ゼロと悪霊さん   作:(´Д` )

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文数が少なすぎたのでちょっとだけ修正。


十三話目

 

「ルイズさん!ご飯ですよ!どうぞ!」

 

「あ、ありがとう....」

 

 

 

 

 

 

「ルイズさん!大好き!」

 

「お、おう...」

 

 

 

 

 

 

「ルイズさん!クンカクンカ!」

 

「嗅ぐな!!」

 

 

 

 

 

 

 

……あれ?どうしてこうなった?

 

 

シエスタは"あの日"以来ルイズに付きっ切りであった。

 

その執着ぶりといえば朝食を食べる所から常に隣に待機。

 

その姿を見た貴族が文句を言おうと近付くものならその拳が光って唸り、轟き叫んで襲いかかってくるので誰も文句を言えなくなってしまったのである。

 

……あれ?別に助けなくても大丈夫だったんじゃね?

 

更に私が文句を言おうものなら、

 

 

「はい、何でしょうかルイズさん♪」

 

…コレである。決して私は可愛いとか微塵も思ってはいないが、裏表も無い爽やかな素敵スマイルを見せられると、何も言えなくなってしまう。

 

…私ってこんなにお人好しだったけ?

 

「あ~…楽にしなさいよ」

 

 

「はい!ありがとうございますルイズさんっ!大好き!」

 

 

…あれか自分の痛みを知る者は他人の痛みを知るってヤツか、そう言えば私ってば最近不幸続きだったわね…こないだのオーク鬼討伐の日の夜に魅魔が

 

「今日から、肉体の鍛錬も追加ね☆」

 

とか言い出す。その内容といったら…思い出すだけで吐き気がするし、更に動悸を起こし身体が震える。

 

…コレ絶対トラウマになってるじゃない!

 

しかし人間、こんな事にも対応出来るとは恐ろしい。

 

魅魔の修行と言う名の虐待は確実に私の血肉になっているらしく夜、樹齢数百年はあろう大樹がワンパンで弾け飛んだ時は自分自身に引いた。

 

やっぱアレが効いたのかしら、毎朝魅魔がくれる飲むと何故か一気に疲れや眠気が吹っ飛ぶヤツ。それのお陰で最近全く寝ていない。

魅魔によると、

 

『私の所じゃ、毎朝コレを飲んで寝ずに鍛錬の日々をおくるのさ(うそ)』

 

 

…胡散臭いコトこの上ないが現に今体調も良いし、おかしい所も無い。 

 

ツッコむ所が一つも無いから魅魔に文句も言えず、それに私も居眠りで授業内容を聞き漏らしたくはない。

 

…あ、あくまで意見の合致なんだから!良いように使われているとか無いんだから!

 

で、確かその薬品の名前はドーピングコンソm「ルイズさん、ルイズさん」

 

朝食をとった後の多幸感。一日の中で一番穏やかなひと時である。

 

あたたかい紅茶なぞを啜りつつ考えを巡らせた所、隣に待機していたシエスタが質問をしてきた。意識が現実に戻される。 

         

「ん~?なぁに?」

 

 

「ルイズさん。"土くれ"のフーケって知っていますか?」

 

「お、貴族しか狙わない盗賊フーケか?知っているぜ?」

 

人の気配は無く、ただ声だけが響く。テーブルに立てかけてある私の相棒。"伝説の剣(自称)"デルフリンガーである。

 

学院内では流石に持ち運ばないがこうして話相手にしたり、修行中魅魔と対峙している際私は、この錆びた剣を使うようにしている。

 

結果は言わずもがな…身体中が痛い。

 

「ある時には宝物庫の壁を二つ名の通り"土くれ"にしたり、またある時には30メイルもあるゴーレムを使い、大胆にも壁を壊し宝を盗む。んで盗んだ後には律儀にも名前付きで"○○、頂きました"なんて残すらしいぜ?」

 

「はいはいデルフ、説明お疲れ様...で、それが何よ?」

 

「はい、なんでもフーケはメイジとしても相当な使い手と聞いて…でも、ルイズさんなら楽勝でコテンパンですよ!」

 

 

「アンタ、コテンパンて…でもそうね、私とフーケが戦うなら…」

 

ギーシュが召喚する小型のゴーレムならともかく、大型のゴーレムでは私じゃ倒すのは難しいだろう。

 

一応私には失敗魔法による爆発などがあるが如何せん火力と範囲が足りない。次の1撃の前に再生されるのがオチだ。

 

「ふふ、そんなモノ、パワーで圧倒すれば良いのさ…戦いはパワーだよ」

 

「きゃっ!魅魔アンタ何時から居たのよ…」

 

落差というものは大きければ大きい程、衝撃的である。穏やかなひと時から一変、混沌の声がする。

 

振り返ると私の一応の師、魅魔が立っていた。

 

「本当、神出鬼没とはアンタの為にある言葉よね…」

 

「私だって色々ある。秘密は多い位が丁度良いのさ」

 

「それにしても、戦いはパワーね…私にはパワーが無いのよね…」

 

「なら、修行にパワーを鍛える練習でも加えるかしら」

 

「え~!!そ、そそそこまで言って無いから!!」

 

「そんなに嬉しがるな、照れるじゃあないか」

 

「嬉しく無いから!ほら見て!この鳥肌!修行って言葉に拒絶反応おこしちゃってるから!」

 

「そんな事より、そろそろ講義が始まるんじゃないのかい?」

 

「そんな事って何よぉ!」

 

「行かないのかい?」

 

「行くわよ!!!」

 

 

荷物を纏め、ドタバタと慌ただしく講義室に向かうルイズ。

 

 

 

 

…シエスタ、アンタはついて来なくて良いから!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。一応今日の稽古は終わりだよ」

 

「むぎゅ~」

 

深夜、今日の修行も終え、魅魔は軽く背伸び、ルイズは気絶している所である。

 

「さて…と、」

 

魅魔はおもむろに懐から薬品を取り出し、ルイズの口に突っ込む。

 

薬品をリッター単位で完全に飲み込んだルイズは突然勢い良く起き上がる。すると...

 

「ハタラキタクナイデゴザル!ハタラキタクナイデゴザル!」

 

「よし良いかいルイズ、今日はこのメニューをこなすんだよ?」

 

と、一枚の紙をルイズ(洗脳)に渡す。

 

「ウン!ワカッタ!デゴザル!」

 

ルイズは首を左右にカタカタ動かし、ケラケラ笑いながらすたこら走って行く。

 

「魅魔…」

 

ルイズに置いていかれたデルフリンガーが魅魔に尋ねる。

 

「お前の血の色は何色だ…」

 

「生憎、そんなもの無いよ」

 

 

 

 

 

その頃学院。

 

 

本塔の外側に学院を守る兵士でも無い。番をしている教師でも無い。フードを深く被っているソレはまるで、混ざりあった溶液が分離するかの様に現れた。

 

灰色のフードを頭からかぶったその様相はどこからどう見ても不審者としか言いようの無い姿だ。

 

「むぅ…流石魔法学院の宝物庫だね…無理も良くないし、今日は退散しようかねぇ…」

 

 

名は"土くれ"のフーケ、近頃噂になっている貴族専門の盗賊である。

 

この盗賊、貴族の厳重に守られたお宝をある時は繊細に、ある時は大胆に盗み、その悪名は王室まで届くほど…まさに盗みのスペシャリストなのだ。 

 

では何故この盗賊がこんなにも宝物庫相手に苦戦しているかと言うと…

 

「な、なんだいコレは…!この宝物庫どうやら相当腕の立つ土メイジが"固定化"を何層も重ね掛けしているらしいね…こんなの王宮でも見なかったよ!」

 

と、宝物庫の壁をゲシゲシと蹴る。

 

今日はもう退散しようかと思案していた時、なにやら人の気配を感じ、振り向く。

 

すると…

 

「ゴザル?」

 

「うわっ!!」

 

すぐ後ろにいた。

 

「な、何者だい?」

 

「ゴザル!」

 

「う、動くな!」

 

と、此処でこの魔法学院の生徒らしき人物がなにやらおかしい事に気付く。

 

「…この子催眠状態?」

 

「ゴザル!」

 

このケラケラ笑う少女、確かこないだの決闘の…

 

 

「やれやれ、誰にやられたんだい?こんなコトするヤツ、恐らく人間じゃないね」

 

割と本気で同情し、頭を撫でてやる。

彼女は…その死んだような目を気持ちよさそうに細めている。

 

「ふぅ…何でアタシは此処に来てこんなコトを…ってそうだ!」

 

我ながら妙案を思いつきニマリと笑う。

 

「アンタ理屈は知らないけど、確かとんでもない身体強化魔法を使えるわよね?」

 

「ゴザル?」

 

首を傾げるルイズ(洗脳)

 

「ちょっと本気でこの壁を殴ってくれないかい?」

 

 

ルイズ(ゴザル)はコクンと首を前に倒し、袖を捲りブンブン腕を回しだす。フーケは遠くに離れ避難。 

 

 

ルイズ(洗脳)はフーケが避難した事を確認すると全身の力を拳に集め、解放。次の瞬間

 

 

ドゴォ!!

 

壁に腕が埋まり、其処を中心にして放射状にヒビが入る。

 

腕を引き抜くとガラガラと音を立て、其処には王宮をの宝物庫を凌ぐと言われる壁は跡形も無く消え去った。

 

「す、凄いじゃないか…間近で見ると凄まじい迫力だね…」

 

「ゴザル!」

 

「…っと、こうしちゃいられない。お宝お宝~と」

 

ひとまず一番の壁を物理的に砕いたので、とりあえず中を漁るコトにする。

 

「ふ~ん、凄い宝物庫だったから結構期待していたんだけど、なんだかゴミしかないね…」

 

中はホコリまみれの「コレ、本当に宝物庫か?」と言った具合である。

 

コレにはフーケ、ショックを隠しきれないがひとまずお目当ての物を探すことにする。…こらアンタ、それは食べ物じゃないよ!

 

ルイズ(洗脳)から歯形付きの瓦礫を取り上げつつ、奥に進む。

 

 

「…コレが噂の"お宝"かい?」

 

最深部にあったのは、厳重にガラスケースに保管されてある明らかに他の物とは保管の仕方が異なるモノがあった。

 

「…コレが?イヤしかし名前と違うような…」

 

最初ブツブツ独り言を呟いていたフーケだが、一応持っていくコトにする。

 

「…っと、忘れていたよ」

 

フーケは振り返り、杖を一振り。スラスラと宝物庫の壁になにやら文字が書かれていく。

"破壊の杖、確かに頂きました。 土くれのフーケ"

 

 

 

 

 

 

「さてお宝も回収できたし、帰るかね…」

 

スタスタと学院を後にするフーケだったが視線を感じ後ろを振り向く。

 

其処にはルイズ(洗脳)が大きく手をこちらに振っている所だった。

 

フーケは最初ポカンとそれを見ていたがニヤリと笑い、軽く手を振りルイズ(洗脳?)に答えた。

 

 

「…私は此処で何をしているでござる?」

 

 

「教えようか?」

 

フワリとルイズの目の前に降りてきたのは、今の今までフーケ達を観察していた魅魔である。

 

「アンタ、今さっきまであの"土くれ"フーケと一緒に盗みをしていたのさ」

 

 

「な、何を根拠にそんなコト…」

 

魅魔はおもむろに指をルイズの後ろにさす。

 

「ほ、宝物庫の壁が…」

 

魅魔はワザとらしい動作で頭を抱え、

 

「あのヴァリエール公爵の娘が盗賊とグルになって、盗みを…しかも、世界に名だたるトリステイン魔法学院の宝物庫を…コレは公爵家の娘であろうとも、向こう数十年はあの薄暗い牢獄の中で自分の間違いを反省する日々が待っているに違いない…証人…もとい、証剣ならほら、コイツがいるし」

 

と、今まで手に持っていたデルフリンガーをドスッと地面に突き刺す。デルフリンガーは恐らく顔があったらニヤニヤしているだろう感じで

 

「イヤ~相棒もヤルもんだねぇ~いや、俺は剣だし?相棒だからこういう事にはとやかく言わないけどよ…ちとコレは派手にやり過ぎだな」

 

と、言った。

 

しかしルイズはパニックになっていたのか、二人のワザとらしい演技を見破る事ができず、

 

「に」

 

「「に?」」

 

「逃げるのよォォォーッ!」

 

逃げた。

 

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