塩の魔神のしょっぱい備忘録   作:放仮ごdz

11 / 90
どうも、放仮ごです。煙の魔神を考えて思ったけど、「蟲の魔神」とか生物系はありなんかなと。オロバシが「蛇の魔神」と言われてるみたいなので今作ではそうしたけど厳密には違うみたいだし。自然由来でなおかつ自我とか意思がないものなのかな、と思えば完全人造物な竈の魔神とかもいますし。どういう基準なんだろうかと。モチーフの七十二柱の魔神には烏とかいるけど、原神に烏は確かいないし(多分)。でもオニカブトムシとか蜘蛛は原神にいるから蟲はありなのかな……と。答えがわかる人いるなら教えて欲しいマジで。

まあそんな話は置いておいて。そろそろヘウリアにわからせましょうの回。楽しんでいただけたら幸いです。


前世の縁日とかで見た光景

 翌日早朝。事件性のある悲鳴が轟いた絶雲の間に、何事かと一瞬で縄張りである三方の山から駆け付ける理水畳山真君、留雲借風真君、削月築陽真君。野暮用で璃月を離れている岩王帝君(モラクス)からヘウリアの警護を任されている三人の仙人は、現在降魔大聖が後始末をしている昨夜の璃月港襲撃があったこともあって、最悪の事態も想定していた。

 

 

「どうした甘雨!ヘウリアに何か……」

 

「し、師匠……ヘウリア様の腕が、腕がぁ……」

 

「どうしたというのだ……ぬう!?」

 

「これは面妖な……」

 

 

 涙目でへたり込んだ甘雨が指さす先には、スースーと寝息を立てて毛布に包まっている白亜の姿。しかしその服装は留雲借風真君……閑雲が昔勧めた甘雨のものとよく似たもので、しかもボロボロで。それまでならまあいい。気持ちよさそうに寝ているヘウリアだったが、その右腕に抱き枕の様に抱えられているのは、何故か外れている上に明らかに曲がっちゃいけない方向に折れ曲がった左腕だった。寝起きにこれを見たらそりゃ事件性のある悲鳴を上げるのも納得である。

 

 

「おい、起きろヘウリア!」

 

 

 鶴の様な姿から閑雲……人としての姿になり、駆け寄ってぺしぺしと頬を叩くと、ヘウリアが寝ぼけ眼で目を覚ます。

 

 

「あれ、閑雲……それに朔月、理水まで……どうしました?」

 

 

 左腕を抱えたまま右手で寝ぼけ眼を擦るヘウリアに、甘雨があわわわと恐怖と心配と安堵でプルプル震え、閑雲はため息をついてヘウリアから左腕をぶんどった。

 

 

「どうしました?ではない!これはなんだ!?昨夜別れるまではくっついていたはずだ!ヘウリア!」

 

「よく見れば傷だらけではないか。帝君が作った神体(からだ)が何をすれば傷ができるというのだ!」

 

「まさかお前、昨晩の璃月港襲撃に単身飛び込んだのではあるまいな……?」

 

「えー……あー…………」

 

 

 ようやく意識がはっきりしてきたのか、だらだらと冷や汗を流し始めるヘウリア。次の瞬間、脱兎のごとく仙人たちの間を抜けて逃走を図るも、首から下が氷漬けにされて拘束される。静かに自らの神の目を手にした甘雨が、影が差した笑顔で迫る。

 

 

「ヘウリア様?」

 

「な、なんでしょう甘雨。この拘束を解いてもらえると……」

 

「お話、しましょうか」

 

「はい……」

 

 

 塩の魔神、御用改めである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 首から下を氷漬けにされたまま、仙人三人と半仙に尋問されていた。あの、朝早いから本当に寒いんですが。反省してください?はい。だめですかそうですか。

 

 

「璃月七星がお前の聖遺物を持っているから、賊に狙われると予想して阻止に向かったと」

 

「はい」

 

「敵の首魁が蛇の魔神の偽物を持ち出してきて、腕もへし折れてしまったと」

 

「そうです」

 

「首魁を倒してこっそり帰還したはいいものの、なにをどうしても腕がくっつかず、考えているうちに疲労もあって寝てしまったと」

 

「多分そうです」

 

「ヘウリア様。大変恐縮なのですが……もしかして、馬鹿なんですか?」

 

「返す言葉もございません」

 

 

 しょうがないじゃん原作開始前のドットーレぐらいならなんとかなると思ってたのに、まさかオロバシの偽物作ってるとは思わなかったんだもの。むしろ魔神とのタイマンで腕一本ですんだだけ褒めてほしいんだけど。え?背中もだいぶグシャグシャ?言わなきゃバレないからセーフ。

 

 

「本気で、本当に、心配したんですから……!」

 

「あの、モラクスには黙っておいてもらえると……」

 

「「「論外だ」」」

 

「ヘウリア様なんか、岩喰いの刑に処されればいいんですっ!」

 

「それは勘弁してほしいな……」

 

 

 甘雨に泣きながら言われたらさすがに罪悪感あるからやめて欲しい。とか思ってたら、洞窟の入り口前で凍り付いている私に差す影。

 

 

「雷電と話をつけに少し留守にしていたらこれか、ヘウリア」

 

 

嫌な予感がして油が切れたブリキ人形みたいにギギギギとできるだけ見ない様に視線を上に向ける。目を金色に輝かせて腕を組んで浮かぶ巨岩の上に仁王立ちしている白いフードを被った魔神モードのモラクスがいた。あ、やばい。本気でキレてる。巨岩から飛び降りてきたモラクスは私の首根っこを掴んで氷を簡単に砕くと私を持ち上げる。

 

 

「くるしっ、ぎぶ、ぎぶぎぶ、モラクス!ぎぶぎぶ……」

 

「雷電に受けた傷もまだ完治してなかっただろう!俺は、絶対安静だと、そう言っていたはずだぞ!」

 

「そう言われたから安静に戦いましたッ!」

 

「安静に戦って腕を折る馬鹿があるか!安静に戦うってなんだ!」

 

「きゃらほぉかぁいぃ……」

 

 

 怒髪天過ぎて完全にキャラ崩壊を起こしているモラクス。いやまあ魔神戦争時代ではよく見たかもしれないけど。違和感すごいな、とか現実逃避してる間に意識が朦朧としてきた。

 

 

「帝君、気持ちはわかりますが落ち着いてください!」

 

「ヘウリア様のただでさえ白い顔が真っ白に!ああ、口から塩が!」

 

 

 閑雲と甘雨が必死にモラクスを止めているのが見えたのを最後に、私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帝君。後始末が終わりました。恐らく氷神の国のものと思われる兵隊は意識を失っていただけなので千岩軍が逮捕、尋問を行っているとのこと。ヘウリア様…もとい真白空我真君と名乗る者が倒した首魁及びその眷属と思われる大蛇の死骸はよからぬ気配を感じたので、こちらで回収して処理しました」

 

「苦労をかけたな、魈。よからぬ気配とは?」

 

「何と言いましょうか。……「視られている」そう感じました」

 

「それは、処理して正解だな。ヘウリアが気付いたから最悪の事態は免れたが……お前たち、三眼五顕仙人が察知できなかった理由は分かったか?」

 

「兵隊含めて空間移動の様な技術を用いて突如現れた、と璃月七星から報告を受けています。特に当事者の天権は協力的で、見たことを全て話しました。その話によれば、大蛇は「デミ・オロバシ」首魁は「ドットーレ」とヘウリア様……真白空我真君から呼ばれていたようです」

 

「ドットーレ……ファトゥス第二位がそんな名前だったと聞いた記憶があるな。オロバシを不完全とはいえよみがえらせるとは、ヘウリアが自ら命を奪うのも納得だ。璃月七星にスネージナヤに対して警戒を強めるように言っておこう。商人に根付いている北国銀行を撤退させるのが不可能故に焼け石に水であろうが。恐らく、兵隊たちは既にファデュイに所属していない、と言った風に対策はしているのだろう。そうでなければここまで大掛かりな襲撃は企てないだろう。下がっていいぞ、魈。休むがいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘウリア。この時代に目覚めたばかりのお前がなぜ、お前の死後にできたファデュイの執行官の名を知っているのか……聞かないでおくとする。今は休め、わが友よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドットーレ襲撃から一ヶ月後。甘雨はあの襲撃の直後に泣く泣く仕事に戻り、動けない私の世話は幼き申鶴(聞いたら名前が同じなのでプレイアブルの彼女で確定した)がしてくれた。小さな体に見合わない怪力でひょいっと持ち上げられて運ばれたのはビビった。そりゃ成長後は巨大な鳴霞浮生石を軽々持てるはずだよ。なんでも清心とか薬草しか食べてないとのことだったので、腕が動くようになってからフライドポテトを作って腹いっぱいごちそうしたら大層喜ばれた。赤紐で感情を抑えててもわかる、目を輝かせてたもの。

 

 そうなのだ。私の体は元通りに戻った。驚くべきはモラクスの卓越した彫刻技術だろう。継ぎはぎして繋げた上で研磨して傷がわからないようにして、修復してみせたのだ。繋げた直後は動かなかったが、力を馴染ませろというので数日かけてなんとか動かせるようになった。お腹や背中もすっかり綺麗だ。いやあ、無茶しても治せるのは素晴らしい体だ。生前より暴れられるから助かる。

 

 

「で、ちょうどいいから申鶴連れて璃月港に帰ってきたわけですけど」

 

「どうしたんだ、白亜?」

 

 

 私の手を握った申鶴が不思議そうな顔で見上げてくる。いやまあ、この時期が海灯祭なのはわかるんだけどさ。

 

 

「ついに蘇った塩華女帝秘伝、揚げ切り芋の詰め合わせだよ!買った買った!」

 

 

 いやそれ本当にうろ覚えの丸パクリで私直伝じゃないし時代が違えば誰でも思いついた料理ですから。

 

 

「璃月七星を救った真白空我真君のお面だよ!三眼五顕仙人も各種揃ってる!ご利益あるよ!」

 

 

 あの、お面屋さんは百歩譲っていいとして、私が急ごしらえで作った空我のパチモンのお面を降魔大聖のお面と並べないでください。それより誰だ、あの時千岩軍気絶してたからあれを見せたの凝光だけ……凝光か!ビジネスチャンスだと思ったな!さすが商人!前世でもやってたからそれは正解だ!ちくしょう!

 

 

「白亜。アレはなんだろうか?あのような仙人、我は知らない」

 

「奇遇ですね。私も知りません」

 

「観念することだ、白亜殿」

 

「鍾離……殿。これは一体……」

 

 

 目の前に広がる、フライドポテトとか璃月名物の屋台が並び、お面屋さんが繁盛している光景を前に、いつの間にか背後にいた鍾離に視線を向ける。あの、なんで真白空我真君のお面を被ってポテト頬張っているんですか。

 

 

「今や塩華女帝と、一ヶ月前に突如現れ璃月七星を守った英雄は璃月に欠かせない存在だ。同一人物だと知っているのは仙人と天権だけではあるがな」

 

「真白空我真君は私じゃないですよ?あ、塩華女帝も」

 

「仙人たちに吐いていて俺を誤魔化せると思ったか?たしかに正しくは伝わってないかもしれない。だがな白亜殿。お前は、璃月の人々にこうも愛されている。それを噛み締めろ。お前が傷ついて笑える者など、ここには誰一人いない」

 

 

 その真剣な顔に、視線を前に向ける。……私なんかがモラクスと並べられるとか、恐れ多いとは今でも思うけど。悪い気は、しないかもしれない。

 

 

「……実感は湧きませんけど、わかったつもりになります」

 

「それでいい。今は楽しめ、白亜殿」

 

「そうします。……うん?」

 

 

 あれ。真白空我真君のお面で顔を隠してるけど、あの特徴的なオレンジの髪は……。

 

 

「ちょっと失礼。申鶴を頼みます」

 

「うん?どうした、白亜殿」

 

「ちょっと。ああ、今度こそ無茶はしませんから」

 

 

 橋に向かったその人物を小走りに追いかける。ここは、璃月港を一望できる崖にある小屋か。海灯祭の喧騒が消えた、人気(ひとけ)のない場所……これは、誘い込まれたか?

 

 

「俺になにか用かな?おねーさん」

 

 

 小屋に足を踏み入れた、そこに。幼いながらも執行官に選ばれた少年――――公子(タルタリヤ)が、腕を頭の後ろに組んだ笑顔で待ち構えていた。あー、無事ですむかな?もう怒られるの勘弁なんですけど。




執行官二連打ァ!ブチギレモラクスの回でした。キャラ崩壊したけどそれだけ怒髪天だった、と伝わってくれればいいけど。

前回モラクスが介入しなかったのは稲妻まで行ってたからでした。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

原作行く前にヘウリアに会ってほしい人物

  • ドットーレェ!!(博士)
  • 判決を下す!(ディルック)
  • 吟遊野郎!(ウェンティ)
  • 荒瀧・唯我独尊・一斗(荒瀧一斗)
  • 俺が払うよ(タルタリヤ)
  • グロシをかかげよ!(フリーナ)
  • あらら~?(スカラマシュ)
  • ハイドロポンプ(ヌヴィレット)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。