≠ハサウェイ   作:なべを

30 / 39
5. 恐怖

「ギギ!襲撃だ!靴を履いて!」

部屋の扉を開けながらそう告げる。

次はこっちなんだから、早く動かないと。

 

眠たげなギギを連れて、エレベーターへ向かう。

振動が続いているが

 

「多分、大丈夫だよ」

 

と、ギギが言うので、大丈夫なのだろう。

乗り込むと、正常に動いてくれた。

箱の中は沈黙が支配している。

 

大きな振動が起こり、途中で停止するが緊急作動して一つ下の階までキチンと動いてくれた。

瓦礫が落ちてくるホテルを出て、一番近くの公園を目指してギギと一緒に走る。

 

MS同士が交戦している音が近づいてくる。

 

途中、マフティーの同士が見えた。

近くに車も見える。そっちに行けば助かるだろう。

が、

 

「見捨てるの?」

 

そう、言われ腕を掴まれる。

…やはり、この娘を見捨てる事は出来ないんだなぁ、と思い、

ジャケットを頭に被せ、同士に背を向けて再度走り出す。

 

その直後、近くをビームライフルが直撃する。

粒子が飛び散り、爆発が起きる。

その衝撃で、ギギが呆然とするが抱えながらも走る。

 

MS戦が近くで行われながら逃げるのは大変だ。

怖すぎる。

普段、コックピットにいるから下の事に気を使うことがなかったが、これは知らない人間にとっては恐怖だろうな。

 

公園の入口にたどり着くと、公園にメッサーが不時着してきた。

その後、グフカスタールも着陸してきて、メッサーにビームサーベルを突きつけて無力化している。

 

それを背に、ギギが抱きついてくる。

ビーム粒子が跳ねている光景を見ながら、

 

『花火みたいで綺麗だな…』

 

という、場違いな感想を持ちながら、ギギを抱きしめ返した。

メッサーが沈黙した後、ケッサリアが着陸し、辺りは静かになった。

 

その後、馬に乗ってシオンとケネス一行が到着した。

「大佐!」

 

ケネスを見て安心したからか、ギギが駆け寄る。

 

『俺はまだ、頼りないんだろうか?』

なんて感想が頭をよぎる。そうするとシオンが声を掛けてきた。

 

「お前は大丈夫か?」

「うん。大丈夫」

 

キィーーン。

という音を立てて、不思議な形をしたMSが降りてくる。

 

「ペーネロペーだ。レーン・エイムが仕事してくれたよ」

「ガンダムか…」

 

風が吹き寒さが身に染みて震えていると、

「寒いから中に入っていろよ」

「そうさせてもらう。…パイロットは無事かな?」

「…おそらくな。初めてのマフティーのパイロットなんだ、尋問とか、いろいろされるだろうな」

「…だよな」

 

そう言いながら、ケッサリアに向かう。

中にはギギがすでに毛布にくるまって座っていた。

こちらに気づくと、隣の席を叩いて座るように促してきた。

 

「怖かったね」

 

そう言って、コーヒーを渡してくる。それを受け取りながら、

 

「そうだね、怖かったね」

と相槌を打ちコーヒーを飲む。

 

上にいる人間には下にいる人間の事は解らない、とよく言われるが、今日、俺は下の人間の気持ちを味わったのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。