二人はその後、様々なことを話し合いまた、楽しんだ。
太陽も沈み、気づけば深夜である。魅魔の言う"教育"は明日にまわし、とりあえずその日は解散。次の日を迎えた。
今日は使い魔召喚の儀式が終わり、初めての授業である。
トリステイン学院の教室は大学の講義室に近い造りであった。
全体的に石造りで、一番下の段で先生が授業をし、階段状に二段、三段に生徒が座る…といった具合。
ルイズを見ていた周りの生徒は日課であるルイズへの罵倒を放とうとしたが…魅魔がいるので止めた。
ルイズと魅魔は既に時間前に座っており、授業の準備をしていた。
魅魔は無駄な混乱をさけるため、足を生やしており、またルイズのルーンは魅魔に術式を弄って人目につかないようごねにごねて消してもらっている。
魅魔曰わく、グッときたとのこと。
そんな魅魔は初めて見る学校という名の教育システムや使い魔達に興味津々のようで、キョロキョロと周りを観察している。
更にルイズはというと、
「なんだか視線を感じるわね…」
と、視線を感じる方へ目を向ける。
「あの子は…確かタバサ?…だっけ?」
そう、視線の正体は魅魔に二度も…事故ではあるが…気絶させられたタバサであった。
耐性がついたのか、流石に気絶はしないようである。
…あ、ちょっとぷるぷるしてる。
一方魅魔は見飽きたのか椅子に座り、のんびりとしている。そんな魅魔をじーっと見ていたルイズはふと思った素朴な質問を魅魔にぶつける。
「ねぇ魅魔、」
「ん?なんだい?」
「私の世界では、一部の王族とか例外はあるけど大体の貴族はある程度の年齢になるとこういう学院に入って、勉強をするのよ…アンタの所とそういうのもあるの?」
「いや…魔法を教える為の学校ってのはなかったよ。私の扱う魔法ってのは全部独学さ。まぁ、それを私は私の弟子に教えていたりしていたけどね」
「弟子?アンタ弟子がいたの!?」
「あぁ…現在進行形でね。出来は悪いがなかなかの努力家さ」
「…もしかしなくてもアンタ頭良い?」
「私は何百年とこの世にいる。アンタもいずれはこうなるさ」
「な、何百年?アンタ一体何才なのよ…」
「むしろこないだ生まれたばかりだけどね」
「な、何よそれ…いや、言わなくて良いわ…なんだか私の中の常識が壊れてきたわ…」
「ふふふ、それで良いさ…っと、あれは先生じゃないのかい?」
「あ、本当だ…ありがと、魅魔」
「どういたしまして」
雑談していた生徒達も話を止め、先生の話に耳を傾ける。
「いきなり最初の授業に遅れてしまってすみませんね…それでは今から第1回目の授業を始めます」
先生と呼ばれる彼女は少し小太りのなかなか人当たりの良さそうなおばさんである。
魅魔はそのおばさんを見て、なぜか博麗の巫女を思い出していた。
(あの子もなかなか太っていたわね…)
「私は"赤土"のシュヴルーズ、皆さんに土系統の魔法をこれから一年間講義します」
シュヴルーズはそのまま、ニコニコしながら教室を見渡した。これから自分が教える生徒達の顔とそれに付き従う使い魔を見ているのである。
しかしシュヴルーズは生徒達と使い魔を見ていくなかで、ある一人の生徒に疑問を抱き、その生徒に質問をした。
「ミス・ヴァリエール、なかなか変わった使い魔を召喚をしたようですね?」
生徒達は皆一斉に震えあがった。
あの馬鹿…地雷踏みやがった…
自分が関係ない時にクラス全体が叱られている時のワクワク感は異常…
うはwwwレイズよろwww…
ルイズの顔は朱に染まり、生徒達はそれぞれ思い思いにヒソヒソ呟いていたが、
魅魔はいきなり口を開いた。
「いや、私使い魔じゃないよ?」
「「「「えっ?」」」」
コレにはクラス全体、驚きを隠せない。
「じゃ、じゃあ…貴方は何者なのですか?」
「いやぁ、私は通りすがりの魔法使いでして(うそ)、自分の知識を更に深める為に此処へきた次第でして(うそ)あ、モチロン学院長には許可をとってますよ(うそ)因みにこの桃色の髪の少女の使い魔はコチラになります」
…と、さっきやたらと足元で動いていたネズミを差し出した。
「ハァ…まぁ、使い魔の証が刻まれているから本物でしょうね…」
このネズミの本当の主人、学院長涙目である。
シュヴルーズはネズミの使い魔のルーンを確認すると、コホンっと咳をし、
「さて、授業に入りますねまずは一年生の頃の復習です」
「まず魔法には"火""水""土""風"が存在します。 この四元素に訴えかける力こそが私達が使う魔法であります。更にこれらは重ねて使う事が可能で、それらを少ない順から"ドット""ライン""トライアングル"、"スクウェア"と言いますね。」
異世界の魔法技術ということもあり、魅魔も熱心に聴いている。
「また、個人では"スクウェア"以上は絶対出せません。
いわゆる"ヘキサゴン"は王家の者の中でも、血の通った者同士が発動できます」
シュヴルーズは杖を取り出し、
「その中でも私は土系統の魔法は一番重要なモノと考えます。
なぜなら土系統がなければ建築や物の大量生産、難しい装飾も出来なくなるでしょう。
この様に土系統の魔法は皆さんの生活にとても密接に関係していますね。決して、私が土系統だからとかそんなんじゃ無いです。ハイ」
「今から皆さんには練金のおさらいをやってもらいます。一年の時も勉強しましたが、基本は大事ですよ」
そう言うと、懐から取り出した小さな石を机に置き、短く呪文を唱え、軽く振る。すると石が光り出だす…
…光が収まるとそこには金色に光る石が練金されていた。
キュルケ、目を輝かせながら反応。
「シュヴルーズ先生!こ、コレはまさか金ですか?」
シュヴルーズは少し照れながら、
「いやいや、コレは真鍮ですよぅ。金を練金出来るのは、スクウェアだけですよ~私はただの…」
「ト ラ イ ア ン グ ルですから」
シュヴルーズ、渾身のどや顔。
「え~と、では誰かに実践してもらいましょうか。それじゃあ…魔法使いさん、よろしくお願いします」
シュヴルーズは目のあった魅魔を指名。
魅魔は軽く考える仕草をすると、
「そうですね。この素晴らしいメイジ(うそ)の方に指名されるなら喜んでいたしましょう…(うそ)」
ルイズは内心そのキモイキャラは何時まで続くのよ!とツッコミたい気持ちで一杯だったが、我慢。
(でも…魅魔、大丈夫かしら?幻想郷からやってきたのに、この世界の技術なんて…)
教壇に向かう魅魔を見届けながら思うルイズ。
(う~ん、ノリでここまできたけど、どうなることやら…)
魅魔は軽く呪文を唱えるフリをしながらこんな事を考えていた呪文を唱えるフリをしたあと、杖の先端を石に近づけ、練金をかける…
石はしばらく光り出した後、光が収まり、ピカピカと金色に光る石が完成。
「はい、見事な真鍮ですね…ってコレはまさか!?」
シュヴルーズは目を見開きながら、ギギギと魅魔に顔を向けた。
魅魔はニヤリと笑い一言。
「ん、コレは金だよ」
コレにはクラス中大騒ぎ。シュヴルーズはハッとした後、
「こらっ!静かに!」
必死にクラス全体を落ち着かせる。
「魅魔!なんでアンタが、練金を使えるのよ…し、しかも金を…!」
帰ってきた魅魔に質問をする。
「ふふふ、相手の技をパクるのも強くなるのに必要なのさ」
「な、なによそれ…」
「因みに私の弟子はこのパクる技術がやたら上手かった」
「ハァ…もう良いわ…」
成功できた理由がパクるのが上手かったからって…
ルイズは自分の常識が段々と信じられなくなってきたのだった。
生徒達を何とか落ち着かせたシュヴルーズは次の相手を指名をしている所であった。何人の生徒の口には煩いと、粘土を生成して、詰め込まれている。
「では…ミス・ヴァリエール。お願いします」
コレには魅魔にとって好都合であった。ルイズを教育をするに辺り、ルイズの魔法というものをこの"練金"で見極めようとしたのだ。 だが何故か魅魔はクラス全体の空気が変わったのを確かに感じた。
皆の意見を代表して、若干青ざめているキュルケがシュヴルーズに意見を言った。
「もごもごもー!!」
彼女の口にも粘土が詰め込まれていた。
「ミス・ツェルプストー、貴方は何を言っているのですか?」
お前のせいだろーと内心思ったが、それも口に出せない。
キュルケ、涙目であった。
ルイズはシュヴルーズに一言
「…やります」
と、告げ教壇に向かう。
他の生徒はもうダメだと、それぞれ机の下に隠れる。タバサは一人、コソコソと教室を出る。…あ、少しぷるぷるしてる。
魅魔は周りの行動と、ルイズの身体に流れる魔法と封印から、ある程度どうなるかを予想していたが…
何も言わずルイズを見守る。
ルイズは教壇に到着すると勢いよく杖を振り上げた…
次の瞬間…
"ドン!!!"
凄まじい爆発が教室を襲った。
シュヴルーズや、ルイズ、一部の生徒はその爆風に吹き飛され、使い魔達は大暴れ。阿鼻叫喚とはこのことだろう。
しかし魅魔だけは、面白そうに、爆心地をずっと見つめているのだった…