淫魔男とでかぱい魔術師による楽しいダンジョン造り   作:ぜぜ

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幕間 リーナ

 私、リーナ・レオン・アルバトリア……いや、純潔を失い、まして淫魔と交わり、さらに呪いで命を握られた今の私にこの家名を背負う資格があるかは分からない。

 

 改めて、私ことただのリーナは、先日生まれた尾が小さな蛇のひよこを指でじゃらしつつ困惑していた。

 

 王宮で目覚め、いつものように学びごとや魔術の研究、そして楽しくもない婚約者の接待の一日が始まると思っていたら、突然現れた魔族に手も足も出ず敗北し、次に目が覚めたと思えば強烈な快感と自分を射抜くような黄金色の瞳に目を奪われ、そしてやっと整理がつく頃にはどうしようもない状況に陥っていた。

 

 魔族と交わらねば自由を奪われる呪い。女性ならば誰しも絶望するようなものだが、不思議と私の心は今を楽しめるような余裕を有していた。

 

 それは魔王が誕生するかもしれない危機感に奮い立たされているというより、毒気が抜かれている、という感覚に近い。

 

 オロという淫魔と人間の間に生まれた半魔は、社会一般に共有されている魔族像からはかけ離れた存在だ。人間社会の中で育ったからかも、お母上の教育が良かったのかもしれないが、どうにも人としての生活を好んでいる様子がある。

 

 ニックという友人と飲み明かして来たり(ニック経由で色んな人に私が恋人だと認知されていることを謝られた)、大道芸を見物しようと誘って来たり、荒くれた冒険者がいるとやや気おされている様子を見せたりと、吸魔の力と私の教えで力を付けているにも関わらず、普通の青年のような人物だと言える。

 

 それにニックとダンジョンについて話している時も、市民が時折交えている儲け話のように話していたし、極めつけは「冒険者の身ぐるみ剥いで放り出す」だ。明らかに命を取らないことが前提の物言いで、あとで確かめれば「街に人がいなくなったら困るだろ」だ。

 

 明らかに、人と対立する魔の側とは思えない発言だ。

 

 こうなってくると、私としても積極的に妨害する気が失せる。いや、裏帳簿やら不正やらは気になるが、王宮ですら裏の金はある。目くじらを立てても仕方がない。

 

 問題はヒロという魔族だ。

 

 私を自身の目的の為に打倒してオロに隷属させたり、人を苦しめるためにダンジョンを作らせる物言い。かの魔人は明らかに人と対立する側にいる。

 

 オロの作ろうとしているダンジョンは、人に利し、かつ自分が満足できるように作っているように見える。それに彼には裏が無い。

 

 あれを見て、あの魔人はどう出るのだろうか。

 

 妨害か、阻止か……それとも切られるか。肯定はされまいと予想できるが、オロは「でもダンジョンって魔族によって味が出るし」と呑気なものだ。

 

 仮にヒロが彼のダンジョンづくりに待ったをかけたり、彼を殺めるとなれば……。

 

 ──私はとても、苦しい感覚にとらわれるだろう。

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