ゼロと悪霊さん   作:(´Д` )

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六話目

その頃教師棟、コルベールは自室で悩んでいた。

 

ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔…ミス・魅魔。

 

あの場ではとりあえずミス・魅魔が契約内容を了解し、落ち着いたが彼は過去の経験から彼女がメイジではなく、何かもっと恐ろしいモノに思えてしょうがなかったのだ。

しかしながら、彼女が放ったあのプレッシャーは決して殺意などを感じとれなかったし、こちらに割と友好的な所を見るに害を与える存在とも思えない。

 

しかし…彼女がもし気紛れでこちらに敵意を示してきた時、何か途轍もない事態が発生するのではないかと危惧していた。

 

このことを自身が尊敬すべき学院長、オールド・オスマンに話すと、鼻なぞをほじりながら言い放った。

 

「ルーンが刻まれたなら別にいんじゃね?」

 

…とのコト。

 

尊敬する上司の言葉といえど、これにはコルベール。更に頭を抱える事態となった。

しかしオールド・オスマンは今こそアレだが、今まで数々の功績を残してきた素晴らしいメイジである。

彼がそう言っている以上、自分が無闇に動くワケにも…

契約は無事に終わり今日まで何事もなく済んでいる。しかし、その何かが起こってしまったら遅いのだ。

……コルベールは悩み続けていた。

ちなみに彼がその過労からかボロボロ落ちていくそのモノに気づかないのは、知らぬが仏、幸運なのだろうか。

 

 

 

 

その頃ルイズの自室。

ルイズは魅魔の手を押しのけながら少しサディスティックに笑い、

 

「アンタが使い魔としてすべき事をこの私が直々に教えてあげるわ!」

 

…と、高らかに宣言する。

 

魅魔はその生暖かい目を崩すことなく話を聞く。

 

 

「まずその一!使い魔はその主人の目となり!耳となる能力を与えられるわ!」

 

 

と、いきなりルイズは、ぎゅーと両目をつぶった。それも、かなり強めに。

         

魅魔はそんなルイズを見て、悪戯したいとムラムラしていたが、我慢。          

 

「…あ、あれ?何も見えないわ…おっかしいわね…」

 

などとブツブツ呟き、まぁ良いわと一言。

 

「その二!使い魔は主人が望むモノ…例えば、秘薬の材料などを持ってくるのよ!」

 

しかしその後ズーンと落ち込み、

 

「でも…私には必要ないわね…」

 

魅魔はこの子やっぱり感情の起伏が激しいね…などと思いつつ、無自覚に悪戯しようとした右手を抑えこむ。

 

「さ、最後に!そ、その3!コレが一番重要なんだけど…使い魔は主を己の力をもって守るのが役目よ!あれだけのプレッシャーを放てるもの!実力は充分よね!」

 

 

…と自己完結。

 

「どう!まぁ、アナタの最低限の生活は保障するからその代わり使い魔として、ボロ雑巾の様になるまで使いまくってやるんだから!」

 

とビシッと魅魔を指差す。なんだか後ろにザッバーンと大波が見えた気がする。

 

…幻想郷海無いけど。

 

其処まで聞くと、魅魔は一言。

 

「使い魔なんてイヤよ」

 

「へっ?」

 

「何さ、まるでハトが散弾銃喰らったみたいな顔して」

 

「い、いいいい今なんて?」

 

「だからハトが散弾銃喰らっ「その前よ!」」

 

とルイズは声を荒げる。

 

「た、確か、使い魔にならないって…」

 

「ふふ、そのとおりよ」

 

「だ、ダメよ!使い魔のルーン…そうよ!使い魔のルーン!アナタには契約の証として、使い魔のルーンがあるのよ!」

 

と魅魔の左手を指差す。

 

「ん?このルーンがいけないのかい?ならほら、返すよ」

 

と、魅魔がニタ~と本当に…本当に悪い笑みを浮かべる。

 

ルイズは最初はその魅魔の雰囲気にたじろぐが、腹筋に力を込め、言い返そうとするが...

 

「!!な、何よコレ!って…いっつぅ~~~~~ッッ!!」

 

左手の甲にチリチリとした痛みを感じた。その痛みは段々と増していき、最終的にはまるで皮膚をナイフで切り裂きドロドロになるまで熱した鉄を流しこむような猛烈な激痛をルイズを襲い、声にならない声をあげさせ、悶え苦しんだ。         

と、途端に痛みが消え失せ、そこに残ったのは魅魔にあったであろう使い魔のルーンである。

 

「な、なななな何で…?」

 

「主人で使い魔。一粒で二度美味しいってね」

 

「な、なななななななナニよコレェーーーー!!」

 

「ナニって…使い魔のルーン」

 

その絶叫の凄まじさというと、天を貫き、次元を超えとある魔界の似たような名前を持つ魔界人まで届いた様な気がしないでもない。

 

「ハァハァ…」

 

「ほらほら落ち着いて」

 

「コレがどうやって落ち着いて居られるのよぉ!」

 

彼女…魅魔が何故このような事ができたかと言うと、一言で言ってしまえば、彼女は大魔法使いであるからである。

そもそも魔法使いというのは術式のエキスパートである。

 

幾らこのルーン"ガンダールヴ"が途轍もなく複雑な術式でも、それを解析するなどその道の"超"エキスパート魅魔には雑作もないことである。

 

解析した後は簡単。それをコピペって、ルイズに貼り付けただけである。

 

「う、うぅ…何なのよ…アナタは私と一緒に居てくれるって約束したじゃない…」

 

余りに突然の事に泣き出すルイズ。

 

「いや、私はアンタと…少なくともアンタが魔法が使えるまで一緒にいるさ」

 

「えっ?」

 

ルイズはゆっくりと顔を上げる。

 

いつの間にか後ろにいた魅魔が覆い被さるようにルイズを抱きしめる。

 

「私は使い魔って立場が気に入らなかっただけさ。私はここにいる。約束は守るよ」

 

優しく囁く。何だかルイズは…何時でもどんなときも優しい一つ上の姉を思い出していた。…上手く手のひらで踊らされている感じもしないでもないが。    

 

「それにね…アンタ自身が魔法を使う為に必要な事をしたまでなのさ」

 

「えっ!魔法?」

 

既に涙でぐしゃぐしゃな顔を自分の袖で拭きながら答える。

 

「アンタ魔法が苦手だろ?」

 

「うっ」

 

魅魔は昨日のルイズの行動から確信した事を言い、その後

 

「だから、大魔法使いたるこの私が本当の"魔法"を教えてあげよう」

 

「…いいの?」

 

「ふふふ、だからこそ、私は呼ばれたのかもね」

 

「……」

 

自分は小さい頃から魔法が使えなかった。血筋は良い。貴族としての礼儀作法は完璧。勉強だって頑張って学院じゃ誰にも負けない。

 

…しかし魔法が使えなかった。魔法、たったちっぽけなその才能が無いばかりに小さいころから、周囲に馬鹿にされ、蔑まれ、使用人にすら裏で馬鹿にされ続けた。

 

思えば今まで馬鹿にされ続けた人生であった。それからある意味逃げるように他の物事に私は取り組んできたのかも知れない。

 

しかし…やっと…やっと見つけた小さな"可能性"目の前にいる規格外のこのメイジは何だかこの人にさえ頼れば、"ゼロ"たるこんな自分でも魔法を使えるようにしてくれるとある意味確信めいたモノをルイズに感じさせた。

 

「魅魔…私に…」

 

「ん?何かしら?」

 

「私に…魔法を…魔法を使えるようにして下さい!」

 

魅魔はニヤリと笑い、

 

「ん、了解したよ」

 

軽く頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で、どうやったら、私が魔法を使えるようになるのよ?」

 

「う~んまずはアンタの力を感じてもらった方が早いね」

 

そう言うと魅魔はおもむろににルイズの頭に手を置いた。すると…

 

「な、何よコレ…」

 

何か自分の体中に魔力の渦のようなモノが湧き上がるのを感じた。

        

 …まぁ魅魔にそんな力は無いので、自分の魔力を流し込んでいるだけである。しかし魔力の流れは同じにしているので、嘘では無い…ハズ。                   

「アンタの力はどうやら他の奴らとは違うようね。ほら、心臓に注目してみて」

 

そう言われると、ルイズは自分の心臓に意識を集中させた。

 

「どうやらここに、アンタの力を拒む錠のようなモノがあるようね…そして何やら鍵穴のようなモノも見える。それを解除するには…」

 

「解除する為の鍵が必要ってことね…」

 

ルイズが続け、魅魔が頷く。

 

「でも何でこんな事に?」

 

「そこまで分からないよ。それにしても、アンタを拘束しているこの封印はなかなか強力なモノだね。ムリにこじ開けると、人たるアンタの身体じゃ、壊れるのがオチだね。すなわち…死、さ。」

        

ゴクリとルイズは生唾を飲み込む。     

 

「で、でもアナタにはこの錠の解除が出来るんでしょ?」

 

「いや、私はあくまでアンタを教育するだけさ、まぁ解除できなくもないけど失敗したら人間のアンタじゃ壊れるでしょうね」

 

「じゃあどうすれば…」

 

ルイズは落ち込む。

そんなルイズを見た魅魔はニヤリと笑い

 

「その為の教育と、ルーン"ガンダールヴ"さ」

 

「がんだーるう゛?」

 

「そのルーンの効果は存在するあらゆる武器、兵器を自在に操る程度の能力…だが、少し術式をいじらしてもらうよ」

 

そう言うと、魅魔はルイズの左手を強く握る。その手は生き物とは思えないほど冷たい。

 

「ん、終了」

 

魅魔が手を離すと…

 

「キャ、な、何よコレ!」

 

「アンタ、今日は驚きっぱなしだね」

 

「うるさい!全部アンタのせいよ!で!なんで使い魔のルーンが光っているのよ!」

 

「おそらく、このルーンを持つものは武器を手にした時に限り身体能力が驚異的にハネ上がるようなのよ。どう?何か変わったかい?」

 

そう言えばルーンが光り出してからなんだか身体が羽毛のように軽い。

 

「って、またはぐらかされる所だったわ!なんで私の身体は武器も持っていないのにルーンが発動しているのよ!」

 

「だから~ちょっと術式を弄っただけさ、なんとルーンがアナタ自身を武器として判断するようにね!正に五体凶器。カッコイーわね」

 

ルイズの顔は青筋を立て、引きつる。しかし自分のためだと我慢し、話を大人しく聞く。

 

「つまり、錠を引きちぎったら人間たる身体が壊れてしまう…なら話は簡単。ガンダールヴの力を借り、人外になれば良いのさ!まぁ、ガンダールヴの力だけでは足りないから、人間の限界という名の壁を5つや6つ、軽く越えてもらうよ」

 

そこまで聞いたルイズは笑顔。そしてそのまま…

 

「魔法を教えてやるとかカッコいい事言って、やることはごり押しじゃないのよおぉぉぉ!!」

 

吠えた。

 

その絶叫の凄まじさというと、天を貫き、次元を超え(ry

 

 

 

 

 

 

魅魔はじっくりルイズが落ち着くまで待った。

 

「ゼェ…ゼェ…お、落ち着いたわ…」

 

「ふふ、まぁあれさ。お前が信じる私を信じろってやつさ」

 

「尚更信じれないわよ…」

 

と、ルイズ。しかし魅魔に向き直り…

 

「まぁ、それでもアナタを私は信じてみたいと思ってしまったのよ、だから…せせ、責任とりなさいよねっ!」

 

この態度には流石の魅魔も苦笑。そして、

 

「私から始めたことさ、最後まで付き合うよ」

 

ルイズ…アンタは知らないだろうけど、そのルーンの他の力…主人に好意を刷り込む術式。アンタはコレを知ったら怒るでしょうけど、間違いなくアンタの力になる筈さ。

魔法とは、"非日常"の力、その力は思い込みの力でその出力が変わる。

常に前向きになりな、その自負心こそが魔力を呼び、"非日常"を発生させ、幻想を生み出す。

 

まぁ、まずはこの子に必要なのは自信かね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そしていずれは私の優秀な僕に!

 

…台無しである。

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