葉には異様な熱があった。

 

「遥か昔、戦争の時代ですら恐れられた存在だ。空を裂き、天候すら支配した種族」

 

ガイが腕を組む。

 

「でも龍族は伝説の種族だろ?生きてんのかよ?」

 

コクヨウが頷く。

 

「生きている」

 

そしてモニターに映るツキノを見つめた。

 

「だが今、その誇り高き龍は混血側にいる」

 

カイルが眉をひそめる。

 

「何故だ」

 

コクヨウは静かに言った。

 

「理由は一つ。洗脳だ」

 

レイナの目がわずかに動く。コクヨウは続ける。

 

「本来、龍族が混血を守るはずがない。龍とは支配する側の存在だ」

 

静かな声。まるで、それが世界の真理であるかのように。

 

「だが奴は利用されている」

 

コクヨウがゆっくり笑った。

 

「だから——救ってやれ。誇り高き龍族を、本来いるべき場所へ戻してやれ」

 

――記憶が途切れる。

 

ガイがニヤリと笑った。

 

「なるほどな」

 

拳を鳴らす。

 

「ヤツの言ってた通りだ」

 

ツキノを睨む。

 

「龍族の生き残りぃ、混血に洗脳されてんだろ!?」

 

ツキノの眉がわずかに動いた。

 

「……洗脳?」

 

ほんの一瞬胸の奥に小さな違和感が生まれる。

 

だが——

 

ガイが叫んだ。

 

「安心しろ!!」

 

拳を握る。

 

「今から俺が解いてやる!!」

 

ドン!!

 

地面が砕ける。

 

「その洗脳をなぁ!!」

 

拳がツキノへ飛ぶ。ツキノが氷を展開する。

 

バキィン!!

 

氷が砕け散った。ガイが笑う。

 

「目覚ませ龍族ぅ!!」

 

ツキノの目が細くなる。氷が静かに広がった。

 

「……うるさい犬だべ」

 

ガイが再び地面を蹴る。拳が一直線に飛ぶ。

 

ツキノが後ろへ滑る。拳が再び地面を砕いた。

 

「それさっきもみたべ?」

 

ツキノが距離を取る。

 

ガイが笑う。

 

「逃げんな龍!!」

 

ツキノが片手をポケットに入れたまま言う。

 

「逃げてねぇべ」

 

もう片方の手を前に出した。

 

「試してるだけだべ」

 

指を銃の形にする。ガイが眉をひそめた。

 

「……あ?」

 

ツキノが小さく呟く。

 

「ミナちゃんの真似だべ」

 

指先に冷気が集まる。小さな氷の球が生まれた。

 

「バン」

 

パシュッ!!

 

氷弾が一直線に飛ぶ。それはガイの肩に命中した。

 

バキッ!!

 

氷が炸裂し、肩から血が滴る。ガイが少し後ろへ下がる。

 

「……ちっ」

 

ツキノがもう一度構える。

 

「もう一発あげるべ」

 

だが、ガイは腕で弾いた。

 

「ふざけんなぁ!!」

 

ツキノが少し笑う。

 

「なかなか面白いべな」

 

氷が周囲に舞う。

 

次の瞬間——

 

ガイが今までより速い踏み込みを見せた。

 

ツキノの目がわずかに動く。

 

「……おぉ」

 

だが即座に氷壁を作る。

 

バキィン!!

 

拳で砕かれた。ツキノが少し距離を取る。

 

ガイが笑う。

 

「どうしたぁ!!」

 

拳を鳴らす。

 

「さっきの余裕はよぉ!」

 

ツキノの周囲に氷が舞う。

 

ガイが言う。

 

「俺はな——」

 

筋肉が膨れ上がり、瞳が獣のように光った。

 

「猛犬だぁ!!」

 

ドン!!

 

踏み込みだけで地面が砕ける。拳がツキノへ迫る。

 

ツキノが氷で受ける。

 

バキィン!!

 

氷が砕け、ガイの拳が肩をかすめた。

 

「すげぇ!!あの豹女より全然つえぇ!!」

 

ツキノの眉が少し動く。

 

「あぁ、ヒョウカちゃん」

 

少し思い出すように言う。

 

ガイがニヤリと笑った。

 

「ヒョウカって言うのか!?あいつもなかなかだったぜ!」

 

ドン!!

 

拳が振り抜かれる。

 

「俺の方が強えけどな!!」

 

ツキノが後ろへ飛び、地面に手を付いた。

 

「そうだべな」

 

氷が地面に広がる。

 

「ヒョウカちゃんもあんたも強い。でも——」

 

ツキノが静かに笑う。

 

「うちはあんたよりもっと強いべ」

 

氷が爆発的に広がった。

 

ガイが避けながら話す。

 

「そうかい……でもよぉ——」

 

その時。

 

ガイの筋肉がさらに膨れ上がる。

 

「まだ終わりじゃねぇぞ」

 

ドン!!

 

更に速い踏み込み。ガイが叫ぶ。

 

「もう一段上げてやる!!」

 

ドドドドド!!

 

拳の連打がツキノを襲う。

 

衝撃が連続で響く。ツキノが氷壁を展開するが、すぐに砕かれた。

 

「ちっ……」

 

さらに拳の雨が降り注ぐ。

 

ドドドドド!!

 

地面が砕け、鉄骨が歪む。

 

ガイが笑う。

 

「どうした龍!!避けてばっかじゃ勝てねぇぞ!!」

 

ツキノが後ろへ跳ぶ。

 

(ちょっと……やべぇかも)

 

ガイが笑う。

 

「ビビったか!?これが狂犬だぁ!!」

 

狂ったような踏み込み。拳が一直線に飛ぶ。

 

ツキノが氷を展開する。

 

だが——

 

バキィン!!

 

なんと、今度は拳が氷壁が貫通した。

 

「!!」

 

拳がそのままツキノの顔面に叩き込まれる。

 

ドゴォン!!

 

ツキノの体が数メートル吹き飛び、コンクリートの壁に激突した。

 

ガイが肩を回す。

 

「……はぁ」

 

ゆっくり歩いてくる。瓦礫の前で止まった。

 

「どうだ龍族、頭冷えたかぁー?」

 

その時——

 

ガラッ。

 

瓦礫が少し動く。ツキノがゆっくり立ち上がった。

額から血が少し流れている。

 

だが——

 

表情が消えていた。ガイの眉がわずかに動く。

 

「……おい?」

 

ツキノは答えない。ただ静かに、首を鳴らした。

 

「龍族が頑丈で良かったべ」

 

ガイの笑みが少し歪む。

 

「……は?」

 

ツキノが顔を上げる。その目が、さっきとは違っていた。

 

冷たくて、圧倒的に静かだった。足元から氷が広がる。

 

パキ……パキ……

 

廃工場全体に冷気が満ちていく。

 

ツキノが静かに言う。

 

「ちょっと遊ばせすぎたべなぁ」

 

氷が爆発的に広がる。地面が一瞬で凍りついた。

 

ツキノが拳を軽く握る。

 

「久しぶりだべな」

 

お互いの冷たい息が白く広がる。

 

ツキノの目がゆっくりと開く。瞳が白銀に染まっていた。

 

ガイの笑みが止まる。

 

(こいつ……まだ)

 

冷気が、一気に強くなる。

 

ツキノが静かに言った。

 

「昂ってきたべ」

 

氷が空気を震わせた。

 

そして——

 

龍族の本性が、目覚めた。




最後まで読んでくださりありがとうございます!
狂犬相手にまだ余裕を見せていたツキノですが、ついに“白銀”が動き始めます。次回、龍族が本気を出します。
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