1.エピローグ
「アデレードの惨劇」と呼ばれた事件の後、俺達は一旦の休息を得ることにした。
流石に強引な作戦だったので皆、疲弊していたし、組織としても補給が必要だったからだ。
俺は、クェスとギギを伴ってメナドに来ていた。
植物監査官としての仕事を再開するためだ。
「ギギは、ニューホンコンに帰らないでいいの?」
「もう戻れないよ。伯爵には悪いけど」
「そっか」
「もう、ハサウェイと離れられないね」
「贅沢は勘弁してね」
そういうと、ギギは可愛く笑った。
とある夜、エミールが意外な人物たちを連れて遊びに来た。
シオンとケネスだ。
「あれ、2人とも軍で忙しくしてるんじゃないの?」
「軍には辞表出してきたよ。しかも、あっさり承認された」
ケネスが、肩を組みながら絡んでくる。
「こんな辺鄙なところで、美女2人と暮らしてるなんて羨ましすぎるぜ」
「そんな嫌味な言い方しなくても」
「俺にはそれを言う権利があるね」
そんな軽口を叩く。
夕食は、皆で食べた。クェスは料理が上手だから腕を振るってくれたが、シオンが余計なことを言った。
「人は見かけによらないと言うが、意外な特技があるもんだな」
「なによ、文句あるの?」
「いやいや、褒めてるんだよ」
なんて、他愛もないことを話しながら夕食は進んだ。
夕食が終わり、皆で軽くお酒を飲みながら雑談に花咲かせている。
俺は、一人バルコニーからその光景を見ている。
ケネスとエミールがパイロット同士だからか、どちらの腕が上か言い争っている。
それを、シオンが審判役となって囃し立てている。
クェスとギギが、やれやれって呆れ顔でも笑いながら聞いている。
その光景を目を細めながら見ていると、ギギがこちらに向かってきた。
「酔ったの?」
「いいや、風に当たっていただけさ」
そういうと、南国の湿った風が通り抜けていく。
「…ギギ、完璧な独立政権の樹立は出来なかったけど、ここに小さな自分の国は作れたよ」
「そうね…確かに、あなたは神では無く、王になったわね」
「ああ、この光景こそが、俺が求めた小さなハッピーエンドだよ」
小さな国だがここには今、確かに平和があった。
ほんの小さな、どこにでもあるであろう、ハッピーエンド。
このために、戦争をしなければならなかった。
それは悲しいことだけど、それを忘れるつもりもない。
これからも、俺は小さなハッピーエンドを求めながら「戦って」いくんだろうな。
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とある歴史家は語る。
マフティーと名乗る組織は沢山あり、マフティー・エリンを名乗る人物も複数いた。
だが、「マフティー・ナビーユ・エリン」、正当なる預言者の王と名乗ったのは、一人だけではないのだろうか、と。
お話は以上となります。
拙作ながら最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。