今回は蛍VS伐難、浮舎VS魈&……?の二本立てでお送りします。楽しんでいただけたら幸いです。
「白亜!白亜!白亜を知る者!捕らえて、水責めの拷問をして、居場所を吐いてもらうわ……!」
次々と降り注いできては爆裂していく水の塊。突風で弾き飛ばし、地面から突き出た岩壁で防ぎ、岩壁からそっと様子をうかがう。清らかに澄んだ水を思わせる青く長い髪に、肩が露出した透き通る様な印象の青い衣。ここまでは可憐な美少女だが、額から後ろに向けて緩やかに湾曲した一対の青い角が生えていて、肘から先が長手袋の様に漆黒の爬虫類を思わせる鋭い爪を有する異形となっている辺り、人外なのだろう。あれが、水夜叉。名乗りが正しければ、螺巻大将、伐難だろうか。
「きゃあ!?」
「危ない!」
水を生み出すのではなく周囲の水源を操り自在に形を変えて襲ってくる攻撃から軽策荘の住民であろう女子を庇って岩の壁で防ぐ。白亜は仙人らしいし、夜叉と友人なのは納得だけど……それにしてはなんというか、熱意がすごいというか……?好きなのかな?
「やるわね…!」
「っ!」
繰り返すように両腕を振るい、その軌跡に集めた水を斬撃として連続で叩き込んでくる水夜叉。放たれる一撃一撃がとんでもない質量の塊であり、剣で受け止め弾くだけで精いっぱいだ。
「風よ!」
このままでは埒が明かないので、無理矢理風の元素爆発を発動。剣から放った竜巻に水夜叉の操る水源を根こそぎ飲み込んで遠方まで押しやる。自らが操っていた水が全て手元から離れたのを見て、一瞬驚いた顔から獰猛な表情に変わった水夜叉は、地面を蹴って宙返り、踵落としを叩き込んできた。
「へえ!金鵬と同じ風の元素!でも、出力は高いけど大雑把よ!」
「ぐうっ……!」
「旅人!!」
そのまま両手の爪に寄る連撃が襲い掛かり、剣を振るって防いでいくしかない私。住民を逃がしているパイモンの心配の悲鳴が聞こえる。足先に岩元素を籠めて背後の地面から岩の突起を伸ばして不意打ちしようとするも、水夜叉は気づいて宙返り、踏みつけにして岩元素の突起を粉砕しながら獣の様に着地した。
「岩元素……モラクス様はもとより、弥怒にも遠く及ばない。使い始めて数日ってところかしら。小手先が通じるとでも?」
言いながらまるで何かを握って引っ張るかのような動作を行い、周囲の水を再び集束させていく水夜叉に対し、拡散すべく右手に風元素を溜めて突貫するも、爪の薙ぎ払いで発生した水流の斬撃で強制的に拡散されて無防備になったところを横蹴りで吹き飛ばされる。強い………剣術とか武器や、魔術を使った攻撃じゃない、シンプルな体術、特に爪術と足技の練度がすごい。後手に回っていたんじゃ、勝てない……何とか隙を……あ、そうだ。
「あ、白亜!」
「なんですって!?」
誰もいない背後を私が指さすと、ぐりん、と。可動域を無視した勢いで首を後ろに回す水夜叉。あ、本当に白亜の事が好きなんだなと思いつつ、不意打ち上等と心の中で叫びながら、背中から小さな岩元素の隕石を落として水夜叉を怯ませ、左の拳を握って内側に風元素を限界まで凝縮させていく。
「があ!?白亜を利用するだなんて……!」
「っ……!」
自分を押し潰した隕石を粉砕し、飛びついてくる水夜叉。その爪による連撃を右手に握った片手剣一本で防ぎつつ、左手に風元素を凝縮するのを継続していく。
「許さない、許さない……私が、白亜に、どれだけ言いたいことがあると思って……!」
「……私は異邦人だから、元素の扱いはみんなには遠く及ばない……だけど!」
「白亜が生きていると聞いて、すぐにでも駆け付けたかったのに!あんな男の言う事を聞かざるを得ないなんて……!」
「無茶を通すぐらいの肉体強度はあるよ」
そして、私の片手剣を爪で弾き飛ばし、背後で津波の様になった水を叩き込もうと振りかぶった隙を突いて、水夜叉の懐に飛び込む。左手は今にも弾けそうな風元素による裂傷で血飛沫が飛んでいるが、関係なかった。
「はああっ!!!」
「ふぐあぁあああっ!?」
その腹部に左の拳を叩き込み、溜め込んだ風元素を開放。それは爆弾の様にすさまじい風の渦を発生させ、ドリルの様に水夜叉を削りながら天高く吹き飛ばした。
「……元素爆発ならぬ、元素開放、かな。長司の技から見様見真似だけど……」
ドゥリン・ダスタリオとの対決で見せたアレを私なりに再現してみたけど、かなりの無茶だなこれ。奥の手としてあまり使わない様にしよう。そう、一息吐こうとしたところだった。
「旅人!まだだ!上だ!!」
「!」
パイモンの声に、顔を上げる。見れば、身体の右半身が吹き飛び、断面から黒い靄を垂れ流しにした瀕死の水夜叉が、掲げた左手の先である頭上に軽策荘中の水を集めた巨大な水の球を浮かばせた水夜叉がいた。不死身……とはまた違う?
「小癪、なあ……この程度では死なない、死ねないのよ……!我が身は業障で形を成した仮初の肉体なのだから……!」
そう言いながら、左手を振り下ろし、その動きに合わせて水の球がゆっくりと落下していく。あれが地上で破裂したら津波で軽策荘全部が流されてしまう。空中で撃墜、もしくは吹き飛ばさないと駄目だ。とりあえず岩元素の礫を飛ばして撃墜しようとするも、虚しく水中に取り込んでしまい意を介さない。ならばと風元素を迸らせるが、先ほど限界を超えて集めていたせいかすぐに散ってしまった。
「貴女なんかが、白亜の真似なんて小賢しい……お前にはふさわしくない!これは、白亜に教わった大技*1…!白亜の居場所を吐けええ!!」
そうこうしているうちにゆっくりと、確実に落ちてくる水の球に、私は。……切札を抜くことにした。
「……なら、とっておきを見せてあげるよ。その白亜から預かった物をね」
私が“バッグ”から引き抜いたのは純白の片手剣。旅に同行すると決まった際に、白亜がもしもの時にと渡してくれた、塩の剣。なんでもたくさんいる弟子にお守りとして渡しているらしく、一回限りだが元素爆発と同等の技を放つことができるのだという。これならば!
「白亜……白亜ァア!!」
「この銘こそは…!“
そして、両手に握ったそれを空中に向けて勢い良く振るうと、この剣を見て狂乱した水夜叉ごと純白の閃光が飲み込み、次の瞬間剣身が自壊して解き放たれた大量の塩の奔流が水の球を貫き、空中で爆散させた。雨の様に降り注ぐ水を浴びながら、空を見上げる。そこに、水夜叉の姿はなかった。高台から見守っていた軽策荘の住民から歓声が上がる。
「……ひとまず、仙人の依頼は完遂できたかな」
岩神の死の真相、塩の魔神ヘウリアの真意、復活した夜叉たち……知りたいことは山ほどあるけど、一つずつ解決していくとしよう。
同時刻、明蘊町。辛うじて残っていた家屋も吹き飛び、一帯が黒焦げとなったその中心で、魈はかつての兄貴分の腕の一つに首を絞められ、持ち上げていた。
「我は誰だ……お前は誰だ……!伯陽、お前はどこにいる……!」
「やはり、我では浮舎には……!」
失った記憶をどうやっても取り戻すことができないのか半狂乱状態のまま圧倒された事実に、生き残り鍛錬を重ねてきたにも拘らず力及ばない我が身の実力を呪う魈。記憶を失ってなお雷の閃光と共に姿を隠し、雷霆にて確実に削ってくる戦法。かつて得意とした身を隠し闇討ちする、その屈強な身に似合わない戦法に翻弄されるしかなく、二度三度避けることはできても四度目の雷霆で全身を撃ち抜かれてしまえばどうしようもなかった。ただでさえ死んだ仲間と対面したのだ、百戦錬磨の魈といえどメンタルもボロボロでいつも通りに戦えるわけもなかった。
「……帝君、やはり我では、残された仙衆夜叉としての責務も果たせぬようです……」
「ウオォオオオオッ!!!」
半狂乱のままに魈を地面に叩きつけんとする浮舎に、死んだのだという主君に詫びを入れる魈。その頭が、岩肌に迫る中で。崖の上からそれを見る、二人の神がいた。
「すまん、帰終。お前の力を借りたい。援護はする、“死んだ身”と言えど、魈を見捨てることはできん」
「ああもう、モラクスったら。この子の肉体で無茶するわけにいかないんだけど、わかって……はいるようね。はあ、仕方ないわ。なら、こうしましょう」
そう言って飛び降りると同時にその意識を体に明け渡す太古を生きた塵の魔神。落下しながら目を覚ました梅の花が似合う少女は、焦りながらもくるりと空中で体を捻ってスタッ!と着地する。
「え、お、わ、いきなりぃいいいいい!?……ふう。えーっと、帰終さんでしたっけ?いきなり「後はお願い」って言われて返されても困るんですけど!……えー、戦闘は苦手?薄情者が援護してくれるから大丈夫?なら、まあ……って、降魔大聖!?大丈夫じゃなさそうですね!?」
「おまえ、は……往生堂、の………にげ、ろ……」
岩肌に激突する寸前で少女……胡桃の着地に気づいた浮舎が止めたことで助かった魈は、帝君の雇い主であり守るべき璃月の民であることに気づくと逃げるように促すが、それを簡単に聞くようでは鍾離や白亜と言った問題児の雇い主であるわけがなかった。
「まさか!岩王帝君が塩華女帝に殺されて、終いには三眼五顕仙人まで死なせたとあっちゃあ、璃月人の名折れだよ!そんなわけだから………力、貸してよね!」
そう言って愛用の長柄、護摩の杖を肩にかけるように構えると、傍に炎が灯り、それは人型となって自在に動く。それは人魂。そして形を成すのは、胡桃の体を借りて現界することに成功した塵の魔神、帰終そのものだ。さらに二人を、円柱状の岩結晶の障壁が守るように展開される。
『おおー、こんなこともできるんだね
「じゃあそれで行っちゃいましょう!二対一なれど、卑怯とは言うまいなー!」
「おまえは、おまえらは、誰だあ!」
二本ずつの腕で二本の雷霆の槍を握り、突撃してくる浮舎に、かつて塩の魔神に夜叉すら往生させるものとされた往生堂の現堂主と、かつての主君の友の残滓が向かい打った。
デミ魔神と違って肉体まで復活とはいかないもので。仮初の肉体を業障そのもので形成するという最悪な手法をとった【博士】。なので、生前最期の怨嗟がすごく反映されてるっていう。
元素開放なる新技を披露した蛍。切札の一回限りの
そして何も知らないまま参戦、胡桃&帰終。帰終をスタンドの如く顕現することで共闘する形に。帰終がそのまま肉体を使っても戦闘センスは貧弱なままだからしょうがないね。
以下定型文になりますが、割と真面目に感想に飢えているのでどしどしいただけると本当に嬉しいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ヘウリア「今名付けましょう!そのスタンド(仮)の名は…!」
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ハーゲントゥス・リターンズ!
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ダスタード・ウォーリアー!
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グレイジー・ハーゲン!
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ダスター・プラチナ!
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帰終「帰終でいいんだけど…」