そんなわけで誕生日記念の特別編。といっても、時期的にまだスネージナヤが来てなかったので過去編でやれなかったスネージナヤ編を、これから時々書いていこうかなと思いましてその一話目となります。楽しんでいただけたら幸いです。
璃月のシトリウス襲撃から半年後。事件後、改めて開催された海灯祭を楽しんだ後にとんぼ返りしたフォンテーヌで往生堂フォンテーヌ支店の営業を平穏に続けていた私は、とあることに思い至って【傀儡】サンドローネに、週二でフォンテーヌに戻ってくるペルヴェーレを介してあることの依頼書を渡してもらい、その返事を受けてフォンテーヌからスネージナヤ行きのファデュイ専用の船に乗ってナタとナド・クライ間の海を渡っていた。雪国に行くのでちゃんと厚着である。塩の体でも寒いもんは寒いのだ。クリーヴが誂えてくれた長袖のブラウスに蒼いロングスカートの洋装の上に水色のジャケットを羽織ってる感じだ。こんな若者服。似合わないと思うんだけどなあ。
「まさか返事が来るとは思いませんでした。ペルヴェーレが言いつけ通り中身を見てないといいんですけど」
そうぼやきながら、丁寧な筆跡の封書を取り出して中を確認する。真面目な彼女らしい文面が並んでおり、氷の捺印で封をされていたそれはペルヴェーレの炎でしか溶けないような作りになっており、仮にペルヴェーレが輸送の途中で気の迷いから開封してもわかるようになっていたらしい。凄い厳重なことだ。常に謎空間に仕舞っているから封を開けた後も誰かに読まれる心配もない。なにせファデュイは【博士】も幹部なのだ、警戒に越したことはない。
前略。【召使】より送られた依頼書を受け取り、確認させていただきました。注意書きの通りに女皇陛下及び【道化】【隊長】以外の執行官の目には届かぬように最大限配慮したので、ご安心を。結論から申しますと、女皇の許可をいただき、要望に最大限応えることとなりました。つきましては、設計図を描くために話し合うべく
とのことだ。手紙がすごい丁寧でびっくりした。なんかVIP待遇すぎてびっくりなんよな。今も豪華な、それこそ執行官用であろう個室を使わせてもらってるし。なんかめちゃくちゃ畏怖の念を向けられてる気配もする。なんでじゃろ*1。ちなみに、名乗りによると私の警護を任されてる三人の名前はロチェフ、グセルニコフ、スタドゥヒンだそう。いずれもナタの伝説任務で共闘した名前だ。この時代も隊長の部下なんですねえ。
「あ、ロチェフさん?」
「なんでしょう、白亜様」
「あんまり畏まらないでほしいんですけど……えっと、スネージナヤでなにか警戒するべきことってありますか?一応、ペルヴェ……アルレッキーノから、スネージナヤは極寒だからクルースニクエネルギーとやらで暖を取る様にとは聞いてるんですが」
「警戒すること、でしょうか?えっと……我々の通る駅ではめったに出ませんがフェイギャングぐらいでしょうか。女皇に従わない一部のフェイが暴れているだけなので、心配はありません」
「ほう、ギャングなんているんですねえ……ん?列車って言いました?」
「え?ええ、はい。スネージナヤの国土は広いので、基本的に列車で移動するのです。この船がスネージナヤの港町に着いたら首都であるスネージナヤ・グラード行きの軍用列車に乗り換えてもらいますがご了承ください」
「え、ええ……列車かあ」
私は「兹白」が実装した以降のストーリーは結局追えなかったから、終ぞスネージナヤを見ることは叶わなかったけど、そうかあ。列車があるってどんな文明レベルなのか。やはりテイワット一の文明レベルなのは間違いなさそう。私の知る最高水準であるフォンテーヌでさえ巡水船かエレベーターが限度だったのに。いやクロックワークマシナリーとかいう前世を考えると超常クラスのものもあるけど。
それから半日もしないうちに凍土が見えてきて、スネージナヤに来たのだとわかった。船から降りてファデュイの護衛を連れて少し目立ちながらも賑わっている港町を抜けると、それはもう完璧な駅と、そこに鎮座する鋼鉄の車両。線路が続く光景が見えて。思わず感嘆の声を上げる。
「これは……すごいですね。これほどの光景は他の国でも見られませんよ」
「そう言っていただき光栄です。ではこちらへ」
なんだろう、ファデュイに厳重警護されてるから一般人から見られるのはわかるんだけど。……嫌な視線まで感じるのは、なんでじゃろね?
列車に乗り込み、規則的な揺れと窓の外の雪景色を楽しんでた頃。林を貫く線路を抜けている時だった。列車がスピードを落とすと、駅もないのに林のど真ん中で停車したのだ。慌てて護衛をしていた一人が操縦席に向かった。しかし、中々帰ってこない。
「どうしたんですかね?」
「異常が起きたのかもしれません、確認してきますのでここでお待ちを」
そう言った一人が向かおうとした時だった。外へ続く扉が開き、ショットガンらしき武器を手にした獣人が複数人、突入してきた。咄嗟に護衛たちが武器を抜こうとするも、ショットガンから雷元素の散弾が放たれて痺れて動けなくなったところを制圧される。私はとりあえず、様子見で動かなかった。彼らは……魔物じゃなさそうだ。ということは、件のフェイギャングだろうか。
「ひひっ、見ろよ。どこのご令嬢か知らないが、恐怖のあまり動けなくなってるぜ」
「ファデュイが厳戒態勢で警護していた女だ。人質にすりゃあ一億モラはくだらねえだろうさ!」
ああ、そういう。めちゃくちゃ警護されている、見た目だけは儚げな女性、つまり私を見て重要人物だと判断して、この郊外で待ち伏せして襲撃したのか。こりゃあ、運転席も既に制圧されてるっぽいな?銃口を突きつけて私に立ち上がる様に言う獣人。ふむ、どうしたものか。スネージナヤが人間とフェイが共存している国的な話をスネージナヤをプレイしてた時に聞いたんだよなあ。ここで反撃したら変な問題とかにならないか心配だ。うむ、ここはひとまず。
「あー、モラに困ってるんですか?」
「あ?うるさい、黙ってろ!」
「落ち着いてくださいよ。モラがほしいならあげると言ってるんですよ」
そう言いながら、謎空間からいつだったか璃月で塩を換金したモラを入れた袋を一つ取り出すと、獣人たちは目の色を変え、兄貴分と思われる大きい奴が分捕ってきた。そんな焦らなくてもあげるというのに。
「おお!?へっ、いいもん持ってるじゃねえか!」
「兄貴!こいつぁ、5000万モラはくだらねえんじゃ……」
「一応手持ちであと一億モラあるんで、それをあげるから大人しく引き下がってくれませんかね?この人たち私の警護をするのが任務だから、こんなことで任務失敗は可哀そうです」
なんなら大金になる塩の山をあげてもよい。経済が大混乱を起こして国に目をつけられてもいいのならだけど。とかそんなことを思ってたのだが。仮にも軍事国家の軍が管理する列車を狙っただけあって
「俺にいい考えがある!こいつからむしれるだけむしり取ってから改めて人質交渉をするんだ!一億モラどころか、100億だって夢じゃねえぜ!」
「さっすが兄貴!!」
「べらぼうだぜ兄貴!」
「一生ついていくぜ!!」
「ほしいなら上げるって言ってるんですけどー?聞いてます?」
だめだこいつら、早くどうにかしないと。と、呆れる。はあ、こりゃ大人しく引き下がってくれなそうだな。仕方ない。
「あー、つかぬことをお聞きしますが、フェイギャングってぶちのめしてよかったりします?国際問題とか」
「ああ!?誰が誰をぶちのめすってえ!?」
私の言葉に怒り狂うリーダー格の獣人だったが、私の言葉は何とか意識を保っていたらしいファデュイの人に聞こえていたらしい。
「……いえ、お気になさらず。面目ございませんが、そのお力をお借りしたく……」
「あ、そういうことなら」
こちらにショットガンを向けてくる獣人たちの前でスカートをつまんでお辞儀をすると同時、スカートの下からサーッと多量の塩を落とすと、それは足元を這って獣人たちの背後で私と同じ形をとると、首を絞め上げ拘束する。同時に運転席にも扉の隙間を使って一体行かせた。
「な、なんだこいつら!?」
「ぐえっ!?」
「ぐうっ!?」
「兄貴ぃ……」
五人いたこの車両にいた下っ端は制圧したが、さすがと言うべきかリーダー格は完全に構築する前にショットガンを向けて粉砕して逃れていた。まあすぐ直るんだけど、それじゃ味気ないな。塩だけに。
「そのままおねんねしてたら楽に豚箱に行けたんですけどねえ」
「てめっ、動くんじゃねえ!」
ショットガンをこちらに向けて雷の元素弾を乱射するリーダー格だったが、その全てを列車内の壁や天井を跳び跳ねることで回避。接近すると顎に掌底を浴びせ、骨がしっかりしてるのか意識を飛ばさなかったリーダー格がショットガンを振り下ろしてきたのを、左手で受け止め握りしめ、粉砕。驚愕しているその腹部に腹パンを叩き込み、ノックアウトした。ふむ、血を列車内に遺さずに制圧できましたね。よかった。
「はい終わり。お粗末さまでした。まあまあ強かったですね?」
何と言うか、肉体的に人間や魔物を遥かに超えている感じだった。そらあフェイのフリンズがあんだけ強いんだから当然か。操縦室に向かえば、操縦室を制圧していただろう身軽そうな小柄な獣人がノックアウトされていて、感謝の声を告げてくれた。いやいや、お仕事ご苦労様です。
その後、近くの駅に列車が止まり、そこで警備隊に身柄を明け渡して改めて出発となった。最後に目を覚ましたリーダー格が「くそっ、くそっ!あの男の言う通り、楽な仕事だと思ってたのに!!こんなバケモノがいるなんて聞いてねえぞ!!」とか叫んでたのが気になった。まあそうか。私がスネージナヤに来てから襲う計画を立てたにしては妙に計画的だったから、黒幕でもいたんだろうか。警戒するに越したことはないな。
「申し訳ありませんでした。護衛である我々が不意を突かれたとはいえ……」
「いやいや。私がいて緊張もしてたんでしょう?私を守るのが第一なら判断が鈍るのも仕方ないですよ」
「白亜様……かたじけない」
「気にしないでください。それでも気になるというのなら、そうですね。……外を眺めているだけも飽きたので、私の世間話に付き合ってくれません?そう、特にスネージナヤでのペルヴェーレについてぜひ!」
「ペルヴェ……?」
「あ、間違えました。我が娘、アルレッキーノについてぜひとも!」
そんな会話をしながらも、列車は進み。豪勢な都市が窓の先に見えてくる。あれがスネージナヤ・グラード。スネージナヤの首都か。にしても城がでかいな。群玉閣や稲妻城も目じゃないぞ。氷神や【道化】、それに半年前とはいえ重傷を負わせた【隊長】と話さないといけないのは気が滅入るが……まあ、楽しめるときは楽しむとしよう。
スネージナヤに行くどころかセレスティアやスメール完結編もサンドローネ復活も見れずに転生しているのでテンションMAXヘウリアさん。ちなみに渡したモラはちゃんと返してもらいました。
サンドローネに用があるようですが、なんでじゃろね?
以下定型文になりますが、割と真面目に感想に飢えているのでどしどしいただけると本当に嬉しいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ヘウリア「今名付けましょう!そのスタンド(仮)の名は…!」
-
ハーゲントゥス・リターンズ!
-
ダスタード・ウォーリアー!
-
グレイジー・ハーゲン!
-
ダスター・プラチナ!
-
帰終「帰終でいいんだけど…」