コックピットではアラームが鳴りっぱなしである。
「狙われているのが理解っているのに回避できない」なんていう悪夢みたいな状況がずっと続いている。
「くそ、なんでロックされ続けてるんだよ!」
一人毒づくが、状況が変わるはずもなくあっさりと撃墜判定がでる。
『これで5回目だな。一旦休憩しよう』
「わかりました」
父さんの許可をもらい量産型νガンダムを与えられた後、何か情報を得たのか、ラー・カイラムはアクシズに舵を向けた。
その間、νガンダムの調整をかねて俺の実地訓練が平行して行われていた。
「おつかれ!ハサウェイ!」
ドックに戻るとクェスが飲み物を差し出しながらねぎらってくれる。
「ありがとう、クェス」
「外から見てたけど、2人とも凄いね。あんなMS戦初めてみたよ!」
「いや、結局撃墜されているからアムロさんが凄すぎるんだよ」
シオンからアムロさんの伝説を聞いてはいたが、体験してみるとそれ以上の動きで怖すぎる。
本当に悪魔的に上手すぎる。
νガンダムの調整をしながらアムロさんが褒めてくれる。
「ハサウェイも動きがどんどん良くなっているぞ」
「そうですかね…特にファンネルが怖いんですよ。あれに意識をむけてもνガンダムがその隙を埋めてくるから逃げ場がない」
「量産型にインコムが付いてるから、ファンネルに対応出来るはずだろ?」
「戦闘しながらインコムに意識を向けるのに慣れてないので、まだ難しいですよ…」
そんなの当たり前に出来ますよ?みたいな顔されても、慣れないとあんなの難しいんですよ?
操縦しながら、脳の一部分だけをインコムに割くとか。
「νガンダムの調整が終わったらもう一度だ」
「了解です。サイコミュの調整って難しいんですか?」
「ああ。精神を増幅するなんてものだから俺以外に調整が出来ないからな」
「量産型の方にもサイコフレームが欲しいです」
「無い物ねだりするな。行くぞ」
「了解!」
そう言って、再度量産型のコックピットに潜り込む。
ディスプレイの外ではクェスが手を降っている。手を振り返しながらハッチを閉じる。
「次は撃墜前に一撃くらい与えたいけどな…。ハサウェイ!出ます!」
カタパルトのGを感じて宇宙に飛び出す。
飛び出した宇宙を改めて感じる。こんなに広い場所にいるなら「ニュータイプ」が生まれるっていうのも解る気がする。
感覚が外に広がっていく感覚は確かにあるのだから。
後ろからνガンダムがカタパルトから出てきた。
『さぁ。もう一度だ、ハサウェイ!』
「はい!」
再度、訓練が始まる。
アクシズに向かう前にようやく一発当てるのが精一杯だったが、俺は気付いていない、
相手は「史実」の歴代パイロットの中でも最強を謳われるエース中のエースパイロット。
そんな人に教わっているのだから技量が上がっていないはずがないのだ。