≠ハサウェイ   作:なべを

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2.芯

検証という名の実験が始まって一年。

その時は、ネオ・ジオン残党掃討という名目のファンネル実験で月まで出かけた。

 

作戦終了後に辟易しながら、食堂で食事を取っているときに声を掛けられた。

「ここ、空いてるかな?」

 

周りを見ると、席は空いている。ここを選ぶ理由など無いのが、

「他の席は空いてますよ?」

「少し君と話したいんだよ。『ハサウェイ・ノア』君」

「…名乗りましたっけ?」

「『君』は有名だよ、いろいろな意味でね」

 

その人は、アナハイムのエンジニアをしている「マルコ・エヴァンズ」と名乗った。

白衣を着てメガネを掛けているので、さもエンジニアですとわかる風体だ。

会話は向こうから切り出してきた。

 

「量産型νガンダムは役に立ったかな?」

「…っ!?あれはあなたが手配したんですか?」

「念の為と言うやつだよ。それが役立つとは思わなかったが」

 

ということは目の前の人も「そう」なのだろう。

「この世界」には何人いるんだ?

 

「…なにが目的ですか?」

「それはこちらが問いただしたいことだ。『君』の目的を知りたい。それによって私の『これから』が決まる」

 

そう言って、真剣な眼差しでこちらを見る。彼の『これから』が決まるのは本当のことなんだろう。

なので、こちらも自分の目的をきちんと話す。自分の芯はぶれない。ぶらさない。

 

「ハッピーエンドを目指したいんですよ」

「それは誰のための「ハッピーエンド」だい?ちなみに私のハッピーエンドは、家族が幸せであることだ」

「『俺にとってのハッピーエンド』です」

「その他のハッピーエンドはどうでもいいと?」

「それ以上は僕の背中では背負えませんから」

「自分自身のは背負える、と?」

「…クェス・パラヤは生きています」

「生きているのか!?」

 

驚きが動きに出て、椅子を倒して音を立てて立ち上がった。

周りの視線が集まると、軽く咳をしてさもなんでもないように振る舞った。

 

「それは背負っていきます」

「そうか…」

 

そういうと、考え込んでしまい周りの食事の音が聞こえてくる。

彼は逡巡した後、

 

「…わかった。これからのことは「そうなる」と捉えて良いんだね?」

「『将軍』に会ったことが無いので、なんとも言えませんが、現状ではそうなります。ので『アレ』が必要です」

「では、そういう風に動こう」

「それに関してなんですが…」

 

これからのことについて、いくつか注文を付けた。

 

「…わかった。なるべく君の注文には応えよう」

「ありがとうございます。あと、わかったらでいいので、『エミール・ラーン』というネオ・ジオンのパイロットを探してくれませんか?」

「その『彼』もそうなのか?」

「はい」

「わかった。探しておこう」

 

そう言って、彼は食器を持って立ち去った。

まさか、こんなところにもいるなんて。

だけど、アナハイムに協力者がいるのなら心強い。

 

本当に、ハッピーエンドを迎えられそうで少し気分が良くなった。

 

あ、シオンにも連絡しておこう。

 

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