1.悪いのはどっちか
資材と機体を回収して、南下を始めた。
貨物船に偽装したヴァリアントを含め4隻の船団になる。
途中、潜水艦に監視されたりもしたが上手く躱している。
アナハイムの名前はいまだ強いということだ。それか、クワック・サルヴァーの手腕か。
「ギギって娘、どうだった?」
訓練の合間に、船の甲板で休んでいるとクェスがそう質問してきた。
「うーん。なんていうか、昔のクェスって感じ」
「どんな感じよ、それ」
「賢いけど、幼いって感じ?」
「お子様ってことか?」
エミールも話に加わってくる。
「純粋なのかもね」
「それは逆に怖いな。それはそうと、次の作戦、割と無謀じゃないか?」
「いや、どっちみち、オエンベリに集まっている連中の確認はしないといけないから」
「そうだが、こっちも戦力は割と揃ってるぜ?」
「俺達と別で動ける部隊がいるなら、作戦の幅も増えるってもんさ」
「そんなもんか」
「そんなもんさ」
そうして、オエンベリへ向かう手筈を整えていく。
構成は、俺のΞガンダムと、クェス、エミールのサイコ・ドーガ組。
そして、メッサー僚機が2隊の4隊構成だ。
ギャルセゾンが次々と発信していく。
「ジュリア、調整はまだかかるのか?」
「もう少しだから待って」
ジュリアは薄着だから目のやり場に困る。
「Tシャツくらい来てくれると助かるんだけど」
「男は良くて、女は駄目なんて価値観好きじゃないね」
そうしていると、調整が終わったのかコックピットから降りる。
『ハサウェイ、落ちるよ』
Ξガンダムが海面下に落ちていく。
宇宙とも、空とも違う暗さと圧迫感が襲い、孤独感が増す感じがする。
一定の深度まで来たところで、パージされ自由になったので船の前に出て海面から上昇してく。
そして、前のギャルセゾン組と合流して、オエンベリを目指す。
湿地帯を抜ける形で、進んでいきオエンベリを目視出来る箇所まで来たので、
「偵察!」
ギャルセゾンが周囲へ散開してく。
そうして、周囲の情報が次々と入ってくる。
それは、戦争というものを残酷だが正確に教えてくれた。
『これ、一方的だったんじゃないか…?』
『数百から千くらいってところか…』
その凄惨な光景に言葉を失っていると、ミサイル・アラートが鳴る
「キンバレーの部隊か!」
少数ながらこちらを攻撃してくる。
ミサイルを撃ち落とし、後を後続のギャルセゾンにまかせて、オエンベリへと滑り込むと、戦場から離れる機体を目にした。
逃げるつもりだろう、その機体を撃ち落としケッサリアを足蹴にして動きを止める。
『抵抗するならコックピットを撃ち抜くぞ』
そう、スピーカーで言うと将校らしき人たちが降りてきた。
あっさりと、オエンベリでの戦闘は終わったのだった。
連中が指揮所としていたショッピングモールに入り込むと、嫌な匂いがした。
肉が腐った匂い。死臭だ。バイザーを下ろしたかったが長である俺が弱腰なのはいけない。
「どうやら、このフロアで監禁していたようです。…ほとんど死んでいますが」
「生きている者もいるのか…。つらいな。…捕虜をこのフロアにつれてきてくれ」
「…わかりました」
そうして、捕虜となったキンバレーを我々の前に並ばせた。代表して俺が口火を切る。
「キンバレー・ヘイマン、どうしてこうなった?これはやり過ぎではないか?」
「連中だって、俺達の仲間を八つ裂きにしたんだ!これは報復だ!」
ハーラ・モーリーが吐き捨てるように言う。
「ださ。子供の喧嘩かよ」
それには、答えられないようだった。
「ださ」
そいうと、ハーラは離れていった。
ハーラの言葉が、その場における正しい言葉だった。