外から整備員の声が聞こえるが、コックピットから動けなかった。
膝を抱えながらうずくまったままだった。
『ハサウェイ!ハサウェイ!』
クェスがコックピットを叩いて俺を呼んでいる。
扉を開けると、こちらに縋ろうとしていたクェスが膝を抱えた自分を見みると、優しく俺を抱きしめてくれた。
バイザー越しに心配する声が聞こえる。
「ハサウェイ、大丈夫?つらそう…」
「ケーラさんが死んだんだ…俺ならなんとか出来るはずだったのに…」
「うん…」
俺は子供のように涙ながらにそれまでのことを話した。
クェスは俺の独白とも愚痴とも取れる言葉を聞いてくれる。
「ハサウェイはよくやってるよ…」
背中をさすりながら優しく言葉を掛けてくれる。
戦場に出て宇宙の広さに、コックピットの狭さに孤独感を感じていたのか、クェスのその優しさがとても心に染みた。
更に涙が止まらなかった。
まるで世界の中心にいるように、なんでも出来る気がしてた。
なんて子供だったのだろう。
なんて傲慢だったのだろう。
現実が俺の思い通りにいかないことなんて「元の世界」でちゃんと理解ってたはずなのに。
…「現実」をちゃんと見よう。
「史実」とかそんなの関係無くここが俺の「現実」なのだ。
ここで生きていかなければならないのだ。
「ハサウェイ・ノア」という仮面を外し、きちんと「俺」が生きていくのだ。
それを忘れるな。忘れたらまた俺の周りの誰かが居なくなってしまうのだ。
それは容認出来ない。認められない。
「今」こそが覚悟する時で、独り立ちする時なのだ。
「…ありがとう。クェス。俺、頑張るよ。なんとかするよ」
「…ハサウェイ‥」
「怖いけど、辛くなるかもしれないけど頑張るよ。だから、見てて」
「うん…わかった…」
そのまま、ブリーフィングが始まるまで、スーツ越しで感じ取れるわけ無いがクェスの暖かさに身を任せていた。
ブリーフィングが始まりアムロさんが、アクシズの断面図を元に作戦を説明している。
まずは、核ミサイルによる艦砲射撃でアクシズの破壊を目指す。
それが駄目なら、内部に入り坑道にそって爆破させ分断する。
作戦の方向は決まった。最後に父さんが締めくくる。
「すまんが、皆の命をくれ」
全員が立ち上がり、敬礼を返す。
俺も立ち上がり、慣れない敬礼を返す。
父さんと目が合った。
悲しみが一瞬見て取れたが、俺は強い意志を持ってそれを返し父さんは軽く頷いてくれた。
覚悟は決まった。後は実行するだけだ。
見せてやるよ。本当の「救世主」ってやつを。