再び「壁」を超えアデレードへ向かう。
目標は、街中にある小さなコンベンション・センターだ。
センターが近づくにつれて、詳細がスクリーン移りにMSが見える。もう会議を隠す気が無いようだ。
グスタフカールとペーネロペーの姿も見える。
が、MSの数が少ないので向こうも戦力はそれほど残っていないようだ。
「新型機は俺が受け持つ。2人は周りのMSとセンターの破壊を」
『『了解!』』
そうして、スロットルを倒し、ペーネロペーに肉薄していく。
ペーネロペーが先頭を切るこちらに気付いたのか、上昇していくので、それを追う形でこちらも上昇する。
先を行くペーネロペーの動きが、前と違う。
前のパイロットにあった、粗さがなくなり熟練感が見て取れる。
…なんか、相手の動きを知っているような気がする。
ドックファイトで後ろを取りながら、相手の隙を見つけようとするが、その隙がなかなか見つからない。
思い切ってビームサーベルで応酬する間合いまで近づいた。
ふれあい回線で相手パイロットの野性的な声が聞こえてくる。
『マフティー!やっと会えたなぁ!』
「…っ!その声、ケネスか!?」
『そうだよ、ハサウェイ!』
バレてる。
しかも、ペーネロペーのパイロットがケネスだなんて想定外だ。
「どうしてパイロットしてるんだよ!指揮官じゃなかったのか!?」
『こっちのプランを全部潰しておいてよく言える!』
「それでも出る必要はないだろ!」
『いいや、指揮官としてのプライドはズタズタだが、パイロットとしての、男としてのプライドは未だある!お前と戦ってみたかったんだ!』
「戦っても意味ないだろ!」
『いいや、意味はあるね!俺とお前、オスとしてどっちが上なのかが解る!』
「ギギに選ばれなかったことを根に持って!」
『ああ、それもあったな!』
そう言い合いながらも、斬り合いは続いている。
ケネスのパイロットとしての腕は、レーンより巧みだった。
どこかで、上手に出ないとこちらが落とされそうだ。
離れたところでドックファイトを再開する。
「アレ」やるか。
上手く誘導して、後ろをあえて取らせる。
後ろからビームライフルを撃ってくるタイミングで、こちらのライフルをダミーとして爆破の偽装をおこなった。
そうして出来た隙にファンネル・ミサイルをペーネロペーに全弾放つ。
爆破が目眩ましになったようで、いくつかのミサイルが当たり爆発が連続で起こっていく。
そう爆発を起こしながら、ビルに突っ込み瓦礫に埋もれていく、ペーネロペー。
そのペーネロペーに最後の一撃を加えるために加速しようとした時、
『『だめ!!』』
ギギとクェス、2人の少女の声が頭に響いた瞬間、体が反射的に動き、加速や慣性を無視して垂直に曲がろうとする。
体に凄まじいGがかかり、意識が途切れそうになるがそんなものを無視して上に向かう。
直後、進行方向の前方にビームバリアが展開された。
あのまま、突っ込んでいたら、ビームバリアに引っかかって撃墜されていただろう。
飛びそうな意識を動かして、ペーネロペーにビームを撃つ。
直撃したペーネロペーは瓦礫から動かせないようだった。
ペーネロペーを沈黙させた後、荒い息をそのままに、2人に進捗を確認する。
「2人ともどう?」
『こっちは成功だ!そっちは?』
「こっちも終わったから撤退だ!」
『『了解!』」
俺達は再度、アデレードから脱していく。今度こそ作戦終了の離脱だ。
これが、マフティーが起こした最大の事件「アデレードの惨劇」であり、シャアの反乱以降、連邦政府が最大の打撃を負った事件なのである。
これで(下)は終わりです