ゼロと悪霊さん   作:(´Д` )

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四話目

深夜、とある部屋のベッドから、むくりと起きる人影が一つ。

 

言わずもがな、我らが"悪霊"魅魔である。

 

隣に寝ている同居人を起こさないように外にでる。

 

ふよふよと風を感じながら、警備の兵士にバレないようにゆっくり飛んでいく。

 

「…ふ~ん、この世界の夜は明るいわね。なんだか力もいつもよりみなぎる感じもするし」

 

この世界、幻想郷と違う点は多々あれど、やはり似て非なるわかりやすい点と言えば、

 

「月がふたつ、か…まぁあれだ、多いに越したことはないね。」

 

と、適当に自己完結する。

 

彼女は一応妖の類なので満月の日は力が湧くのである。

 

「なんだか気分も良いし、もうちょっと見回ってみるとするかね」

 

ふよふよとそのままあてもなく飛んでいき、彼女が帰ってきたのはふたつの月が別れ、空がぼんやりと明るくなった時のことだった。

 

 

「やれやれ気が付いたら明朝か…我ながら寄り道し過ぎたね…」

 

独り言を呟きつつ、窓からゆっくりと部屋に帰る。

 

「…お化け」

 

中に入ったとたん、そこの住人である青髪の少女は魅魔を見た途端、倒れてしまった。

 

「あ、あらら?しまった…あいつ(ルイズ)の部屋はどこだっけ?」

 

倒れた少女をベッドに寝かせ急いで脱出、更に足を生やし、学園内をうろつく。

 

無駄に広い学園内を適当にうろつくと何やら慌ただしく作業をしている一団を見つけた。

貴族の世話係だろうか?皆が皆、それぞれの仕事に没頭し、また忙しそうだ。

 

「う~ん誰か案内してくれれば…おっ、そこのメイドさん。ちょっと待った」

 

その中から洗濯籠を運んで歩いている黒髪のメイドを呼び止める。

 

「あ、はい、って貴族様!わ、私に何がご用でしょうか?」

 

普段貴族の相手をしているだけに慣れているのか、彼女は発していた慌ただしさごとピタリと動きを止めた。

 

 

「ん、そうそう。あなたです。…っと、それはそうと私は昨日ルイズに召喚された者だよ。私は別に貴族じゃない」            

それを聞いたメイドは目を見開き、

 

「え、あ、あなたが噂のミス・ヴァリエールの使い魔ですか…でも、マントを羽織っているし、杖も持ってるし…あ、貴方はメイジなのでしょうか?」

 

「私はメイジじゃない。魔法使いさ、…所でその噂ってなんだい?聞かせておくれよ」

 

メイジではなく、魔法使い。彼女にはこだわりがあるようだ。

 

「はい…何でも、ミス・ヴァリエールが召喚したのは、ば…」

 

「ば?」

 

「ば、化け物だとか…そこに居るだけで、メイジがバタバタと倒れて逝ったとか…」

 

「……」

 

なんということだろうか…どうやら自分の評価はとてつもないコトになっているらしい。しかも大体合っているから始末が悪い。

これからは出来るだけ足は生やしておくようにしよう。

 

「普段変な笑い方をする貴族様がとてつもない速さで逃げて行ったとか…」

 

「いや、それは関係無いだろ」

 

「で、でも良かったです。なんだか気さくで優しそうだし…」

 

「どうでも良いさ、所で自己紹介がまだだったね。魅魔。私の名さ」

 

「魅魔...はいっ!これからよろしくお願いしますわ魅魔さん。私は貴族様の身の回りの世話をしていますシエスタと申します。遠慮なく私を頼って下さいね」

 

「えぇ、シエスタよろしく。早速頼りたいんだけどルイズの部屋を教えてくれないかい?」

 

「ミス・ヴァリエールの部屋ですね、分かりました…あ、でもその前に…」

 

そういうとシエスタはチラリと手元を見る

 

「ん?あぁ、洗濯かい?手伝うよ」

 

「えぇ?悪いですよ!」

 

「良いよ、私としても早い方が嬉しいしね、ほらほら行くよ」 

 

シエスタは内心『優しい方だなぁ、なんだか姉さんみたいだ』などと思いつつ、

 

「わかりました。こちらです」

 

と、魅魔を連れ、水場まで案内する。

 

「へ~コレ全部素手で洗うのかい?」

 

と一言。目の前にあるのは沢山の洗濯物の山。                  

「はい、貴族様の衣服から下着まで全部。素手で洗います」

 

それを聞いた魅魔はニヤリと笑い

 

「ならこの私が手伝ってやろう。」

 

そう言うとどこからかチョークを取り出し、黙々と何かを書き出した。

 

「えっと…何を…」

 

「まぁまぁ、黙って見てなさい」

 

何やら丸い円陣に何か細かい図形やら、異国の言葉やら書いているらしい。

 

「よし、こんなものか」

 

「えっと…何ですか?コレ…」

 

正直シエスタはこの魔法使いが何をしたいのかよく解らなかった。

 

「コレは今即興で作った魔法陣さ。」

 

「マホウジン…?」

 

「コレさえあれば洗濯能率アップ!細かい汚れもガンガン落ちる!乾燥機能も完備!勿論仕上げも完璧!名付けて"全自動洗濯陣"さ!!」

 

「え、え~と?」

 

魅魔、朝一番のテンションである。驚かしたいだけなのである。

 

「まぁとりあえず見てな。周りに"水の入った桶""洗剤""洗濯物"を置いてごらん」

 

「あ、はい!」

 

とりあえず言われた通りにする。

 

すると…桶の中の水が持ち上がり、洗剤と洗濯物を飲み込む。

 

「わぁ!凄いです!汚れがドンドン落ちていきます!」

       

 

目の前で次々と洗濯物が洗われ、乾き、次々と畳まれて積まれていく。

 

魅魔は軽く杖を振り、

 

「この"全自動洗濯陣"は此処に固定しといたよ。好きに使いな」

 

「何やら何まで…本当にありがとうございます!」

 

はっはっと褒められて上機嫌だったが、太陽の位置を確認すると、

 

「おっと、そろそろルイズの所に帰らないと…」

 

「あ、はい!直ぐにお連れ致します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シエスタに案内され無事帰る事が出来た魅魔だったが…

 

「なんだ、まだ寝ていたのか...」 

 

ルイズはベッドの上でへそを見せ、大の字になりながら、実に幸せそうに寝ていた。ここだけ見ると貴族には全然見えない。

 

そんなルイズの無防備な姿を暫く見つめていた魅魔だが、なんだか悪戯心が刺激されてきた。

 

おもむろにびよ~んと、頬を引っ張る。少女特有の餅のような肌が面白いように伸び、そこにはプライドの高い貴族の欠片も無く、時折「う~ん」と実に寝苦しそうに呻いた。予想以上の好反応に魅魔は笑いを抑える為に床でゴロゴロ悶え苦しんだ。

 

次に何を思いついたのかシエスタの所に戻り、水の入った桶、洗剤を借りてきた。

そのあと、床にチョークで直接"全自動洗濯陣"の魔法陣を書き込む。

指定の位置に、水桶、洗剤、ルイズを設置。

 

すると…

 

「ムニャムニャ…搾乳…見たいかも…って、きゃあ!!何よコレ!」

 

流石に起きたのかルイズは叫んだ。

 

洗濯されながら。

 

「何…って、アンタ昨日お風呂入ってないだろ?」

 

「いや、意味分かんないし!とにかくコレを止めなさい~!」

 

「それ、全自動だから。終わるまで止まらないよ」

 

「止~め~て~!溺~れ~る~!」

 

ルイズが必死に懇願しても、魅魔はうひゃひゃと床を腹を押さえながら笑い転げるばかりである。

 

それにしてもこのルイズ。昨日から踏んだり蹴ったりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うひゃひゃwww」

 

「ゴボゴボ…」

 

「あっ」

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