機動戦士ガンダム“ResiStars”   作:Le-na

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※あらすじからお分かり頂けるかもしれませんが、本作品は二次創作ではありますがストーリーや設定は完全に独自のものであり、公式作品との繋がりは一切ありません。また一部用語などに公式作品と同一の物もございますが、これらも関係性はありません。あくまで同名の別存在としてお考え頂けると幸いです。


第一話「オリジナルのガンダム」

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「やめろ!やめてくれ!」

男の叫び声を無視して、1つ目の巨人が船上の建物の屋根を引き剥がす。

「兄ちゃん、大したもんないぜ!」

「バカ言うな。こういうのはな、もっと深くにあるんだよ!」

「なるほど!賢いぜ兄ちゃん!」

軍用機とは異なる、明るいグリーンに塗装されたザクがさらに建物を荒らす。

「頼む!やめてくれ!」

建物の持ち主である男が泣きながら叫ぶ。

「ピーピーうるせぇぞ!!殺されたいか!あぁ!?」

「ヒィィィィ!!」

イエローに塗られたザクに銃口を向けられ、男が腰を抜かして失禁する。

「MSを持ってねぇアローンズなんてたんまり資源を抱え込んでるだろうさ。ちょっとぐらい分けてもらったってバチは当たらねぇ!なぁ兄弟!!」

「でも本……にすっから……ん……ぜ兄ちゃん。こいつ貧……アロ……ン……だ……」

「……ッ!」

黄色のザクがグリーンのザクの肩に触れ、接触回線で話しかける。

「兄弟!ミノフスキー粒子だ!サイコミュ通信に切り替えろ!……テメェ、何しやがった!?」

男は震えながら首を振る。

遙か向こうから迫るMSをカメラが捉える。

「こちらは北極大陸国家“ジオン”治安維持部隊国外課である。“風雷兄弟”、諸君らを拘束する。速やかに投降せよ。抵抗する場合、生命の安全は保証しない。」

軍用ザクが荒くれ者のザク達のサイコミュ通信に割り込む。

「ジオンだと!?なんでアローンズ同士のやり取りに介入しやがる!」

「速やかに投降せよ。抵抗する場合、生命の安全は保証しない。」

「クソが!兄ちゃんの質問に答えろ!!」

そう叫び、グリーンのザクが二丁のバズーカを構える。

「警告は、した。」

ザクのビームライフルが正確に頭部を射撃するが、赤熱化したその角に防がれる。

「馬鹿が!ヒートホーンだ!ビームライフルは効かねぇ!!」

「兄弟!後ろだ!!」

「え?」

後ろから迫るもう一機のザクのビームサーベルが、“弟”のザクの首を撥ねる。首の無くなったザクが膝を着いて機能停止する。

「馬鹿弟がッ!」

イエローのザクがライフルを構えて飛び上がろうとして固まる。

「嘘だろ……なんで……」

ツインアイとV字の角。白い機体色に頭部バルカン。

この世界でその機体を知らぬ者など居ないだろう。

「なんで“オリジナルのガンダム”がこんなところに居やがる!?」

 

 

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「状況終了。レイ、新兵器はどうだった?」

「二度とこんなモノ使わせないで欲しい。」

鎖付き棘鉄球を抱えたMS……ガンダムのパイロットの少女が答える。

「ハッハッハッ。帰ったらしっかり言ってやんな。サム、“カゼジン”を頼む。俺は“イカヅチジン”を連れて帰る。」

「了解。」

頭部が無くなったザクの胴体にサイコトリモチを貼り付ける。

「ジオンには関係ないだろ!何しやがるんだよ!」

“イカヅチジン”の男が騒ぐ。

「サム、説明してやれ。」

「確かに我々は無関係です。ですがここはジオンの活動範囲内でもあります。あまり身勝手な事をされては、この海域の治安低下に繋がる。ジオンという組織の安定運営の為に、それは困るという訳です。ご理解いただけましたか?」

「てめえの家の前で悪ガキがイタズラしてたら嫌だろ?そういうこった。」

ザクのモノアイがガタガタと震える男を捉える。

「隊長。彼はどうしますか?」

「ジオンの協力者でも無いアローンズを助けてやる義理は無い。気持ちは分かるが、キリが無いぞ。」

「分かっています。」

サム機が“カセジン”を持ち上げ──────────サーベルを抜く。

「おいサム!?」

「運搬に支障が出るため、対象MSの手足を“投棄”します。」

サーベルに切り落とされたザクの両腕と下半身が甲板に落ちる。

「お人好し。」

「……うっさい。」

2人の若者のやり取りを見てジャックが笑い始める。

「ダッハッハッ!確かに!俺たちの任務は“風雷兄弟”の拘束、もしくは抹殺だもんな!」

 

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「で、2機のザクをダルマにして持って帰ってきたという訳だ。」

「お言葉ですが議員、ザクとザクⅡですぜ。まぁ非公式の改造キットかもしれんですが。」

ジャックの返答に目の前の初老の男がうんざりした顔で「細かい事はどうでもいい」と答える。

「通信ログは確認させてもらった。サミュエル少尉、私というひとりの人としては君の行動を責めはせん。だがジオンという国家を預かる“七星会議”のメンバーのひとりとしては、君の今回の行動は批難せねばならん。」

議員の目が真っ直ぐのサムを見たあと、少し表情がやわらぐ。

「……しかし、パーツの投棄を禁じる指示は出していないし、サイコミュの回収も行われている。よって、今回の件は厳重注意に収めて不問とする。」

「良かったなぁサム。」

「ジャック大尉、君は別だ。今回の件における君の言動と行動は現場指揮官としての評価を下げざるを得ない。後ほど始末書を提出するように。」

「そんなぁ。」

「MSパーツの投棄は敵対組織の強化になりかねないことは“一年戦争”の生き残りである君は十分理解しているはずだろう大尉。それを止めぬどころか一緒になってザクをダルマにするとは何事か。君の技量を鑑みて、その程度の処分で済ませているのだ。クビでないだけ有難いと思え。」

さて、と言いながら議員が再びサムを見る。

「問題行動もあったとはいえ、今回も見事な手際であった。あの風雷兄弟を倒したというのは十分評価に値するだろう。」

「ですが、議員。あれは私一人の力ではありません。隊長とレイが居たからこそ……」

「おいおい、俺は最初の一発を撃っただけだぜ。レイも今回は“ガンダムハンマー”とやらに振り回されてたしな。……では議員、“アレ”は彼のものでよろしいですな?」

 

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「ガンダム・エルグオッグ!」

格納庫にサムの声が響く。

「腐っても俺はMS隊の隊長だからな。以前から話自体は知ってたんだ、実は。」

ジャックがメカニックに端末を手渡す。

「“ゲルググ”の調整をした事は?」

「初めてッスね。あ、でもアクトザクは触った事あるッスよ!」

「なら大丈夫だな。サムと上手く連携して調整してやってくれ。」

「了解ッス!サミュエル中尉〜色どうするッスか〜?」

「色?」

「エース機と言えば“パーソナルカラー”ッスよ!」

「いや、このままで……」

「そうはいかないッスよ!」

メカニックがサムを遮る。レオナめ、ゲルググを弄れるとなってハイになってやがる。

「僕、パーソナルカラーとか無いし。」

「そうはいかねぇぞ、サム。」

「大尉!?」

「エース機のパーソナルカラーは単なる趣味じゃないぞ。部隊の士気向上や敵組織への威圧、必要なら“囮”を引き受けるため……まだまだ他にもあるぞ?」

「そんな急に言われても……」

「じゃあ“赤”で。」

「レイ!?いや、お前いつの間に来たんだ。ドクターのとこに行ったんじゃないのか。」

「定期検診にそんなかかんないよ。」

というかなんでわざわざそんな目立つ色なんだ。

「赤か。そいつは良いな。」

「大尉!?」

「いいでしょ赤。私のガンダムと並んだら白と赤で縁起が良いし。」

「縁起……いいんスか?それ?」

「さぁ?なんとなく。」

レイにしては珍しくいい加減な理由だ。

「じゃあ赤で決まりだな。良いなサム?」

もう好きにしてくれ。

「……レオナ、ちょっと暗めの赤にしといてくれ。流石に僕には派手すぎる。」

メカニックに小声で頼むが、彼女のサムズアップを見て余計に不安になる。大丈夫だろうか……。

「しかし俺の隊にもとうとうゲルググ乗りかぁ。」

「大尉より先に僕が受け取ってしまっても良いのでしょうか。」

上官より先にゲルググを受領する。というのは珍しくはないが、まさか自分もそのケースに入るとは思わなかった。

「あー……。実は話はあったんだがな。断っちまった。」

「ええっ?」

「機種転換シミュレータを使ったんだが、どうにも合わなくてな。あのマグネティックコート関節のクセがどうにも肌に合わん。」

「“関節滑り”、ですか?」

「ああ。」

機体関節の感覚が合わない……良く聞く例だ。特にベテランパイロットほどこの意見を唱える。上官より先にゲルググを受領するのが珍しくはないというのはこのためだ。

ジャック大尉は一年戦争の生き残り……ザク1から干渉型モータードライブ関節に慣れている。だから“関節滑り”を訴えたとしても不思議では無い。

「MSの操縦技術は感覚8、知識2。」なんて言われる事もある。合わない新型高性能機に乗るより慣れた旧型機を選ぶのは当然とも言える。

「ま、ワガママ聞いてもらってジェネレーターだけ移植して貰ったよ。」

 

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「カンパーイ!!」

料理が並べられたテーブルを囲んでパイロットやメカニック達がはしゃいでいる。

「まさかわざわざ受領祝いをして頂けるなんて……」

“本日の主役!!”と書かれたタスキを掛けられたサムは何処か落ち着かないようにも見える。

「いいんだよいいんだよ!」

ジャックが笑いながらグラスを空にする。

「それに……」

はしゃぐ“兵士”達をジャックが見る。

「こんなご時世だ。少しでも楽しみを増やさないとな。」

「しゃむえりゅしょうい〜〜〜!にょんでましゅかあ〜〜?」

「うわっ、酒くs……モゴモゴ……」

流石に女性に臭いは失礼か。サムが言いかけて口ごもる。

「飲みすぎじゃないか?」

「しちゅれいな!まだゃまだゃのめみゃ」

言いかけながらバタリと倒れ、床でイビキをかき始めるレオナにジャックが頭を抱える。

「言わんこっちゃない……サム、レオナを頼む。そろそろ“アレ”を用意してくる。」

キッチンに入っていくジャックを見ながら、「よっ!待ってました!」の声がテーブルから上がる。

「いっつも酔いつぶれて食べ損ねてるな、アンタは……。」

レオナをロングソファに寝かせて、自身のジャケットを被せる。

「しゃむえりゅしょうい〜〜。おしゃけ〜……。」

寝言でも酒を要求するとは恐れ入った。

「僕はもう中尉だよ。」

キッチンから良い香りが漂ってくる。

「サム。」

「うおっ!びっくりしたァ!」

いつの間にかレイが後ろに立っていた。

「昇進おめでとう。」

「おかげさまでだよ。ありがとう。」

レイの手元の缶ジュースにグラスをぶつける。

「またドクターストップ?」

「“まだ”ドクターストップ。」

ドクターが言うには、レイは他の者に比べてアルコールの分解能力が低いらしい。身体の成長に合わせて向上してはいるらしいが、それでもやはり不足気味なようだ。

彼女は“特別”だ。俺たちとは異なる事も多い。

アルコールの分解能力をはじめとした、身体能力の低さ、唯一“ガンダム”を動かせるその力、なによりその出自。

普段こうしている分には何も違わないのだが、ふとした時に彼女は自分たちとは違うのだと思い出させる。それで何かあるわけでもないのだが。

「何か新しく分かったことは?」

レイが首を横に振る。

「そうか。」

レイとガンダム、どちらも“旧文明”に何かしらの繋がりがあるというのがジオンの推測であり......そして恐らくそれは正しいだろう。

旧文明のものと推測される物品のほとんどが強大な力を持ち、その中でキューブに次ぐ規模のオブジェクト、“ガンダム”。

旧文明オブジェクトの保有数で勝る連邦に対してジオンが大きなアドバンテージを得られている理由であり、同時に一年戦争でジオンが事実上の勝利を収めた理由でもある。

それぞれが持つオブジェクトを共有すれば旧文明について、レイについて、今より少しは分かるかもしれないが──────────やはり、そう簡単な話ではないようだ。

もっとも、最大級のオブジェクトである“キューブ”は「シーカー」達の手元にある。アレが何か分からないうえ、奴らの正体も目的も分からない。

下っ端の軍人にどうこうできる話でもないが......

「サム?」

「ああ、ごめん。少し考え事を」

悪い癖が出てしまった。

「出来たぞ〜!まずは今日の主役からだ!サム、悪いがこっちまで取りに来てくれ。」

オムレツがナイフで開かれ、チキンライスがトロトロの卵に覆われる。周囲から歓声があがる。

「サム、昇進おめでとう。」

「ありがとうございます。」

オムライスを受け取り、席に戻る。

「さーて、お前らは順番に並べよ!」

 

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「悪いな、片付けまで手伝わせてしまって。」

皿を棚に戻し終わったサムにジャックがコーヒーを差し出す。さっきまでのお祭り騒ぎが嘘のように食堂は静まり帰っている。

「アイツらも見習って欲しいもんだ、全く。」

酔っ払いどもは引っ込んでろと追い払ったのは彼自身なのだが。

確か棚に……あった。チョコレートを取り出し、皿に乗せてテーブルに置く。

「おっ、いいね。」

ジャックが座った席の向かいにサムも腰掛ける。

「隊長1つお願い事が。」

「おう、なんだ?」

「教えてくれませんか?一年戦争の事を。」

マグカップを持つジャックの手が止まる。

「……“施設”で教わっただろ?それ以上はねぇよ。」

「ですがそれは“ジオン視点”での話です。僕が知りたいのは“ジャック・ノードの視点”での話。……大尉は“グラウンド・ゼロ”でガンダムを回収したと聞いています。」

「聞いて、どうする?」

珍しくジャックが真面目な顔をする。かの大戦を生き残った戦士の目に圧倒されそうになる。

「わかりません。ただ……知りたいんです。グラウンド・ゼロ、“キューブ”、レイとガンダム。今後彼女の監察官を続ける上で、知らない事はできるだけ減らしておきたいんです。」

ジャックが胸ポケットから煙草を取り出し、こちらを見る。

「どうぞ。」

煙草に火が灯る。

「......ふぅ。グラウンド・ゼロとその関連事項は機密情報の塊だ。俺の立場で話せる事には限りがある。それでもいいな?」

「もちろんです。」

ジャックが煙を吐き出す。

「そうだな。どこから話そうか......。」

 

 




つづく
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