「今回の作戦は、粛清ではなく、身代金による資金確保が目的だ」
カボチャ頭のハイジャッカーがそう告げる。
銃の扱いから素人ぽさは感じないな。白兵戦の経験者だろう。
ハイジャックされているプレッシャーに耐えられなかったのか、婦人が金切り声をあげると銃が乱射される。
あまり、ハイジャッカーを刺激しないで欲しいものだ。
そして、大人しくなったのを確認してから、乗客を一人一人確認していく。
告げられる名前はこのシャトルに載っているのが、ほとんど閣僚だということを示している。
やはり、「史実」通りアデレードで会議が行われるようだ。
とある少女の番になった時、
「君たちはどうやってこの便の情報を手に入れたのかね?」
と、保険衛生大臣がハイジャッカーに迂闊に質問する。が、それが気に食わなかったのだろう。
銃を向けると躊躇いなく引き金を引いた。銃弾を受けた体が力なく崩れ落ちていく。
それを確認したら興味が無くなったようで、
「誰か死体を片付けてくれないか?…誰かいないのか?」
「俺がやろう」
手を挙げて名乗りあげる。
「お前は…」
「君が思っている通りの人物だよ」
「よし。おい、手伝ってやれ」
「毛布を集めてくれ」
そうして物言わぬ死体に毛布を掛けていく。
戦場には慣れているつもりだが、死体はいつ見てもいいものじゃない。
そうやって死体の対応をしていると、婦人が気が付いたのか声を挙げて死体に擦り寄ってきた。
その声は先ほど上がった金切り声と同じだったので、咄嗟に、
「静かにしたほうがいい!それ以上は…」
と、声をかけようとしたが、ハイジャッカーは婦人に銃を向けて引き金を引いた。
目の前で人が死んだショックなのか、頭でキーンと言う音が鳴り響いていく。
それは次第に言葉となっていき、現実の声として聞こえてきた。
「やっちゃいなよ!そんな偽物なんか!」
瞬間、体が動く。
カボチャ頭の持っている銃を押さえ、腰にある銃で足を撃ち無力化する。
そのまま、銃を取りキャビン前の敵を撃つ。
そして、キャビン後ろの敵も撃つ。
狙いは正確で体が自然と動いていく。思考も機械的になっている。
そのまま、コックピットへなだれ込んでいく。
途中の敵も撃ち、コックピットの敵も撃ち落とす。
そうして全てが終わり、静寂が戻ってきた。
その後、拘束をといたケネスとシオンが追いかけてきた。
「おいおい、すごいな。1人でやっちまったぜ」
「…気がついていたら走っていたんだ」
そうして、ハイジャックは制圧された。