「お前は何を考えているんだ?」
釣り針を垂らして魚が引っかかったが、その魚に今怒られている。
少し前。
「お前が「マフティー・ナビーユ・エリン」か?」
日課になりつつあるゲームセンターで、遊んでいたところ声をかけられた。
見た感じ、自分と同じくらいの年齢で西洋系の顔立ちをしている。
「そうですが、君は?」
「プレイヤー名は『グラハム・エーカー』だ」
「…本当に?」
「本当だ。少し話がしたいんだが」
「わかった。近くの喫茶店に行こう」
初めて会った人だが、悪い感じは受けなかった。
なんというか苦労する人だろうな。というのが第一印象だった。
まず、彼はシオン・ミナトと名乗り、自分の境遇を語ってくれた。
年齢は自分の一つ上。
自分と同じ「元の世界」の記憶があること。
連邦軍の事務方の親を持つ身分だということ。
そして、今その人物に怒られている。
「お前の考えも解らなくはないが、迂闊すぎるぞ」
「いやぁ、なんとかなるかなと持って」
「なんとかって、お前なぁ!」
声を荒げようとするが、周りに人が要ることを思い出したか咳をして落ち着こうとしている。
頭痛がするのか、こめかみを押さえている。
「それで、これからどう動くつもりなんだ?」
「いわゆる「史実」が動くまでは現状維持かな。動きようも無いし。そっちは?」
「どこにも情報がない人物に生まれたから、逆に動きようがない」
「そっか…。連邦側ならクェスにツテとかないの?」
「同じ連邦でも階級が違うからそもそも話せる立場にないな」
「そっちの釣り針には引っかからなかった?」
「無いな。他には釣れなかった。」
ということは、今のところ味方は一人だけ。
思っていた通り、自分以外にも「元の世界」から来た人はいた。
ということは、ジオン側にもいる可能性は想定しておいたほうがいいだろう。
ただ、「この先」では味方には頼れそうにない。頼れるルートが無いという感じだが。
やはり、「この先」は一人で立ち回る方法を考えるのが正解ぽい。
というのが、お互いに話し合えたたところで、今日は連絡先を交換して別れた。
それからは、シオンと連絡を取りながら「史実の知識」を埋めつつ今まで通りに過ごした。
ゲームのランキングで1位になることが出来たりと下準備は順調に進み
そして、時はついに来た
『シャア・アズナブルがネオ・ジオンを名乗り、スウィート・ウォーターへ進駐し…』
TVのニュースからそう聞こえてくる。
ついに始まったのだ。「逆襲のシャア」が。
会話劇思ったより難しい