現代ダンジョンでもRTA配信はできますか?【平和主義縛りレギュ】   作:出奥連

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ドラゴンスれないダンジョンで

 

 上層に突如現れたドラゴン。

 リベンジマッチのバッターは当然この私。

 

「さて、ドラゴンスレイヤー、フルアーマードARU子ーN出陣」

 

 ……確かに勝てるかどうかの勝率は半々だけどさあ。

 

 集めに集めて、手塩をかけて作った武器と新調した装備。

 ちゃっかりカメラの電源もオンにしてあわよくば動画素材の収録も。

 本来なら他の連中でも誘ってドラゴン退治した方が遥かに確実なのだが、それでは余りに画面映えも話題性もない訳で。

 前回こそ、武器なしで後れを取ったが今回だけはそうは行かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、無視無視」

 

 ダークドラゴンが派手に通り過ぎていったであろう上層を見て言った。

 所々えぐり取られた空間は、まさに台風が通り過ぎて行ったような状況だった。

 

 幸い、上層の構造は迷路のようになっているが中層や下層に降りる道は多くある。

 戦闘を避けながら進んでもそこまで遠回りにはなりえない。

 

 問題があるとすれば。

 

『攻略補佐AIより解説:このダンジョンでは一部の上位権限持ちのモンスターは階層間移動、つまり各階層の特定の場所に瞬間移動が可能です』

 

 それによって逃げてきたダークドラゴンと鉢合わせしてしまう事だ。

 ここから最短ルートでボス部屋まで行って二〇分強。少し遠回りしても三〇分はかからないだろう。帰り道を考えると往復は大体五〇分程か。

 

 そんな考えでAIのマップに表示された経路を辿って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!??」

 

 

 ドラゴンに追われて上層の道半ば。

 わざと狭い道を進んでみても、力ずくでゴリゴリと壁を削りながらARU子を追いかけてくる。

 ダークドラゴンは依然としてそのスピードを落とす気配はない。

 

 その姿に他のモンスターも驚いたのか、蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

 それどころか戦っていた最中の探掘者も敵であるはずのモンスターと一緒になって逃げていた。

 

 いくらダンジョンのルールで人外じみた筋力を持つとは言え、それでもかなり重量のある鎧と武器を持ったARU子はダンジョン内を悲鳴をあげながら駆ける。

 ドラゴン引き連れながらダンジョンを練り歩くなんて勿論、他の人たちにはいい迷惑ではあるが。

 

『だ、旦那!? いくら何でも出オチが過ぎるでしょう!?』

「ひぃん。いくら何でも初手で大剣折られるのは聞いてないっての!!」

 

 経緯としてはこうだ。

 接敵したARU子は想定通りに獲物である大剣で切りかかった。通常のモンスターであればこの時点で真っ二つで臓物をまき散らす勢いで倒せるのだが、それをまさかの察知したドラゴンによって反撃され、大剣の方が真っ二つに折られてしまった訳だ。

 

 当然、ARU子が持ち込んだ武器は大剣だけではない。

 だがそれでも不意打ち気味でかつ、最も自信のあった渾身の一発を軽くいなされてしまったのだから仕方がない。

 

 そもそもARU子の戦闘スタイルはどちらかと言えばタンク系の役割に重きを置いている。

 敵の注意を引いて、攻撃を耐えるタイプの戦闘スタイルだ。攻撃系にあまり役割を割いていなかった結果としてはこんなものが妥当と言えば妥当だった。

 

「何か煙幕的な何かは……」

『残念なことに逃走用のアイテムの在庫はありませんね。だって貴女、戦って生きるか死ぬかしか想定してなかったでしょう? 戦国時代の武士かってんだ』

「ちくしょう! ですよね!!」

『ほら、もっと早く逃げてくださいよ。ハリー、ハリー』

「うわ、このAI煽ってくるんだけど!」

 

 逃げるって言っても、この迷宮のように入り組んだダンジョン内部をこちらを見失わずに追いかけてくる時点であのドラゴンは相当動体視力が良いようだ。

 まあ、ドラゴンだから当然なのだろうが。

 

 要はその追っ手を撒くだなんて忍者でもなければ、とんだ難しい話だった訳だ。

 そしてARU子は重装甲タイプではある。今でこそ動きは俊敏であるが、実際は敵の攻撃を受け止めるなどのずっしりと腰を据えたスタイルがメイン。

 

「(どうする? ここから暫く行けば中層への落下口があるけど。階層間移動できるダークドラゴンに着地狩りされるだろうし……)」

 

 と、まあ考えれば考えるほど。

 

 

「あれ、詰んだなぁ」

 

 

 いや、そう考えるにはいささか早計ではあったのだが、ここで足を止めて命がけの徹底抗戦を選べるほど肝の座った人間ではなかった。

 打開策なんて思いつけばいいのだが、生憎ハードな有酸素運動の真っ最中でその余裕はない。……いや、ARU子からしてみればこの程度へでもないが。ずっと同じ空間をぐるぐると回っていたせいか、それでもやっぱり何かと精神的に考える気力がわかないのも事実だ。

 

 ――と、その時だった。

 

『ふむ、この先のルートだと中層の入り口に辿り着いてしまいますね』

 

 などと言われてしまえば選択肢は一つしかなかった。

 

 このまま単独で逃げ続けても、いずれ足は止まる。

 階層移動が可能な相手に対して、持久戦を仕掛けるほど楽観的でもない。

 

 さっきから同じ所をぐるぐると回ってみている訳だけれども、何という執念か。

 曲がり角を挟んでも、天井を越えても、あの黒い影は確実に距離を詰めてくる。

 

 だから、発想を変えてみたらどうだろう?

 

 逃げるのをやめたのだ。

 ほんのちょっとだけ頭を捻ってみる。

 

 ARU子は通路の途中で、わざと大きく進路を外れた。

 背中に装備されていた大ぶりの盾を取り外して、そのまま天井に投げつけた。

 

「どっせーい!!」

 

 盾で亀裂の入った天井部分に先ほど折れた大剣を投げつけて瓦礫を崩し、通路の半分を塞ぐ。

 同時に、腰にぶら下げてあったユーティリティから粘着系の建材補修剤をぶちまけた。

 本来は防衛拠点用の応急処置アイテムだが、盾と大剣を巻き込んだ瓦礫をその場しのぎの壁とした。

 

 流石にいきなり壁が現れればダークドラゴンとは言え、一時的に足踏みをするしかないだろう。

 完全に振り切れた感触はないが、少なくとも今この瞬間、背後の殺気はだいぶ遠のいた。

 

 モラル的に、あまり褒められた方法ではないが、あのまま状況が膠着するよりははるかにマシだろう。

 どうせ月一で入るダンジョンの内部構造の更新がそろそろあるのだ。きっと大丈夫だろう。

 

 とりあえず。

 

「さすわた」

 

 流石私と褒めた。

 

 もちろん、足を止める余裕なんてない。

 あの程度の瓦礫の壁が稼いでくれる時間はせいぜい数十秒が良いところだろう。

 ARU子は「南無三、私の大剣と盾」と名残惜しい気持ちでその場から走り出した。

 

『おや、件のジャージ姿の探掘者がこの先にいるみたいですねぇ』

 

 数回曲がった先で、視界の奥に人影が見えた。

 ジャージ姿。軽装。無駄のない走り方。

 

 ――ああ、いた。

 

 なんと都合の良い事か、とまでは口に出さなかった。

 

 そして速度を落としすぎない程度に呼吸を整え、そのまま自然な並走ラインへと滑り込んだ。

 なんとか追いついたARU子は精一杯の愛想笑いを浮かべながら男と並走したのだった。

 

「あ、どうもー、こんにちはー。えっと平和主義者さんであってます?」

「どうも? ああ、そのように呼ばれているらしいが」

 

 誰だ。と頭の中にクエスチョンを浮かべる男であったが「マー、噂話されているぐらいだし、知られていても不思議ではないか」と納得した。

 

「AI?」

『攻略補佐AIより応答:杉並探掘者データベースも含め検索します』

 

 数秒の沈黙の後。

 

『攻略補佐AIより情報共有:チャンネル登録者数三千人のダンジョン系動画投稿者、活動名「ARU子ーN」と検索結果が出ました。チャンネル登録されますか?』

 

 半透明のウィンドウには彼女のページ。

 確かに動画投稿者のようで、この手の動画については人並みしか知らないが、それなりと評価できる程度には人気だと見て取れる。

 

「あ、してしてー! お願い!」

『攻略補佐AIより応答:かしこまりました。チャンネル登録完了です』

「え、勝手に? いや、別にいいけどさ」

 

 しばらくして角を曲がった瞬間、床がわずかに震えた。

 低く、腹の底に響くような音。咆哮と呼ぶには抑えられすぎているが、まるで壁一枚を隔てた先から聞こえてくる唸り声。

 

 男はその状況に顔を顰める。あのダークドラゴン近いか、と。

 するとARU子は。

 

「そろそろかなー」

「?」

 

 並走しながら、ARU子は一度だけ背後を振り返った。

 確かにその黒い巨体の姿は見えない。でも恐らくはそろそろかなとの探掘者としての勘があった。

 

「アー、実のところ今ダークドラゴンに追いかけられてるんだけどさ」

「――は?」

 

 ズズズズズズズズズ――ガゴンッ!!!!!! と壁を破壊して隣の通路から力ずくで合流してくる黒い影が。

 粉塵と瓦礫を突き破って現れた黒い巨体は、迷いなくこちらを見据えていた。

 

「やっぱり」

「なんでぇ!?」

 

 俺まで一緒になってダークドラゴンから逃げる羽目になっている、と。

 それを言葉にする前に、男の身体が理解してその走る速度を上げていく。

 

 後ろには、どちらかと言えばトカゲのような姿勢でずんずんと追いかけてくるドラゴンが見える。

 四肢を低く構えたまま、壁や床を蹴るたびに重い振動が迷宮全体に響かせながら巨体のわりに無駄のない動きで、迷宮内の曲がり角のたびに距離が詰まっていくのがはっきりと分かった。

 

「あとで文句は言うが――」

 

 本当は今すぐ言いたいことが山ほどあったが、今言っても詮無き事。

 それに早かれ遅かれこうなっていて気がするのも事実だろう。

 

 じゃあソプラノボイスにゴリゴリの重装甲装備(本人曰く、フルアーマード)な魅惑のARU子ちゃんと一緒に逃亡劇の幕開けか。

 

「確か、ARU子ーNとか言ったか。目的地は?」

「強いて言えば君について行くこと?」

「……なに?」

「それよりも、ほら、追いつかれちゃうよー」

 

 そう言って、二人して速度を上げた、その直後の事だった。

 

『応援信号を確認。探掘者三名によるパーティが接近中ですね。丁度良かったじゃないですか』

「って、救援? マジ!?」

 

 ARU子のAIの方から報告が上がってくる。

 わざわざドラゴンに追われている奴に対して、応援信号を出しながら近づいてくる連中がいるとはなんて運の良い事か。

 それと同時に、わざわざARU子一人で潜った意味も無くなったのだが。

 

「救援?」

『攻略補佐AIより報告:#ダークドラゴン討伐隊@前衛1募集というパーティのようですね』

『あ、役割取りましたね!』

『攻略補佐AIより宣戦布告:だからどうした』

「AI同士で喧嘩すんなよ……」

 

 呆れていると見えてくるのは、中層への入り口で待ち受けていたのは三人組の男女。

 

「お取込み中しっつれーい。#ダークドラゴン討伐隊@前衛1募集、現着! 火事は何処だー!!」

「別に消防隊じゃねぇからな。てかその名前で決定なのかよ」

「後輩ちゃんの感性は独特だねぇ」

「野郎なに関心しとんねん」

「ヒャッハー、ドラゴンは焼却だー!」

「お前が燃やすんかい!」

 

 文字通り、やかまし騒がし愉快な仲間たちだった。

 ARU子としては最下層に何度か一緒に潜った事のある知り合い三人衆ではあるのだが、とにかく騒がしい集団だった。

 楽し気なのは良い事なんだけどね、とはARU子談。

 

「ARU子ちゃん、テメェ早速やってんな」

「加勢じゃ加勢じゃ!」

「じゃあ、いっちょドラゴンスレイヤーやりますか」

 

 三人が自然と前に出る。

 武器を構え、視線はドラゴンへ。

 言葉こそふざけているが、流石は場慣れしている探掘者だと素直に感心した。

 

 

 ……ARU子は一瞬だけこの状況を見た。

 

 自分は重装、武器は折れている。相方の男は元気だが、噂のスタイルが本当なら戦闘では役に立たないだろう。

 こちらを追いかけてきている相手は元気いっぱいのドラゴン。周囲の壁を削りながら猪突猛進で突っ込んできている。

 そして、目の前にはこちらも元気いっぱいの三人が騒がしく軽口を叩きあっている。

 

「(ふむ、だったら良いよね)」

 

 走りながら、さわやかな笑みを浮かべてARU子は言った。

 

「アー、じゃ、あとは全部お願いしますぅ~。いや、ほんと助かりますねー。アイシテルー。ほら、行くよ」

「え」

「ほら敵からは逃げるんでしょ?」

 

 言うが早いか、男の手を引っ張ったARU子は三人の横をすり抜けてダンジョンの奥へと駆け出した。

 

 味方を売った。

 より正確に言えば、助けに来てくれた味方にドラゴンを擦り付けた。

 

 重装備の金属音が遠ざかり、代わりに背後から怒号と何かが爆ぜる音が響く。

 

「は? ちょ、オイ、お前!!?」

「頼まれちゃったよー」

「頼まれちゃったかー」

「はいそこ、さらっと受け入れない! あんにゃろ、次会ったら覚えとけよー!!」

 

 とりあえずARU子は振り返らない。

 まあ、きっと彼女らなら何とかするでしょうって希望的観測で現実逃避した。

 

 ともすれば後程、あの三人に何か奢ればきっと許してくれるに違いない。

 過去の経験からして、二度ある事は三度あるのだ。きっと彼女らも笑って許してくれるだろうと、ARU子は都合よく思い込むことにしたのだった。

 

「あれ、良いんだろうか……?」

「ヘーキヘーキ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあとすぐに中層に入ってみれば、随分と静まり返っていた。

 上層で暴れ回っていたダークドラゴンの気配は嘘のように消え、代わりに広く開けた通路と、規則的に配置された柱が視界に広がる。

 

 杉並西迷宮ダンジョン中層は、上層よりも開けた道が立体的に交差している。

 上層よりも広い面積からなる階層だ。例えるならば上層が、自由帳に子供が書き綴った迷路だとするならば、こちらは3Dソフトで作られた上下に道が分かれる迷宮だろうか。つまりはより多くの道と空間によって作られたアリの巣に似た構造をしている。

 

「おっしゃ、逃げ切ったー」

 

 軽いガッツポーズでARU子は喜んだ。それどころかシュッシュッとシャドーボクシング。

 こうして改めて彼女を見てみると、思いのほか重装甲に似合わず軽快な身のこなしだった。

 

「さっき言った通り文句はいくらでもあるが、釈明を聞こうか?」

「まあまあ、それはこのダンジョンの事をいくらでも教えてあげるから許してよ」

 

 これはちょっと、お説教が必要かもしれない。

 

「なぜドラゴンに追いかけられてた?」

「喧嘩売って逃げた。ピンポンダッシュみたいなものよ」

 

 そんな物騒なピンポンダッシュがあってたまるかよ。

 

「そう言えば、何と呼べば良い?」

「アー」

 

 ……ちょっと困った。というのもダンジョンではハンドルネームでの交流が主な文化だ。確かに実名で交流する人もいるだろうが少数に違いない。

 そして、今までこういったハンドルネームなんて作った試しがなかった。いや正確に言えば思春期の頃、口に出すのは少しばかり憚られるような名前を考えた経験はあるが、どうにもそれを名乗る気にはなれない。

 

「あ、そうだ。そのまま平和主義者と呼んでくれて構わない」

「じゃあ長いから、和義(かずよし)ね」

「――和義ッ!?」

「そう。平和の和に主義の義で和義。我ながら良いネーミングセンスでしょ?」

「……いや、なんか普通。呼び方にこだわりなんか無いから、マーなんでも良いけども」

 

 それにどうせこの手の名前なんて、ダンジョン内で呼ばれるだけのものだ。和義と呼ばれようと平和主義者と呼ばれようと、自分を指す言葉だと理解できれば問題ない。

 ……少なくとも壊滅的なワードセンスである和義自身が決めるよりかはだいぶマシだろう。

 

「でさ和義くん……さん……」

「呼び捨てで構わない」

「あ、じゃあ私もARU子かARU子ちゃんで。それで和義的にはボス部屋目指してるんだと思うんだけど、そこんとこどう?」

「そうだが……」

 

 実際、この攻略のゴールはボス部屋の宝箱を回収して再びロビーに帰る事だ。

 単純明快なルールだと我ながら思う和義であった。

 

 とは言え、ドラゴンの乱入などでだいぶ道草を食ってしまったようだが。

 

「それを聞いてどうする?」

「んにゃあ?」

『攻略補佐AIより補足:同行者の増加はリスク要因です』

『いやいや空気読みましょうよ、ご同類』

 

 そんなリスクを考えているうちに、耳元でAI同士の不毛な言い争いが始まった。

 

『うーん、ボーイミーツガール。惜しむらくは中高生でない所ですかね』

『攻略補佐AIより反論:こちらの主人を勝手にミーツさせないでください。安物AIだと思考回路も安っぽいようですね』

『あ?』

『攻略補佐AIより対抗:あ?』

「編集ソフトの補助AIと攻略補佐AIの相性が悪いとか誰得情報よ」

 

 そんなやり取りを横目で見ながら、和義は苦笑した。

 そんな会話を傍から眺めていて思った。

 

 このまま放っておいても、どうせ勝手についてくるのではないか。そんな予感だけが、妙に確信めいていたのでさりげなく切り出した。

 

「……で、なんでついてくるんだ?」

「えー、だって面白そうじゃん。迷宮も広いし、動画映えするし。私も一緒にーって感じ?」

「パーティを組んだ記憶は無いが?」

「ンー? ……きっと、上の討伐隊怒ってるだろうな~。でも私が説明したら許してくれると思うなー? それに少なくとも上層と中層は知り尽くしてるし、なんなら最下層のボスとも対面張って戦った事ありますよん?」

 

 なるほど、何が何でもついてくるつもりね、と和義は思った。

 いやいや、それぐらいは何度もこのダンジョンに入り浸ってこちらも調べ尽くしたつもりだ。そう易々とこちらの知らない情報なんて。

 

「アー、じゃあ最下層の中ボス広間を回避して進める隠しルートの情報とかは? もしも、あのドラゴンが自分の巣に帰ってきた時知らないとさぞ大変だと私は思うなー」

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」

「まいどあり。さーて忙しくなってきたぞー」

「……はい」

 

 観念したようにうなだれるしかできなかった。

 

 とは言え、態度がどうあれ彼の内心は思いっきり顔に出ていた。というか「しゃーねーな」的なニヤケ交じりの顔だった。

 

 普段はつっけんどんな態度で他人とは関わろうとしないからそう言う機会自体が珍しいのだが、意外と和義自身は他人との攻略というものに少なからず憧れていた側面を持っていた。つまり、ちょっとだけ嬉しいのであった!

 

 

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