『次の便は機体チェックのため遅れております…』
センターでは出立できないアナウンスが鳴り響いている。
シャアがフィフス・ルナを地球に落とすと報道されてから、
母さんと妹と一緒にスペース・シャトルのセンターへ向かった。
家を出る前に父さんが手配してくれたから、宇宙に出られるはずだった。
が、やはりというか途中でアデナウアー・パラヤが横入りしてきた。
ということは、居るのだ。
「クェス・パラヤ」が。
初めて見た感想は
『思ったより幼く見えるもんだな…』
そんな感想を持ちながら、後妻と言い争ってるところをどこか冷静な頭で見ている。
アムロやシャアのように感じ合うものがあるかもしれない。と思ったがそれもない。
「史実」の人物と初めて会ったのだからもっと感動があるかと思ったがそれもない。
何も感じないということは自分は「ニュータイプ」ではないのだろうか?
それとも、枯れているのか?
それに地味にショックを受けている。
少なくとも心は中学二年生くらいの若さのつもりなんだけどなぁ。
そうこうしているうちに、話がついたのか
「ハサウェイ、あなたが乗りなさい」
「母さんとチェーミンはどうするの?」
「次の便で乗るわ。あなたももう宇宙を体験したほうがいいから」
「わかった。先にいってるね」
「向こうではお父さんの言うことを聞くのよ」
頷き、出国カウンターの先に進む。
こちらの会話が終わる前に、向こうの話が終わったのか後妻はどこかに行き、
クェスはアデナウアーと先にシャトルに向かっているところだった。
その後を追うように自分もシャトルに乗り込む。
窓際に座ったクェスがこちらをチラリと見るだけでまた外に視線を戻した。
こちらには興味が無いようだ。
座席に座りながらぼんやりと、これからのことを考える。
一番の問題はどうやってロンド・ベルに居続けるかだなぁ。
これがクリアされないと話にならない。
やっぱり「史実」通りに強引にでも乗るのが正しいのかなぁ。
そんなことを考えながらもシャトルは、二段階ブースターをふかしぐんぐん高度を上げていく。
そして、その瞬間は唐突に、しかし確実なタイミングで訪れ、初めて「感じる」ことが出来た。
「「もっと右によって!」」
少年と少女の声が共鳴する。
そこでようやくクェスはハサウェイを、ハサウェイはクェスを「感じた」。
隕石が降り注ぐ中で、2人の「ニュータイプ」は互いを初めて感じあった。
この共鳴が、「史実」とズレていくきっかけになるとはハサウェイは後になって気づくことになる。
ハサウェイ目線だと一気に話が進んでしまうから間を埋めるのが難しい