ミス シュヴルーズと一部の生徒は不幸なことに爆発にさらされ、更に教室は滅茶苦茶になり結局講義は中止になってしまった。
罰としてルイズは煤だらけの顔とボロボロの服装のまま、魔法無しの後片付けを命じられた…
最も、魔法の使えないルイズには関係のない話なのだが。
ルイズは黙々と箒を使いゴミを集め、魅魔はそんなルイズをジーっと観察している。
「見たでしょ…アレが私の実力。私が"ゼロ"などと周りから、言われ続けている所以よ」
何も言わずルイズを見ていた魅魔だが、ルイズの言葉に続くように言葉を続けた。
「ならその"ゼロ"がアンタを馬鹿にする為の言葉なら、バカにした奴らはとんでもない節穴だねぇ」
これにはルイズはその煤と涙で汚くなった顔を魅魔に向ける
「えっ?」
「ふふふ、思っていた事を呟いただけさ考えてごらん?アンタがやって魅せたのは"爆発"という現象そのものだよ?本来"火"を媒体として発現するこの現象は爆発した途端周りに飛び火して、周囲を燃やし尽くすだろうさ」
突然打ち明けられた魅魔の考察。たしかにそうだ。ただでさえ"爆発"という現象はトライアングルクラスのメイジでも生み出すのに苦労するのだ…何故今まで気づかなかったのだろう…気づけばルイズも真面目に耳を傾ける。
「昨日封印の事で話をしただろ?もし、封印を解除したなら恐らく、イヤ…間違いなくアンタの奥に眠っている膨大な魔力が解き放たれるでしょうね。ハッキリ言うよ。アンタには才能がある。そして私なら、アンタの才能を証明することができる。アンタが周囲から馬鹿にされる?私から言わせればアンタを馬鹿にする方がよっぽど馬鹿だよ」
そこまで言うと杖を一振り、教室はまるで逆再生のように元に戻り、ルイズの顔と服も綺麗に元に戻った。
「まぁ、私は嘘をつくけど約束は守る。前も言った気がするけど、最後まで付き合うさ……え~と、次は確か昼食か…で、アンタはこんな所に何時までも居る気かい?」
その言葉にハッとしたルイズはクスリと笑い、
「ふ、フンッ言われなくても行くわよ!」
と、魅魔を追い越しツカツカと講義室から出て行った。
しかし、ルイズがボソッとありがと…と呟いたのを魅魔は確かに聞いた。
◇
トリステイン学院学院長オールド・オスマンは今日も今日とて紅茶なぞをすすりながらのほほんととしていた。
まぁ、一言で言うと暇だったのだ。自分の使い魔はこないだ一人の生徒が召喚したとあるメイジに今さっき捕まり、愛用のキセルもこないだ此処に就職した自分の秘書にとられるしで、する事も無くなったのである。
年齢不詳…一説には百歳とも三百歳とも言われている彼は大あくびをしながら
「ヒマじゃのーこのままじゃボケてしまうわい」
などと、呟く。そこへ穏やかな昼過ぎに似つかわしくない激しいノックが室内に響いた。
オスマンは佇まいを正し、
「入りなさい」
と、威厳ある声で入室を許可する。
許可を許され、ドアを開けたのは、ルイズの召喚に立ち会った教師、コルベールであった。
彼はなにやら慌てた様に紙をオスマンの机に置き、
「使い魔が書いたルーンが始祖で平民達に大人気なんです!」
「よし、とりあえず落ち着くのじゃ」
コルベールは深呼吸をし、
「ミス・魅魔が書いT
以下要約。
魅魔が平民達の為に書いたルーンがとても珍しいモノだったので、調べてみた。
↓
すげぇ調べたけど、分からない
↓
そこで、「始祖の魔法」という本を調べた所、該当するルーンがあった。
↓
魅魔って何者?
…らしい。
「ふ~ん、所でその偉大な始祖が作りあげたルーンの効果とはなんじゃ?」
「…たくです」
「ん?」
「洗濯です…」
「そ、そうか…」
「……」
「……」
「何しにきたんじゃお前は…」
「いえ…凄くないですか?コレ…」
「なんか、どうでも良いわ」
「……」
◇
一方その頃ルイズと魅魔は食堂で雑談をしている最中、端の方でなにやら人混みができていることに気づいた。
「すみませんっ!すみませんっ!」
「どうしてくれる!キミは二人のレディを傷つけたのだよ?」
そこは何やら黒髪のメイド…シエスタがバラをかたどった杖を持ち、ワインまみれで、顔の両頬が大きく腫れ上がった少年…ギーシュに頭を下げている所であった。
いさかいは些細な事がきっかけである。
ギーシュが落とした香水の瓶をシエスタが拾ってしまったのがきっかけである。
その瓶のせいで彼女に浮気がバレ、彼女と浮気相手に制裁を加えられた、というわけである。
それをなんとか誤魔化そうとギーシュはシエスタに責任を押し付けたのである。
女性を大切にする事を心情とする彼であったがまぁ、彼も本気ではなかったのだろう。
しかし周りがはやしたていつの間にかこの様になっていたのである。
(嗚呼…どうしてこうなった…)
それを見ていたルイズはくだらないと、渦中に歩もうとしたルイズだが魅魔に止められ、耳打ち。
ふんふんと聴いていたルイズはニヤリと笑い。行ってくると一言。二人の下に向かった。
「ちょっと止めなさいよ、みっともないわね」
「み、ミス・ヴァリエール!?」
ここでシエスタは助けにきたルイズが女神か天使に見えたと後に語る。
「誰かと思えばゼロのルイズ。キミに関係ないだろ?」
「ふん、貴族ともあろう者が自分の恥を他人になすり付けようとしてるのを見て、情けなくなっただけよ」
「ッ!…随分言ってくれるじゃないか…」
「だったら何なのかしら?」
「魔法が使えない者同士仲が良いと見える」
そこまで聞くとルイズは食堂の椅子に脚を組みながら優雅に座り、
「一つ言うけど…」
ルイズは杖を一振り。
ドン!っとギーシュの近くの床が派手に爆発する。更にルイズのスカートも微かに捲り上がる。…み、見えない…
「私の"魔法"はアナタのオツムの足りない頭を寸分違わず爆発する事ができるわ…それ以上ふざけたことを言うと次は無いわよ」
「くぅ…ならば僕は君に決闘を申し込む!どちらが優れているか、白黒つけるぞヴァリエール!広場で待つ!」
其処まで言うとそそくさと逃げるように立ち去るギーシュ。
実はこのギーシュ怖かったのだ。いつもの"ゼロ"のルイズではない言動、立ち振る舞い、雰囲気…その他諸々...ギーシュなんだかはルイズが恐ろしいモノに見えてしょうがなく、気づいたら決闘を申し込んだ次第である。
「どうだった、魅魔?」
「ん~まぁギリギリ及第点かねぇ」
そう、ルイズの立ち振る舞い全部魅魔の助言であった。
もともと、魔法以外を頑張ってきたのである。余裕を見せた途端、臆病なルイズが消え失せ、あの様な立ち振る舞いが出来るようになったのである。
「所で決闘の話なんだけど...」
「ん、まぁそれは好きに暴れれば良いじゃない」
「分かったわ…じゃあ行ってくるわ!」
「さっきのメイド…シエスタってんだけど彼女も連れてくるからね」
ルイズはとても楽しそうに広場に向かうのであった。